大相撲九州場所(11月8日初日・福岡国際センター)で昭和以降最高齢の41歳11カ月で再入幕を果たした玉鷲(片男波)が4日までに、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。九州場所9日目には42歳の誕生日を迎える。

史上1位の初土俵以来1823回連続出場中の不屈の“鉄人”は、今後の目標に2022年九州場所以来、昭和以降最高齢となる三役復帰を掲げた。(取材・構成=林 直史)

 41歳での十両転落から2場所で幕内に返り咲いた。18年夏場所で39歳6か月の安美錦を上回り、昭和以降で史上最年長の昇進。反響の大きさを素直に喜んだ。

 「最初は自分だけの『良かったな』だったけど、後援会や応援していただいた方、たくさんの方が喜んでくれて、幕内に戻って本当に良かった。なぜか力士からもお祝いの言葉を言われます。それもうれしい」

 今年の夏場所は右ふくらはぎを痛めた影響もあり、2勝13敗の不振で幕内から陥落した。年齢を考えれば進退がよぎる状況だが「考えなかった」と明かした。

 「今まではけがをしていても工夫していい相撲が取れていたのに、それができない。何もできない自分がすごく苦しかったけど、いろんな方の支えで諦めなかった。(師匠の片男波)親方に『もっとできるところがある』とか、いろんな言葉をかけてもらった。家族も自分に負担がかからないように、いつも通りに接してくれた。

みんながすごく一生懸命に一緒に戦ってくれたので、自分がくじけては絶対ダメだなと思えた」

 13年ぶりの十両土俵はプレッシャーが大きかったというが、名古屋場所は9勝6敗、秋場所は10勝5敗で駆け抜けた。苦難を経験したことで周囲の支え、館内の温かい声援をこれまで以上に感じることもできた。

 「自分だけで戦っていないんだと。どれほどみんなに愛されているかをすごく感じた。夏場所と十両の2場所は15日間が長く感じて苦しかったけど、大切で忘れられない場所になった」

 九州場所は歴代3位の幕内在位101場所目。9日目16日)に42歳の誕生日も控える。昭和以降で41歳の幕内力士は能代潟、藤ノ里がいるが、42歳は初だ。

 「自分の誕生日なのに、めちゃくちゃプレッシャー(笑い)。その日はドキドキで場所中の誕生日は嫌だなといつも思う。九州場所はどれだけ自分の相撲が取れるか。たくさんの若手の中でどれぐらい通用するか楽しみ。(部屋宿舎がある福岡・)朝倉市の皆さんの熱い応援もすごいので、応えたい気持ちもある。

感謝の思いを込めてやりたい」

 昨年の誕生日は横綱・大の里に挑んだ。今後の目標には再度の横綱戦の実現、そして40歳7か月の1936年1月場所で小結だった能代潟を上回る昭和以降最高齢の三役昇進を掲げた。

 「横綱戦を望む気持ちはもちろんある。歯が立たないかもしれないけど、どこまで自分が力を出せるか楽しみ。三役に戻りたいというのも自分の夢。幕内の次は、それをかなえたい」

 ◇玉鷲が今場所で達成、更新の可能性がある主な記録

 ▽幕内最高齢 41歳11か月は歴代1位。九州場所9日目には史上初の42歳力士となる。2位は能代潟の41歳1か月19日。

 ▽幕内最多出場 1497回で現在1位。2位は旭天鵬の1470回。

 ▽幕内在位 歴代3位の101場所。1位は魁皇の107場所、2位は白鵬の103場所。

 ▽初土俵以来の連続出場 史上1位の1823回で継続中。2位は青葉城の1630回。

 ▽通算勝ち星 916勝で史上7位。11勝を挙げれば6位の旭天鵬に並ぶ。幕内では7位の稀勢の里に並ぶ714勝。6位の琴奨菊まで4勝。

 ◆玉鷲 一朗(たまわし・いちろう)1984年11月16日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。41歳。04年初場所に片男波部屋から初土俵。08年秋場所に新入幕。最高位は関脇。幕内優勝2回、殊勲賞3回。

敢闘賞、技能賞1回。金星8個。得意技は押し。24年3月に日本国籍を取得した。189センチ、178キロ。家族は夫人と2男。趣味は料理、お菓子作り、手芸。最近は玄関マットを制作。

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