●静岡のソウルフード・静岡おでん。県内に30店舗展開する『天神屋』に静岡おでんと『天神屋』の定義を聞いてきた

 静岡のご当地メニュー静岡おでん。

専門店はもちろん、居酒屋やラーメン店でも食べられる人気の料理です。そもそも普通のおでんとはどう違うのか? そこで『天神屋』の広報の北川さんにお話しを聞いてみました。

「静岡おでんの具材は全て串刺しです。これは初めに駄菓子屋で売られていた時の名残りで、当時会計は串計算でした。一般的には牛すじを煮込んだ出汁に醤油ベースの味付け、スープは真っ黒なものが多いです。これに青のりやダシ粉をふっていただきます。

『天神屋』のスープは、牛すじをベースに25品目の練りもの、昆布で作っています。黒いスープというよりも、茶褐色の飴色に近いでしょうか。25種類のおでん種を煮込むことにより、複雑な味わいと旨味が凝縮したスープになっています。」(広報の北川さん)

『天神屋』は、静岡県内で30店舗を展開する静岡おでんや弁当を販売する店。ですが、もともとは雛人形を製造する会社だったというから驚きです。当時店頭で作っていたまかないのおむすびやいなりが評判を呼び、お客さんにも販売したことが原点だそうです。

おでんはもちろん、お惣菜や弁当も。
おでんと一緒に味わいたい商品が並ぶ

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
(左)お弁当やおにぎりも販売(右)おでんと一緒に食べたいおにぎり

 今回伺ったのは新東名高速道路にあるNEOPASA浜松店。ここは『秘密のケンミンSHOW』などテレビでしばしば紹介される人気店。この日も多くのお客さんで賑わっていました。店内には弁当やお惣菜、おにぎりなどがたくさん。おでんと一緒に食べたい商品がずらりと並びます。

おでん種は自分で好きなものを取るスタイルで人気

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
どれにするか迷うほど種類豊富なおでん種

 NEOPASA浜松下りにある『天神屋』は、ドライバーズスポットにもなっていて、店の奥にはシャワー室や休憩スポットがあります。店内に入るとすぐに飛び込んでくるのは、おでんのコーナー。

店内には美味しい出汁の香りが漂って、食欲をそそります。もうこりゃ食べるしかない!

 では、早速おでんを取っていきます。『天神屋』のおでんは、静岡の方言のイントネーションから親しみを込めて「しぞ~かおでん」と呼んでいます。こちらでは具材の串打ちから煮込みまで店内で作っています。厨房はフル稼働で、次から次へと今調理したてのおでんを容器に入れていきます。

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
いつでも出来立ての熱々おでんが食べられる

 メインの牛すじの出汁を入れた鍋は、調理時間ごとにそれぞれ具材が分けられて、ぐつぐつと煮込まれています。

牛すじのスープにプラスして、25種類の練りものから出る旨みが合わさるスープは本当に絶品です。

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
(左)店頭で行う串さし(右)おでん種毎に煮込む

「しぞ~かおでん」の中でメインは、多彩な練りものです。静岡おでんといえば、いわしで作る黒はんぺんが有名ですが、『天神屋』では25種類もの練りものがあります。イワシを丸ごと入れた「イワシ君」や、イカの姿串など種類豊富に味わえます。

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
(左)不動のいちばん人気の「大根」150円。(右)静岡おでんといえばコレ「黒はんぺん」150円

 おでんは25種類以上が1本150円(税込)とリーズナブル。店頭には毎日約30種類が並び、どれにするか迷うほど豊富なラインナップです。

いちばん価格の高い牛の肺の「フワ串」や「ビックフランク」でも1本186円なので、いろいろ楽しめます。

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
(左)ダシ粉入りの青のり(右)特製の味噌をたっぷりと

 静岡おでんの特徴のひとつでもある、独特なおでんの食べ方。通常のおでんとは異なることとは何か、北川さんに聞いてみました。「天神屋のおでんの食べ方ですが、まずは好きなものをお取りいただきます。そのあとダシ粉入りの青のりをふって、秘伝の味噌をつけてお召し上がりいただきます。」ダシ粉入りの青のり、味噌は無料。そのままでも美味しいけれど、せっかくだからこの2つを加えて食べてみてください。

『天神屋』で食べておきたい必須メニューとは

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
これはおすすめ! 必須メニューの「富士の白雪(186円)」

『天神屋』のいちばん人気は「大根」。こだわりの「大根」はとてもぶ厚く、食べ応えたっぷりです。大根が持つ苦みが美味しいダシに移らないよう下茹で。さらに旨みがよく染み込むように、一度冷ましてから煮込んでいるのだとか。これによって、牛すじやたくさんのおでん種から出る美味しいダシをたっぷりと吸った大根ができあがるんです。

 美味しいダシを含んだ「大根」はもちろんですが、他にも筆者がおすすめしたいのは「富士の白雪」です。こちらは澱粉で作られたボールの中に鶏肉団子が入ったもの。食べてみるとびっくり、モチモチとした不思議な食感で、やみつきになる美味しさです。

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた
ジューシーな「玉子焼き串」150円

 そして必ず食べておきたいメニューその2は、「玉子焼き串」です。おでんというと、茹で卵に行きがちですが、ここではこれを食べてみて。旨みたっぷりのスープを含んだ玉子焼きは、究極のだし巻き玉子のような味わいなんです。これは美味い!

まとめ

 地元のソウルフードとして人気の静岡おでん。ダシをたっぷりと吸った練りものをダシ粉や味噌をつけていただくおでんは絶品です。静岡に行ったらぜひ味わってみたいものですが、旅の途中でも楽しめるんです。『天神屋』は、新東名高速道路のサービスエリア、パーキングにも出店。浜松、掛川、静岡、駿河湾沼津の上下線に8店舗出店しているので、途中降車しなくても気軽に寄れるので便利。近くに行ったら必ず寄りたい老舗の名店です。

●SHOP INFO

【静岡グルメ】黒いスープの秘密とは? 創業70年の老舗『天神屋』で静岡おでんの秘密を探ってきた

店名:天神屋 ドライバーズスポットNEOPASA浜松下り

住:静岡県浜松市浜名区都田町7822-7
TEL:053-428-0388
営:6:00~22:00
休:なし

●著者プロフィール

矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国、ウラジオストクなどのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。