11月1~2日にかけて香川で開催されたニッポン豆腐屋サミットでは、初日に分科会を開催した。内容は、村のおっさん桑原豆腐店でのゆし豆腐作り見学、にがりの生産量日本一の仁尾興産でにがり工場見学、大豆圃場見学と高松南高校の生徒が考案した豆腐レシピコンテストの審査会、讃岐の豆腐店巡り(福田とうふ店、とうふのお店カンショク、とうふ屋綱喜代)。
このうち本紙では、仁尾興産(香川県三豊市仁尾町)の分科会に参加し、にがり工場を見学した。参加者には、有形文化財にも登録された同社の創業者・塩田忠左衞門氏の屋敷「松賀屋」で、讃岐の食材を使用した昼食が振舞われた。工場見学に先立ち、会社概要やにがりの歴史、同社のにがりの特徴について説明した。
〈年間生産量は約1万t、国内の塩化マグネシウムのうち6割生産〉
仁尾興産は1919年、塩業メーカーとして創業した(元仁尾塩田)。72年、「塩業の整備および近代化促進に関する臨時措置法」に基づき塩業部門を廃止し現在の仁尾興産となり、73年に塩化マグネシウムメーカーに転向した。国内の塩化マグネシウムのうち6割を同社で生産しているという。年間生産量は約1万tで、うち6割は食品用だ。
にがりは、食品添加物の用途だけでなく、化学工業薬品、工業用・道路用にも利用されている。また、同社はライフケアブランドの「umiral」を展開しており、にがりを使用した入浴剤やハンドクリームを販売している。
2024年5月31日に、100%子会社のNAVIOを設立した。にがりを中心とした豆腐資材の販売会社となっている。社名はポルトガル語で「船」を意味し、文字列には「NIO」(仁尾)と、3つの行動指針「AdVance」(積極果敢な前進)、「AdVenture」(創造的な冒険心)、「AdVice」(互いを励まし助言)が込められている。
NAVIO
そのほか、工場直営で「カフェ にがり衞門」を運営しており、豆腐を使った料理やスイーツを提供している。
〈にがりの原料にはヒマラヤ山脈の塩湖の湖水を使用、クリーンな資源で生産効率も良い〉
一般的なにがりは海水から塩を抽出して作るが、同社ではヒマラヤ山脈の塩湖の湖水を使用している。同社によると、「4,500万年前の海水」だという。塩湖の湖水を天日干しして、結晶化したものを取り除いた残液を再び天日干し、という工程を繰り返して、塩化マグネシウムの結晶を日本に持ち帰り製品化する。
塩湖を利用するのは、ヒマラヤ山脈では雨がほぼ降らないことから、海以上にクリーンな資源だと考えたためだ。さらに、「海水には塩化マグネシウムが0.3%しか含まれていない。塩湖を利用した方が生産効率が良い」と話す。
日本に持ち帰った塩化マグネシウムの結晶は、品質検査を行い、結晶を溶解して不純物を沈殿させる。まず、一時保管場所で6時間ほど沈殿させたあと、用途ごとに原料を振り分け、タンクで約1週間沈殿させる。この段階で中間品質検査を実施し、合格したものが製品となる。
塩化マグネシウムの結晶をタンクで約1週間沈殿
ろ過を終えた原料はタンクに入れて工場内へ運び込み、釜で163度に加熱して水分を飛ばす。この段階で半製品検査を行う。
異物検査を通ったあとに製品化される。
同社ではフレーク状、微粒状、粉状のにがりを展開している。フレーカーでフレーク状に加工し、クラッシャーで規格のサイズに調節する。微粒状は同社独自製品で、計量のしやすさや溶かしやすさが支持されている。いずれの規格も、結晶原料からさらに精製しているため、純度が高いのが特徴だ。
クラッシャーの工程と加工後に再び検査を行う。包装や計量をロボットで行い、最後に金属探知機にかけてから出荷される。
〈大豆油糧日報2025年12月23日付〉
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