●外食しながらダイエットもアンチエイジングも叶えたい! そんな我儘な願いを叶えるべく、ボディメイクのプロ・石本哲郎さんが「若返りやせ飯」の選び方を伝授。今回のテーマは老舗の牛丼チェーン店『吉野家』です。
むくまない食べ方で若見えをキープ
「丼モノ=太る」というイメージから、ダイエットには向かないと思っている人も多い『吉野家』。確かに、丼一杯のごはんを食べるわけだから、糖質摂取は避けられないし、塩分が多いのも事実です。そもそも、『吉野家』に来て「糖質や塩分を控えたい」というのはムリ。だからといって「ダイエット中は『吉野家』厳禁!」なんてことはありません。
『吉野家』のメニューで多く摂ってしまいがちな糖質や塩分は、どちらも活動する際に使われるもの。つまり、食後にエネルギー消費が見込める朝食や昼食に食べるなら、そこまで気にしなくても大丈夫です。
逆に、活動量が減っていく夜に食べるのは、基本的におすすめしません。糖質と塩分はむくみの原因の2大巨頭。どちらも摂取して動かずに寝れば、エネルギーが消費しきれず太りやすいうえ、翌日のむくみにも直結します。特にむくみの影響が出やすい瞼や膝下は、もっとも年齢が出やすい箇所なので、一気に老け込んだ印象に……。若見えのためにも「『吉野家』は昼間に食べる」が正解です。
ダイエット成功の鍵は消費カロリーより摂取カロリーが下回ること
「丼モノだけだと栄養が偏りそうだから、副菜や味噌汁もつけとこう」と、定食メニューを選ぶ方もいますよね。確かに、ダイエットやボディメイクのためには、野菜に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維や、味噌のような発酵食品を摂ることも大事。でも外食であれもこれもといろんな栄養素を欲張りすぎると、カロリーも塩分もどんどん上がっていってしまいます。
ダイエットを成功させるには、消費カロリーより摂取カロリーが下回ることが絶対条件。ただでさえ高カロリーになりがちな丼モノは、栄養バランスを重視してカロリーを増やすよりも、どこかを切り捨てたほうがうまくいきます。最低でも、たんぱく質だけはしっかり摂れていればOK。痩せたいと思ってる時期であれば1食500kcal前後が理想ですが、正直、牛丼を食べる前提だと不可能なことが多いので、800kcalは超えないように頑張りましょう!
たんぱく質量を基準に丼サイズを選ぼう!
では早速、『吉野家』の看板メニュー「牛丼」をチェックしていきましょう。カロリー的に許容範囲内なのは「小盛」、「並盛」、そして具材だけが大盛りになる「アタマ」の3つ。

カロリーだけを見ると、小盛が500kcalを切っていて優秀なんですが、たんぱく質が15.6gと少ないのが気になります。たんぱく質は筋肉をはじめ、肌、髪、爪など、身体のベースをつくる材料となるため、“若返りやせ”のためには必須の栄養素。1食あたり女性なら20~30g、男性なら30g~40gは摂っておきたいところです。

また脂質はたんぱく質より少なめが理想なんですが、残念ながらどれも超えちゃってますね。でもぶっちゃけ、これは仕方ないでしょう。「牛丼」のお肉自体、脂がのってる部位を使っているため、たんぱく質を増やそうとすると、一緒に脂質も増えてしまうのです。
炭水化物はどのサイズも多めですが、並盛単品であれば、そこまでバランスは悪くはありません。ただ、たんぱく質が19.6gと男性にはちょっと少ないので、女性は並盛、男性はアタマの大盛で、たんぱく質量を確保するのがおすすめです。
つゆだく、紅生姜追加の際はコレに注意!
吉野家の裏メニューとしてお馴染みの「つゆだく」。多めのつゆがごはんに染みて、おいしいですよね。ダイエット的にはどうかというと、栄養素は汁に流れているわけではなく、具材にかかっているので、「つゆだく」にしても三大栄養素のバランスはほとんど変わりません。塩分は上がりますが、朝か昼に食べることを想定しているため、そこまで気にする必要はないです。「つゆだく」が好きなら、我慢せず食べちゃいましょう!
ひとつだけ気を付けたいのが、「つゆだく」にすると噛まずにかき込んでしまいがちになること。実は、咀嚼回数と食事に対する満足度はリンクしていて、咀嚼回数が少ないと満腹感が得られにくくなるのです。その結果、他のタイミングで余計なものを食べてしまい、食べ過ぎを招いてしまうことにも繋がります。そもそも丼モノ自体、かき込みやすい食事なので、丼モノを食べる際はよく噛むことを心がけることも大事ですね。

味変が楽しめる紅生姜については、5gで1kcal、塩分は0.3gと、これも全く気にするレベルではありません。まれに牛肉が隠れるくらい山盛りにする人がいますが、それはさすがにNG。塩分が取り返しのつかないところまでいってしまうので、ちょい足し程度で楽しみましょう!
プラスたんぱく質で最強「若返りやせ牛丼」にカスタマイズ!
単品ではたんぱく質が不足してしまう小盛ですが、カロリーが低いからこそできる食べ合わせ技があります。それは「卵」のトッピング。卵を足しても565kcalと低カロリーで、たんぱく質は21.8gにまでアップします。

