冷凍パン市場の拡大傾向が続いている。

業務用市場は、人手不足を背景に、手間削減につながる焼成済み冷凍パンの採用が増加しているほか、インバウンド需要の拡大を背景にホテルの朝食バイキング市場での採用が増えているようだ。
市販用市場は、スーパーの冷食売場拡大が続く中、ゆるやかな拡大傾向にあると見られる。

メーカー各社への取材では、業務用は人手不足と従業員の練度不足を背景に焼成済み冷凍パンの採用が拡大しているという。従来はスクラッチや冷凍生地を使っていた業態、たとえばミドル・アッパークラスのホテルや外食店においても、焼成済み冷凍パンを使用するケースが増えている。また、ベーカリーにおいても、人手不足を背景に看板商品以外の商品では焼成済み冷凍パンを採用するケースがあるようだ。

特にホテルにおいてはインバウンド需要拡大などから宿泊単価が上昇しており、物価高の中にあっても、朝食差別化でニーズが高まっている。

ほか、料飲店向けは、企業の会食減少で宴会需要は減っているが、一次会で完結させたい需要から冷凍パンが採用されやすく、高付加価値品の需要が増えているという見方もあった。

昨年来の米価高騰から、業務用各業態ではパンの需要が高まる傾向にあり、しばらくは堅調な市場が続きそうな見通しだ。

一方、市販用市場はゆるやかな伸長傾向だと見られる。ネットショップや生協業態が販売の中心だが、スーパーにおいても近年は特に新店・改装店で冷食売場が拡大しており、なかなか定着しなかった冷凍パンを並べる棚の余地がでてきている。「冷凍パンは香りがしないという売場特性があり、購買意欲が高まりにくいとの量販店からの指摘がある」という声もあるが、売場の差別化商品の1つとして、徐々に拡大する傾向にはある。

〈冷食日報 2025年12月16日付〉
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