日本百貨店協会によると2012年の全国百貨店売上高は6兆1453億円と前年比0.3%増となった。プラスとなるのは1996年以来16年ぶり。

東日本大震災の反動による増加に加え、衣料品が堅調だったことが主な要因のようだ。

しかし長引く景気低迷や消費の多様化などの影響で、地方都市の百貨店が閉店するニュースを耳にすることが増えた。1月31日には、静岡県沼津市の西武沼津店が閉店となる。沼津市を代表する百貨店であった同店に、一体なにがあったのだろうか。株式会社そごう・西武の営業企画部に、今回の閉店について話を聞いてみた。

「西武沼津店は、“沼津で東京のお買いもの”をキャッチフレーズに、西武百貨店の地方店第1号として1957年6月にオープンしました。1971年には新館の増床を実施。沼津市はもとより静岡県東部など広域からご来店いただき、1991年には最大の売上を記録しました」

西武百貨店の地方店第1号だったとは驚きだ。では、なぜ閉店に追い込まれてしまったのだろう。

「2000年には郊外へアウトレットが進出、2007年には複合商業施設が進出し、マーケット環境が激変。郊外の活性化が顕著になりました。こうした厳しい環境下にありながらも婦人雑貨など主力領域を中心に営業強化を図りましたが、売上の改善に至らず、断腸の思いで営業終了を決断いたしました」

西武沼津店は残念ながら閉店となるが、この不況のなかで株式会社そごう・西武グループは順調に売り上げを伸ばしている。

2013年の初売りは前年に比べ20%増の好調な滑り出しを記録した。

「今年度(13年2月期)の自主商品売上は400億円を見込み、2年後には1000億円を目指します。お客様が期待される百貨店本来の魅力を発信すべく、“ここでしか買えない”自主商品の展開を強化してまいります。また商品開発の基盤となるのは、接客を通じて得た“お客様の声”。ニーズはありながらも十分にお応えできていない領域をきちんと拡充し、売上の拡大を目指してまいります」

百貨店という大規模店でも、やはり大切なのは“お客様の声”。細分化するニーズに応えるべく、百貨店の挑戦はまだまだ続いていくようだ。

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