卵は「準完全栄養食」とも言われるほど、栄養バランスの優れた食品。
トッピングでもうひとつおすすめなのが「納豆」。98kcalでたんぱく質は7.8g上乗せされます。たんぱく質量は肉や魚に敵いませんが、発酵食品である「納豆」は抗酸化力が高く、腸内環境を整えるなど健康や美肌へのメリットが大きいのが魅力です。

卵と納豆を両方足しても、総カロリーは663kcal。たんぱく質が29.6gも摂れるうえ、若見えを狙える栄養素が摂れる、まさに最強「若返りやせ飯」といえます。
豚丼を「若返りやせ飯」にするには?
吉野家といえば牛丼ですが、今や「豚丼」も定番メニューとして人気ですよね。そこで「豚丼」の栄養価についても見ていきましょう。

一般的には、牛丼より「豚丼」のほうが脂質の割合が高いことがほとんどなのですが、『吉野家』に関していえばそうではありません。牛丼も結構脂の多い肉を使っているため、どちらも栄養バランス的にはさほど変わらない。ただ、「豚丼」のほうが全体的にカロリーも栄養価も低め。
それでも「どうしても豚丼が食べたい!」という人に、とっておきのサイドメニューをお教えしましょう。それはこちら。

そう、「鮭」です。たんぱく質が13.9gも摂れるため、目標値を楽々クリアできちゃいます。また「鮭」に含まれるアスタキサンチンは抗酸化作用が高く、アンチエイジング効果が期待できると言われています。
加えて、その良質な脂質も大きな魅力。たんぱく質や炭水化物は何で摂っても大差ありませんが、脂質に関しては肉で摂るのと魚で摂るのとでは明確に違います。
肉に多く含まれる飽和脂肪酸は摂り過ぎると動脈硬化をはじめ、様々な生活習慣病の原因になります。対して、魚に多く含まれる不飽和脂肪酸はそういったリスクも少なく、青魚や鮭の場合はDHAやEPA、最も健康や美容効果が高いとされるオメガ3系の脂肪酸まで多く含まれ、老化の原因となる体内の炎症を防ぐなど健康効果が高いと言われています。
もちろん、飽和脂肪酸も不飽和脂肪酸も同じ脂で、1gあたり9kcal。

たんぱく質を足したい時は、高たんぱくで良質な脂質の魚を選べば、まず間違いなし! サイドメニュー選びで迷ったら「とりあえず鮭!」。豚丼は豚鮭丼にカスタマイズしちゃいましょう。
ダイエットに向かないNG丼は?
残念ながら、“からあげ系”は全てNG。たんぱく質だけを見れば、しっかり過ぎるほど摂れていますが、そんなことは帳消しどころかマイナスになるくらい、カロリーがぶっ飛んでます。もっともシンプルなからあげ丼の並盛でも943kcal。脂質、しかも良質でないほうの脂が44gと牛丼の約2倍も入っちゃってます。
からあげ定食なんか頼もうもんなら、並盛でも1168kcalと牛丼2杯いけるレベル。そもそも『吉野家』に来てるんだから、からあげじゃなくて牛丼を食べようね(笑)。
どうしても夜に食べたくなったら……
先述した通り、夜に糖質と塩分の多い食事をとると、エネルギーとして消費しきれず、体脂肪に蓄積されやすくなったり、むくみやすくなります。そのため、丼モノや定食はやはり避けたいところ。そこでおすすめなのがこちら。

「キムチ牛サラダ」です。
ちなみにチーズの入った「チーズ牛サラダ」もあり、たんぱく質がさらに多い32.7gも入ってます。チーズなので脂質も36.8gと増えてしまいますが、夜は糖質が抑えられていれば、脂質量はそこまで気にしなくても大丈夫。「キムチ牛サラダ」も「チーズ牛サラダ」も500kcal以下と低カロリーなので、好きなほうを選んでOKです(いずれもドレッシングなしの数値なので、味に問題がなければかけない、もしくは少な目にかけてなんとか乗り切りましょう!)。
結論
『吉野家』はやっぱり、「牛丼」。炭水化物はちょっと多めだけど、日中食べるぶんには問題ありません。たんぱく質を確保するには、女性は並盛、男性はアタマの大盛がおすすめ。また、小盛に卵や納豆トッピングするのも優秀です!

ダイエットでは「全部食べたい!」という欲望を捨て去り、どこかを削ることが不可欠。日中は丼モノである程度糖質を摂っていい代わりに、揚げ物などは控えて高カロリーにならないように気をつけましょう。一方、夜は脂質を摂ってもいいけど、炭水化物はめっちゃ減らす努力を。食べるタイミングによって何を削るかを上手に選ぶと、ダイエットも成功しやすくなりますよ。
(語り◎石本哲郎、インタビュー・撮影◎酒詰明子)
●プロフィール

石本哲郎
女性専門のパーソナルトレーナー。東京や神奈川にて、女性専門パーソナルジムリメイクや女性専門フィットネスショップリーンメイクを数店舗運営。女性のダイエットに関わる医学、栄養学、トレーニングメソッドについての豊富な知識と、自ら意図的に太ってやせる「減量」実験の成果から編み出した独自のメソッドで、のべ1万人以上の女性の体づくりを指導し、成功へと導く。ダイエットに悩む一般女性の指導をもっとも得意とし、「健康的かつきれいに女性の体を変える技術」には定評がある。代表作『神やせ7日間ダイエット』などを含め著書累計20万部を超える。
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