ハローキティやシナモロール、ポムポムプリンなど、サンリオのキャラクターが食品・飲料の広告やパッケージに起用される機会が目立っている。単なる“かわいい存在”を超えた起用の背景には、サンリオが大切にする“誰かに寄り添う力”があった。
サンリオでは現在、国内約1000社、海外約1000社、計約2000社以上とライセンスビジネスを展開しており、近年は食品や飲料メーカーとのコラボレーションが増加している。
たとえば、2024年には「サントリー天然水」が「水の日」に合わせて”未来の水への課題感”と“未来の水をいま、森から育む”活動の大切さを知っていただくために、キャンペーンキャラクターにハローキティを起用。生活者と同じ目線で「未来の水」について考えるきっかけをハローキティが問いかけた。

「カップヌードル」では、シナモロールが登場する2024年のテレビCMが話題に
また、「カップヌードル」では、シナモロールが登場するテレビCMが話題に。かわいらしい世界観をもつシナモロールが激しい首振りをするというデビュー当時のスペシャルムービーにあったキャラクターの両面性を活かし、まったりさとスパイシーさを兼ね備えた商品の訴求を行い、その意外性がSNSでも注目された。
なぜ今、サンリオのキャラクターが改めて支持を集めているのか。

サンリオ営業本部ライセンス第二営業部 部門長の鈴木美智恵さん
サンリオ営業本部ライセンス第二営業部 部門長の鈴木美智恵氏は「キャラクターは、生活者を“笑顔”にし、人の心を守る存在」と語る。企業にとっても、生活者との間にそっと寄り添うキャラクターが存在することで、商品やメッセージが“やさしく”伝わるという。
多くの企業がサンリオキャラクターとのコラボを依頼する際、かわいらしさやデザイン性だけで決めることは少ないという。ブランドや商品が持つメッセージと、キャラクターのもつ世界観やストーリーが調和しているかを、企業側も重視していると鈴木氏は話す。キャラクターを「ブランドの代弁者」として位置づけており、単なる装飾的な存在にはなっていない。
実際、サンリオ側もコラボの提案に対しては、企業の商品背景やターゲット、流通チャネルなどを丁寧にヒアリングした上でキャラクターを提案している。
「どんな世代にどのように届けたいか」といった企業の課題意識に寄り添いながら、最適なキャラクターを選ぶ姿勢が、多くの企業からの信頼につながっている。
また、鈴木氏は「長く企業活動を続けてきた中で、サンリオという会社やキャラクターに“信頼感”を持ってくださる方が増えてきた」と話す。コロナ禍では、外出自粛のなかでもスーパーマーケットなどの売り場で目にするサンリオキャラクターのついたパッケージに癒やされたという声が寄せられた。
さらに近年では、環境配慮やアレルギー対応といった社会的なテーマと、キャラクターの“やさしさ”や“包容力”を重ねる取り組みもみられる。実際に、キャラクターを通じて伝えることで、生活者の共感を得やすい場面があるという。「自分ごととして捉えることが難しいテーマでも、キャラクターを通じてお伝えすることにより、お子さんや保護者の方にも自然に受け止めてもらえた」(鈴木さん)という反応があった。いずれも「かわいい」で終わらず、「誰かにやさしくなれる商品体験」を軸に設計されている。
こうした“やさしさ”は、サンリオが長年掲げてきた「みんななかよく」という企業理念にも通じる。時代や流行に左右されず、思いやりを大切にしてきた姿勢が、企業との信頼関係につながっている。
サンリオのキャラクターと、他のキャラクターの違いとして挙げられるのは、どのキャラも顔が真正面を向いていて、どこから見ても必ず目が合うことだ。ファンからは、「いつでも心に寄り添ってくれて、目が合うと自己肯定感が少し上がる」というコメントが寄せられている。“かわいい”の域を超えた寄り添ってくれる存在として受け止められているようだ。
国内外の著名アスリートやアーティストにもファンが増えており、遠征先などにもキャラクターが持参されている姿がよく見られる。
サンリオのキャラクターは、世界130以上の国と地域で展開され、多くの人に認知されている。アメリカではシナモロールやクロミ、アジアではマイメロディやポムポムプリンが人気だという。日本の食品・飲料企業にとっては、国内だけでなく、海外展開をする場面でも人々の生活に寄り添う存在として、企業の挑戦を支えるかもしれない。
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