8月16日は、送り火の日。お盆に帰ってきた死者の魂を再びあの世へと送り出すため、各地で「大文字焼き」などの行事が行われる。
ところでこの「大文字焼き」は、どうして「大」の字なのだろうか。京都の街案内をしているサイト「京都ガイドブック」ではこう説明されている。
「大文字の送り火では、なぜ「大」の字なのかも実は謎のままです。諸説としては、(1)もともと大という字は、星をかたどったものであり、仏教でいう悪魔退治の五芳星の意味があったのではないか。(2)一年を通して位置の変わらぬ北極星(北辰)は神の化身とみなされており、その北極星を象った大の字を、同じく動かぬ山に灯したのが、そもそもの大文字送り火の起源ではないか。(3)弘法大師は、大の字型に護摩壇を組んでいたところから、大の字にしたのではないか。などがあります。なお京都では、男の子が生まれると、その子の額に大の字を書き、宮参りをするという風習が残っております」
諸説あるもののその謎はいまだ解明されていないようで、しかも起源や由来も不明らしい。意外な結果ではあるが、そうした謎を抱えながらも綿々と受け継がれてきたこの風習は、日本全国で見る事ができる。
ここでは全国各地で行われている「大文字焼き」を、いくつかご紹介しよう。
■五山の送り火
京都の夏を彩る四大行事のひとつとして数えられるこの行事では、京都を囲む5つの山にそれぞれ「大文字」「左大文字」「船形」「鳥居形」「妙法」のかたちをした火が灯される。
■ 甲斐いちのみや大文字焼き
江戸時代に峡東地方で行われていた四大火祭りのひとつ。
■箱根強羅夏まつり大文字焼
1921年(大正10年)から続く、神奈川県箱根町の大文字焼き。約3ヶ月も前から準備を始め、篠竹を松明にして燃やすそう。当日は80余名の人数で点火し、山の中腹に浮かび上がった「大」の字をバックに打ち上げ花火も舞い上がる。
■大館大文字まつり
大館市で開催される「大館大文字まつり」の一環として行われる。花火大会や燈籠流しが行われると同時に、市の東に位置する鳳凰山に「大」の文字が浮かび上がる。
お盆を締めくくるにふさわしい行事である「大文字焼き」。故人の冥福を祈りながら、夜に浮かび上がる「大」の字に思いを馳せてみてはいかがだろう。
■京都ガイドブック「大文字の送り火」
http://kyoto.nan.co.jp/knowledge/daimonji.html