『天下一品』(通称:天一)といえば、看板商品はなんと言っても「こってり」ラーメン。入店する人のほとんどがこれを注文します。
以前、“天一ファン”にこってりスープを最大限に活用するための、さまざまな裏技を聞いてきましたが、つまり天一のこってりスープは、ただのラーメンスープにとどまらない、ものすごく奥深いポテンシャルを秘めた世紀の発明だと言っていいでしょう。

そんな天一で、今こってりスープを活用したメニューが続々と商品化されています。例えば鶏肉にこってりスープで下味をつけて揚げた「こってり唐揚げ」(2022/11/4~)、そして、天津飯にこってりスープをかけた「こってり天津飯」(2023/1/10~)、さらにこってりラーメンに唐揚げを入れた「こってり唐揚げラーメン」(2023年2月1日~)などです。
そして新たに、2023年3月22日から新しいこってりメニューが店舗限定で登場しました。京都府「久御山店」と「1号線下鳥羽店」、東京「高円寺店」と「中野店」)の全国4店舗だけで食べられる「こってりカレー」がそれです。そう、とうとう天一にカレーが登場したのです。

東京在住の筆者が主に通っているのは、都内でも珍しい直営店である『天下一品 高円寺店』ですが、これまで天一とカレーを結びつけて考えたことがなかったので、「天一にカレーが登場した」という情報に初めて触れたときは、ものすごく驚きました。
でも、よくよく考えてみると、あのこってりスープのとろみは、ほぼ欧風カレーのルーだよな、と思わず納得。ただ、どんな味かは食べてみないとわかりません。そこで、さっそく天一に行って噂のカレーを食べてみることにしました。
こってりカレーとはどんな味?

東京で「こってりカレー定食」を出しているのは高円寺店と中野店しかありません。
天一に行くのは実はけっこう久しぶりだった筆者。なので「こってりカレー」に加え、今年1月に登場して何かと話題の「こってり天津飯」も食べてみようと思い、友人も誘って高円寺に向かいました。

席に案内され、筆者は「こってりカレー定食」(1520円)を、友人は「こってり天津飯定食」(1260円)を注文しました。待つことしばし。最初に登場したのが、今回の目的である「こってりカレー定食」です。

「こってりカレー」の丼ぶりは、ラーメンよりひと回り小さめ。味付け卵半個、こってり唐揚げ1個、さらに豚トロチャーシュー2枚、にらニンニクがトッピングされています。ただ、ビジュアルを見ただけでは、カレーライスなのかどうかイマイチわかりません。なにしろ見た目がこってりスープにものすごく似ているからです。
兎にも角にも、れんげを沼にズブッと差し込んでみると……スープにまみれたご飯がぬるっと登場。これは紛れもなくカレーライスです!

そして食べてみると、ちゃんとこってり味。
友人にも食べさせて感想を聞くと、「町中華の黄色いカレーに似てる!」とのこと。そうなんです。昔ながらの小麦粉や片栗粉でとろみをつけたカレーになんとなく似ている。でも、これは粉由来のとろみではなく鶏ガラと野菜を丹念に煮込んだことによるとろみです。だから、味にものすごく深みがあります。
そして、特筆すべきはトッピングのにらニンニク。これが、このまろやかでマイルドなカレーを、ピリッと引き締めてくれるのです。さらに卓上の赤い「ニンニク薬味」を入れると、マイルドなこってりカレーに辛味が加わり、さらに旨い! それこそ、飲むように食べてしまいました。
続いて、「こってり天津飯」も食べてみます。

天下一品の通常の天津飯には甘いタレがかかっていますが、この「こってり天津飯」には、その名の通りラーメンにも使われるこってりスープがかかっています。そして具材はふわふわの卵、青ネギ、カニカマ、タケノコ。
食べてみると、こってりスープとふわふわ卵の相性がめちゃくちゃ良い! ラーメンにはない中華要素が加わり、ものすごく美味しいです。さらに卵とこってりスープを吸ったご飯を一緒に食べると、旨いのなんの。
このこってり天津飯、これまで全く食べたことがない新しい味。この1品だけで店をやっても繁盛しそうだと思うくらいのウマさです。

というわけで今回は天下一品の新しいメニューを2つ食べてみましたが、こってりスープがいかに傑作であるかを改めて思い知らされました。カレーは全国4店舗でしか味わえませんが、お店で提供していないところでも、オリジナルのレトルトカレーを売っているところも。未体験の人はぜひお試しあれ!
(撮影・文◎土原亜子)