リクルートのSUUMOリサーチセンターが「『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)」を公表した。この調査では、住宅の買い時感や住宅検討状況などを聞いている。

調査結果の推移や一戸建て系・マンション系で、消費者の意識の変化がうかがえる。どう違うのか、詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者』調査(2024年)」公表/リクルート

購入検討した一戸建てとマンション、中古が新築よりわずかに多い

調査は、2024年12月20日~2025年1月8日に、首都圏、東海圏、関西圏の三大都市圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳~69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

「初めての購入、建築」が62%を占めるが、「買い替え」(30%)、「買い増し」(7%)も一定数いる。年齢層が高くなるほど、その比率が上がる傾向にある。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の58%で、「中古一戸建て」30%、「中古マンション」30%、「新築一戸建て」29%、「新築マンション」28%、「リフォーム」16%となっている。一戸建てもマンションも、中古のほうが新築よりわずかに多くなっているのが、今回の特徴だ。

2024年に「買い時と思っていた」割合は49%、その理由は?

さて、調査対象者の回答時期を思い返してみると、住宅価格、とりわけ新築マンションの価格上昇が著しく、中古マンションもそれにつれて上昇している状況で、この傾向は都心部ほど顕著だった。

また、日本銀行が2024年3月にマイナス金利政策を解除し、同年7月に政策金利を利上げし、年末の利上げは見送ったものの、2025年1月には追加の利上げを行っている。金利を長期間固定する住宅ローンは、すでにじわじわと金利が上がり始めていたが、変動型の金利も、長かった超低金利時代からいよいよ上昇へと転換した時期に当たる。

これらを踏まえて調査結果を見ていこう。2024年に「買い時だと思っていた」割合は、49%(「とてもそう思っていた」14%+「ややそう思っていた」35%)で、3年連続で増加した。この買い時感は、新築・中古問わずマンション購入検討者では、注文や新築・中古の一戸建て検討者よりも低くなっており、「どちらともいえない」が高くなっている。これは、マンションの価格上昇が影響しているからだろう。

◼ 住宅の買い時感(全体/単一回答)

住宅価格高騰のなか、「買い時と思っていた」人は49%、さらに上がる前に買ってしまいたい?

出典:リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)

買い時だと思っていた人に「買い時だと思った理由」を聞くと、最多は「これからは、住宅価格が上昇しそう」の46%だった。なかでも、「新築マンション」(59%)、「新築一戸建て」(49%)、「注文住宅(ハウスメーカー)」(50%)で高くなっている。建築部材や人件費などの建築費上昇を受けて住宅価格が上がりやすい種別では、まだ価格は上がるのでその前に買おう、と思っている人が多いことがうかがえる。

一方、価格が高いときは「売り時」でもあるので、市場に新しい物件が出回りやすいからだろう。中古マンションでは「いまは、いい物件が出ていそう」が45%で最多となった。

◼ 買い時だと思った理由(買い時だと思っていた人/複数回答)

住宅価格高騰のなか、「買い時と思っていた」人は49%、さらに上がる前に買ってしまいたい?

出典:リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)

購入後は永住意向が減少、将来的な売却意向が増加の傾向

さて、かつては購入した住まいに「永住する」人が大半だったが、近年は「いずれは売るか貸すか」と考える人が増える傾向にある。調査結果を見ても、その傾向が継続してみられる。特に目立つのは、新築・中古を問わず「マンション購入検討者」で、永住意向が32~33%と低く、将来的な売却意向が高いことだ。

これは、昭和の住宅スゴロク的な“マンション→一戸建て”というより、“家族構成や働き方、暮らし方などに応じて、広さや場所を変えていく”という柔軟な考え方が、若い世代を中心に広がっているからだろう。

◼ 検討物件の永住・売却・賃貸意向(全体/単一回答)

住宅価格高騰のなか、「買い時と思っていた」人は49%、さらに上がる前に買ってしまいたい?

出典:リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)

「オンライン商談」の利用意向は61%で、年々増加傾向

最後に、「オンライン商談」についてみていこう。近年は、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視すること、コロナ禍を経てリモートワークが定着しつつあることなどから、オンラインによる販売活動が普及している。住宅の売買や賃貸の現場でも、一定の条件下でオンライン商談が可能になっている。

今回の調査では、オンライン商談の利用経験があると回答した人が52%と過半数に達した。

利用経験が多いのは、「物件やモデルルームの見学」(33%)、「不動産会社の営業担当者と商談」(25%)、「資金計画の相談」(18%)となっている。

◼ オンライン商談の利用経験(全体/複数回答)

住宅価格高騰のなか、「買い時と思っていた」人は49%、さらに上がる前に買ってしまいたい?

出典:リクルート『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)

一方、オンライン商談の「利用意向」は、さらに多くなり、「利用意向あり」は61%に達した。利用する側のリモートワーク実施の有無やオンラインになれた年代・職業であるかなど、さまざまな状況によって利用意向は変わると思うが、購入検討者が希望したとしても、オンライン商談の環境が整っていない不動産会社もまだあるので、必ずしも利用できるとは限らないのが実態だろう。

住宅の購入や建築などを検討しているユーザーの意向は、そのときの住宅市場や社会環境などによって変わる。近年は、若い世代を中心に永住志向が低くなっているといわれている。将来的に売りやすい住宅かどうかを重視項目に入れるユーザーも増えていくだろう。

●関連サイト
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2024年)」

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