全社員に毎月3kgのお米を配る福利厚生制度が注目を集めている。IT・Webマーケティングを基盤とした経営を行うファストコムホールディングス(東京都、小林栄治代表取締役)では8年ほど前から、契約農家に前払いで米の生産を委託し、その米を毎月3kg、全社員に配っている。
社員は、その月のお米を「受け取る」か「地域に届ける」かを選ぶことができる。受け取らない選択をしたお米は、会社に返納し、会社を通じて地域の子ども食堂などへ届けられる。この「UCHINO米」事業は、生産者と従業員さらには社会に至るまで、関わる全ての人にとってWin—Winの関係になる、同社におけるソーシャルビジネスのモデル事業ともいえるものだ。
「2024年ホールディングス化した際に、事業会社の一つひとつが必ず社会貢献、つまり世の中のためになる取り組みをすることが持続可能性、本当の意味でのサステナブルにつながると考えた。このソーシャルビジネス集団を作っていくというコンセプトのきっかけがUCHINO米の取り組みだ」(小林代表)
地域おこしの映像制作で縁のあった、秋田県鹿角市から企業誘致を受けたのがUCHINO事業のきっかけだ。サテライトオフィスを立ち上げ、地域人材を採用する就労先の創出が主な目的だったが、秋田という米どころだったことから米農家との交流が増える中で、離農が増えている状況を目の当たりにしたという。先が見えない不安定な仕事だから、自分の子どもに「農業を継がなくていい」という農家の言葉に危機感を抱いた。
「当時から、ソーシャルごとに関わっていくという志はあったので、こういったことを知ったからには何か役に立ちたいと思っていた。そもそも収入の不安定さによって継がなくていいという言葉が出てしまうならば、その収入を安定させる方法として、前払いが当たり前の業務委託の形をとれば、キャッシュフローの抜本的改善につながると考えた」(小林社長)。
そうして始まったのがUCHINO米(=私たちの米)だ。事前に契約農家へ前払いで米生産を委託し、毎月社員1人あたり3kgの米を配る。事前にどの程度の量が必要になるかを把握できるため、それを契約農家に相談し、提示された金額を支払うという仕組みだ。
次に、社員のエンゲージメントへつなげることを考えた。自分たちの取り組みが誰かのためになっているという実感を、社員や契約農家が得られるように、寄付した先からのお礼の手紙などを共有しているという。「社内アンケートでも反応は良く、採用の場面などでも応募者たちが興味を示すのを見て、人道支援の活動には、企業のブランディングに繋がる力もある」と小林社長は語る。
現在は秋田県鹿角市に加え、新潟県長岡市と埼玉県加須市にも契約農家を広げた。「どの生産者も非常に志が高く、日本の農業を変えたいという思いから一緒に発起してくれた。しかし自社だけで行う活動では、関われる農家も、人道支援できる先も限られてくる」。
「ボランティアではない。継続的にやっていくためには、事業として、本当の意味で持続可能な活動にしていく(ことが必要)。支援ごとに一番大事なのは永続的に続くこと。それを実現するには、ちゃんと自分たちも利益を得ること。そうしないと、そこで活動している社員たちの還元を増やせない。還元が増やせないと、結果的にはどこかで衰退する。UCHINOプロジェクトに限らず、すべてのソーシャルごとというのは、ちゃんと持続可能なものにしていかなければ、最終的には困るのは支援をもらっている側だと思う」と小林社長はUCHINOプログラムを事業にした背景について語った。
UCHINOは8年間の取り組みで得た経験や、構築してきた仕組みをサービスとして提供する。その文化が相手企業に根付くようにしたいという思いから、あくまでもアドバイスをし、仕組みを構築する手伝いをするコンサルとなる。配るお米のパッケージデザインは、現在、オリジナルキャラクターの「かづのん」が中心にデザインされたものとなっているが、そのサービスを導入した企業には、「ぜひパッケージデザインを作ることも楽しんで欲しい」という。
〈米麦日報 2026年2月17日付〉









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