日暮里・舎人ライナー(以下、ライナー)、都電荒川線の「熊野前」駅から徒歩1分。コトコト走る都電荒川線と並走する都電通りに、大きな壁掛け時計のある、レモンクリーム色のひときわ目立つ建物がパティスリー ウールーグーだ。

オーナーシェフの桜庭清剛氏はこの地で生まれ育ち、都内の有名店や実力店で経験を積んだ後、実家を改装、ここに自店を構えた。

スイーツ番長(以下、番長)「ウールーグーとはユニークな店名ですね。どんな意味ですか?」

桜庭清剛シェフ(以下、桜庭)「フランス語でheureux(ウールー)は“幸福な”、 gout(グー)は“味”という意味です。僕たちが心を込めてつくりだすお菓子を食べていただいて、それがみなさんの幸せの一助になれば…という思いを込めて命名しました。フランス語表記では堅苦しいので、楽しい発音の響きをそのまま当て字にしてみました。」

番長「個性的でシェフのお菓子づくりに対する想いが感じられて、とても素敵な店名ですね。ところで熊野前という響きは、なにやら由緒やいわれがありそうですが?」

桜庭「もともとこの辺りに熊野神社があったそうで、荒川線の熊野前駅は大正の初めころにできたそうです。都電というとローカルなイメージですが意外と便利なのですよ。町屋駅前駅で東京メトロ千代田線に乗り換えれば、ここから大手町まで僅か20分です。2008年にはライナーが開通してさらに利便性が向上しました。山手線(西日暮里駅)まではたったの3分ですから。」

番長「ライナーが開通して、街の様子に変化はありましたか?」

桜庭「沿線は住宅や商店、町工場が混在し良い意味で下町の雰囲気が色濃く残っていますが、最近はマンションが新築され他所からのニューファミリーが増えてきているようです。もともとお年寄りやご年配の方が多く、僕が子どものころにあったケーキ屋さんは閉店してしまい、当初はこの地でパティスリー(フランス菓子店)を開くのは周りから反対もありました。でもだからこそ、僕たちのケーキが駄菓子屋代わりになって地元の人に、愛されればと思っています。」

番長「大きな壁掛け時計が外壁に設えてあって、とても印象的な店構えですね。」

桜庭「時計があるところは目印となり、人が集まってくる。

これは父の提案なのです。」

番長「地元にお店を出されるにあたってのご苦労はありましたか?」

桜庭「地元だからというよりも、僕は店をオープンするまで12年間パティシエとしてやってきましたが、開業となると、お菓子づくりのほかにさまざまな準備や出逢いがあり、携わって頂いた会社さんの数は23社にもなりました。それまでは会社さんと名刺交換をするということすらなかったので、開店までのやり取りは本当に良い勉強となりました。色んな人に支えられてやりたい仕事をしている。だからこそその人たちのためにもお客さんに喜んでもらえるお菓子づくりをしていかなければならないと、つくづくと実感しています。」

番長「では、地元でお店を開かれてうれしかったことはなんですか?」

桜庭「上野など都心の有名店まで美味しいケーキを買いに行かれていたお客様が、“近くに美味しいお店が出来たのでわざわざ遠くまで買いに行かなくて済む”などといわれたりすると、内心、ヤッタ!と喜んでしまいます(笑)。」

販売は実母、そして厨房では妻もパティシエールとして腕を振るう。そんなウールーグーの美味しいケーキたちは、店の大きな壁掛け時計と共に、熊野前の地で幸福という時を刻んでいるかのようである。

●シトロン レジェール(440円)

酸味と甘みが絶妙なレモンとミルクチョコレートのケーキ。ミルクチョコのガナッシュやレモンクリーム、レモン風味のホワイトチョコガナッシュなどをスポンジ生地で巻いた。春から初夏にかけての新作ケーキ。

●白桃ヨーグルト(380円)

ヨーグルトと白桃のスッキリサッパリした、初夏にぴったりなデザート! ヨーグルトにホワイトチョコレートをかすかにきかせ、マイルドな甘さに。果肉入りムースの桃の香りと風味を引き立てる。

●ウフレ・ロール(1ピース300円)

カステラ用の小麦粉とハチミツを使用したシュー生地にメレンゲを混ぜ込んで、密度のあるしっとりとしたロールケーキに。コーヒーにピッタリの美味しさ。

(1ロール1500円)

シェフの「街のお気に入り」 あらかわ遊園
シェフが子どものころ楽しんだ荒川区が運営する公営遊園地。入園料は大人200円、子どもは100円(平日無料)。観覧車、コースター、メリーゴーランドなど定番アトラクションがそろい、小学生児童が安心して楽しめるレベルのものだ。100~200円と格安で利用できる。釣り堀や子どもプール、どうぶつ広場などもあり、家族連れでも3000~4000円で一日中で楽しむことができ、下町のテーマパークとして小さな家族連れに人気です。
交通:都電荒川線「荒川遊園地前」下車徒歩3分
HP:http://www.city.arakawa.tokyo.jp/yuuen/桜庭清剛(さくらばきよたか) シェフProfile
1978年12月荒川区生まれ。製菓学校卒業後、都内老舗洋菓子店、有名、実力派、人気パティスリーなどでパティシエを務め2010年10月にwoo-roo-gooをオープン。2009ジャパンケーキショープティガトー部門にて連合会会長賞。シェフが子どものころから好きなケーキはモンブランShopData
Pâtisserie woo-roo-goo (パティスリー ウールーグー)
東京都荒川区東尾久3-35-9 Tel. 03-6327-9522
営業時間10:00~19:00 火曜・第1・3水曜定休
日暮里・舎人ライナー熊野前駅、都電荒川線熊野前停留場より徒歩1分
HP:http://woo-roo-goo.com/
優しいレモンクリーム色の店内には生菓子から焼き菓子などのフランス菓子がそろう。カフェが併設されており、ケーキとともに、ご近所にオーナーの住まいがあるカメヤマ珈琲店の自家焙煎珈琲も楽しめる。大きな額の様な窓からは都電やライナーが走る姿も望め、のどかなスイーツタイムを過ごすことができる。■荒川区に住む人々の年代・家族構成、物件相場情報をみる
HP: http://suumo.jp/area/tokyo/arakawa/

(取材、著、写真:スイーツ番長 / 取材、データ記事:蓮沼ちひろ)

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