キッチンには戸棚や引き出し、シンク下の空間など、収納場所がたくさん設けられている。収納するものも、食料品から食器、調理器具までじつにさまざまだ。
そこで、今どきの床下収納の活用方法について、整理収納コンサルティングを行う「Studio HAGA」の芳賀裕子氏に話を伺った。
「キッチンでの作業動線では、目線~腰までの高さが一番動きやすい場所です。一方、床下はしゃがんで膝をつき、扉や蓋を開けて中の物を取り出すという、収納や取り出しまでのアクションが多い場所のため、一番使い勝手が悪いんです。そのため、日常的に使う物の収納には向きません。年に数回取り出すような使用頻度の低い物の収納先と考えるほうがいいでしょう。また、取り出すときに身体に負担がかかるので、あまり重たいものを収納するのもおすすめできません。具体的には、手づくり味噌や、梅酒、梅干しなどの保存食を収納するほかには、万が一の非常食、非常用の水(ペットボトル)などの収納に向いています。あとは、正月やクリスマスといったイベント用の物や、キャンプ用の食器・備品の保管場所としてもいいと思います」
床下というと、年間を通して温度や湿度が安定しているイメージがあるが、実際はどうなのだろうか?
「温度や湿度管理が出来るような新しいタイプの床下収納庫もありますが、そうでなければ、必ずしも温度・湿度が一定とは限りません。ですので、安易に食料品を床下に保存するのは避けたいですね。さらに、床下収納は外から見えないため、入れ忘れの多い場所です。また、床下収納のデメリットは“一度物を入れると取り出しにくい”ということ。その点について、芳賀氏に収納のアイデアを伺った。
「下に向かって物を入れる場所なので、開けたら一目瞭然に中の物が見渡せる収納方法が求められます。下から順に重ねて収納するのは絶対に避けるべきですね。収納の基本では『平並べ』といいますが、ストックしたビンの蓋には、上から見ても分かるようにラベルを貼る工夫や、物を立てて収納することが大事です。大きな床下収納庫であれば、中に区切りの箱などを入れて、収納物のジャンルを分けておくのもいいでしょう」こういった「平並べ」のテクニックは引き出し収納にも応用できるという。なかなか使いづらい床下収納だが、広い空間を使える点は魅力。入れる物を限定し、整理整頓することが、上手に使うためのコツと言えそうだ。
●取材協力芳賀裕子(はがゆうこ)氏
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