〈次世代型店舗1号店を神田にオープン〉
「いきなり!ステーキ」の次世代型店舗1号店が、12月24日に東京都・神田でオープンする。従来店舗と比べて客席にゆとりを持たせ、モダンで落ち着いた雰囲気としたほか、調理技術も進化させた。まずは同店でテスト運営を行い、既存店舗への導入を検討していく。
〈業態の変遷と現在の経営状況〉
ペッパーフードサービスが展開する「いきなり!ステーキ」は、前菜を省いて気軽にステーキを楽しめる業態として、2013年12月に銀座で1号店を開業した。当初は立食スタイルだったが、2015年から着席型を導入し、現在はほぼすべての店舗が着席式となっている。
使用する牛肉は、当初はほぼアメリカ産だったが、現在はアメリカ産が約3割、オーストラリア産が約7割。客単価は2,100円、主な客層は40~60代としている。店舗数は2020年時点で約500店舗あったが、現在は大きく減少し、今回の出店で170店舗となる。
2025年12月期第3四半期決算では、「いきなり!ステーキ」事業のセグメント利益は10億58百万円(前年同期比16.1%増)を計上。12月22日に開催したメディア向け発表会で、一瀬健作代表取締役社長CEOは、「困難を乗り越え、成長フェーズに入っている。今後は店舗数をむやみに増やすのではなく、精度の高いマーケティングに基づいた出店を行う」と語った。
〈客席設計を刷新、ゆったりとした空間に〉
次世代型店舗「いきなり!ステーキ神田北口店」と既存店との大きな違いは、客席と調理設備にある。従来型であれば50席以上を確保できる面積だが、あえて38席とし、ゆとりのある空間設計とした。
カウンター席は隣席との距離を確保し、対面の視線を遮る仕切りを設置。2~6人のグループ利用にも対応できるよう、テーブル席やボックス席も用意した。内装は木を基調とし、全体的に落ち着いたデザインに仕上げている。
〈スチコン導入で品質の均一化と効率向上〉
調理設備では、従来店舗で使用していたチャコールブロイラー(焼き台)を廃止し、UNOX社製のスチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)を導入した。焼き手の技量による仕上がりのばらつきをなくすことが目的だ。
従来のチャコールブロイラーでは、連続調理によって鉄板の温度が下がりやすく、ピークタイムには十分に温度が回復しないまま次の肉を焼くことで、仕上がりに影響が出るケースがあった。温度や時間管理は温度計やタイマーを使うこともあったが、最終的には職人の感覚に依存していたという。
スチコンでは260度を一定時間保つことができ、操作方法を覚えれば誰でも安定した調理が可能になる。一度に調理できる食数も従来の10~15食から約20食に増え、3~5分で焼き上げる。一瀬社長は「提供するステーキの品質向上を期待している」と話す。
また、チャコールブロイラーを使用しないことで火災リスクが低減され、設備コストも約50万円削減できる見込みだ。既存店への導入については、神田北口店での反応を見ながら検討するが、店舗スペースや改装費が課題になるという。
〈激戦区・神田で価値を再確認〉
当初は銀座での出店を検討していたが、条件に合う物件が見つからず、神田での出店となった。神田はオフィスが多く、リーズナブルな飲食店がひしめく激戦区でもある。
一瀬社長は「あえて激戦区に参入することで『いきなり!ステーキ』の価値を改めて確認するとともに、お客様にも再認識してもらいたい」と語る。また、夜間人口や土日の人出が落ち着く立地であることから、今回の次世代型店舗が打ち出す、ゆったりとした客席やファミリー・グループ客でも利用しやすいコンセプトとは相性が良いとみている。
一方で、「これまでのオーダーカットや目の前で焼く演出といった要素がなくなるため、人との関わりやステーキの演出が弱まるのではないかという不安も正直ある」とも語った。
次世代型店舗1号店となる神田北口店は、「いきなり!ステーキ」が再成長に向けて踏み出す試金石となる。店舗体験と調理工程を見直した新モデルが、縮小局面を経た同ブランドの価値をどこまで再定義できるのか。今後の展開が注目される。









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