イオングループは、スーパーマーケット事業の成長戦略として、首都圏および近畿圏における経営統合の詳細を発表した。

人口流入が続く一方で競争が激化する両エリアを成長市場と位置づけ、地域特性に応じた事業運営を強化する「リージョナルシフト」を推進する。


東京・秋葉原の会議場で12月22日、発表会見を開き、イオン吉田昭夫社長、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)井出武美社長、ダイエー西峠泰男社長、マックスバリュ関東平田炎社長の4人が戦略を説明した。

吉田社長は「首都圏と近畿圏は人口流入があり、国内の限られた成長市場として魅力度が高いものの、競争も激しい状況にある。各エリアで中核となる企業体を作るために、エリアでの支持を高め、グループのスケールを生かし効率性を高め集約する領域と、地域特性に応じて個別最適化すべき領域の2つを両立して、事業運営を行っていくことが必要」と説明した。
【イオン成長戦略発表】グループのスケールメリットの最大化と地域に根ざした商品政策の両立でシェア拡大目指す
説明するイオン吉田社長
説明するイオン吉田社長
首都圏では、今後USMHを中心に、近畿圏ではダイエーを中心に事業を展開する。

首都圏では、2026年3月1日に、USMHの事業会社であるマックスバリュ関東、ダイエー関東事業、「ピーコックストア」などを運営するイオンマーケットの3社が統合し、イオンフードスタイルを設立する。新会社は126店舗、売上高約1,800億円規模となり、USMHグループ全体では761店舗、売上高1兆円を超える国内最大のスーパーマーケットグループとなる。現在7社だが屋号も新しくし、新モデル店は2026年3月にオープンする予定だ。

統合新会社最大の強みとして、都市部に集中した店舗網があり、126店舗のうち58店舗(46%)が東京23区内に位置し、東京都全体では82店舗(65%)を占める。この立地価値を最大限に活用し、都市部でのシェア拡大を目指す。

成長戦略の中核として、都心部における新モデルの開発と店舗のリニューアルを行い、新鮮で手軽なデリカ商品の品揃え、ファミリー層への提案も充実させる。2030年までの5年間で全店舗の活性化を目指し、2026年度は東京23区内を最優先に20店舗強のリニューアルを計画する。

グループ機能の活用として、イオン、USMH、イオンフードスタイルの3階層でスケールメリットを最大化し、サプライチェーンにおけるグループ資産の最大活用と間接経費の最適化を図る。
シナジー創出では物流の効率化、バックオフィス業務の集約等により、コストは合計20億から24億円の削減を見込む。

売上高は現在の1.3倍となる約2400億円の目標を掲げる。USMHとして、ダウンタウン・アーバン・ルーラルと分けたエリア戦略等も進める。

近畿圏スーパーマーケット事業については、2026年3月にダイエーと光洋が経営統合し、新生ダイエーとして新たなスタートを切る。新会社は近畿エリアにおいて売上高3,000億円、店舗数187店舗となり、イオングループの近畿圏における中核SM事業として位置づけられる。

同社は、京阪神の主要都市部や鉄道沿線エリアに多くの店舗を持つことを強みとし、この店舗資産価値を最大限に活用することが戦略の柱となる。重点施策として、統合によるシナジー創出で約15億から20億円のコスト削減を見込む。新たな店舗モデルの創造では、住道店(大阪府大東市)で光洋のノウハウを活かした生鮮・デリカの加工などの実証検証を行っており、生鮮品の支持などが客数20%増加、売上げ35%増加へとつながった。これを新店モデルに展開する。

サプライチェーンの最適化では、産地と生産者の開拓、物流センターの再整備なども行い、生鮮デリカ惣菜の加工技術向上にも取り組む。

2030年までに既存店舗の刷新など投資総額370億円を投資し、2030年に売上高3,300億円を目指す。

同社に現在合計7つの屋号があるが、3月に屋号も集約する。
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