●石川県小松市に訪れたらぜひ立ち寄りたい名店2選。料亭文化を感じる女将のいるお店で地元ならではの旬の味覚を楽しみませんか?

加賀百万石といわれた石川県小松市。

北前船の寄港地の港町として栄え、新鮮な海の幸を生かした旬の「会席料理」を、お酒と共に楽しむ料亭文化が今も根付いています。昨今では料亭や料理店の女将、若女将で結成された「小珠の和」が、そんな食と文化を後世に残そうとさまざまな活動をしています。

今回訪れたのは、そんな女将がいる2つの料亭のような日本料理店。
国宝作家などによる九谷焼の器などで旬をいただく『日本料理 梶助』と、隠れ家で美しい食に出会う『和餐 伸』、それぞれの魅力をご紹介します。どちらも小松市の食の素晴らしさだけでなく、ものづくりや女将の人柄にもふれられ、また訪れたいと思わせる名店でした。

旬のカニ料理も。九谷焼の美しさ器、粋な女将のおもてなしに惚れる『日本料理 梶助』

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
三代目の梶 太郎さんと、女将のあい子さん

1963年創業の『日本料理 梶助』は懐石料理、カニ料理和食の日本料理店として地元でも人気のお店。旬のカニ料理をはじめ、海の幸、地のものを使った加賀料理を料亭文化が感じられる空間とおもてなしの中、味わうことができます。

料亭というと、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、小松の料亭文化は商人など町衆が利用していたもの。文化を感じながらも親しみやすさがあり、その町のことを知るならぜひ訪れたいお店といえます。
ちなみに加賀料理は京料理に次ぐ2列目の無形文化財。料理だけでなく、九谷焼などの器、設え、もてなしまで総合芸術として高く評価されているんですね。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
現代作家から国宝作家のものも取り揃うぐい呑み

出迎えてくれたのは、キリッと美しい和装姿で現れた女将の梶 あい子さん。テキパキと美しい所作でまず、お酒の器選びをすすめてくれました。美しい九谷焼のぐい呑みは愛らしく、どれも選びがたい。中には国宝作家のものもあり、ただ食を味わうだけではない楽しみを最初から与えてくれます。

次々と現れるのは現代九谷焼作家の器や輪島塗の器と、添えられた個性ある加賀懐石料理の数々。素敵なぐい呑みで地元の酒蔵『神泉』の「純米吟醸ブルーラベル」を地元の旬を生かした料理とともに味わうひとときは他では味わえないものです。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
金時草のお浸しと、漆器に盛られた「きのこ汁」(奥)

「先付」は金時草のお浸し。九谷焼で初めて人間国宝に認定された初代・徳田八十吉氏の器で贅沢に、滋味深い料理をいただきます。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
上:とろけるような新鮮な「お造り」は吉田幸央氏の器。下:タラの唐揚げなどの旬の天ぷら。北村和義氏の器

合わせる器選びも素晴らしい。特に気に入ったのは、お造りの繊細な色合いを引き立てる薄いグリーンの器。シンプルながら素材の味わいを引き出した料理に、この愛でるような器を合わせるとなんとも美しく、楽しみが増します。

「この地域は冬場になると雪や曇りの日が多くなりますが、湿度がある気候は漆陶芸にすごく適しているんです。

外にグレーの空が広がっていても器の色味で家の中に明るさをもたらし、目で楽しみながら冬を過ごす。そういった器に料理を盛ることを料理人さんは昔から継承してきていて、この地のDNAみたいなものが流れているなと思うんです」(あい子さん)

お酒と料理が進むにつれ、あい子さんの舌も饒舌に。器や料亭文化の歴史を教えてもらいつつ、会話を弾ませ、料理を味わう。かしこまることなく、小松市の気さくさに触れるひとときを過ごすことができました。

●SHOP INFO

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ

日本料理 梶助

住:石川県小松市大和町141(小松駅から徒歩5分)
TEL:0761-22-8314
営:11:30~14:00(L.O.13:30)、17:00~22:00(L.O.21:30)※要予約
休:水曜、他不定休あり
https://www.kajisuke.co.jp/

あの一皿にまた出会いたくなる。隠れ家のような『和餐 伸』の本格和食

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
繊細な料理を手がける店主の釜井 伸也さんと、女将の田江さん

小松市の中心地から少し離れたところにあるのが、日本料理店『和餐 伸』。趣のある数奇屋造りの店内でくつろぎながら、目にも美しい旬の料理をいただくーー隠れ家のような、こっそりと教えたい美食の名店です。

こちらでも九谷焼など伝統工芸の器や設えを扱い、五感で地元の素晴らしさを体感することができます。そして、女将の釜井 田江さんが穏やかな笑顔でおもてなししてくれます。

店主の釜井 伸也さんは富山のニューオータニ、大阪ニューオータニなどで修業を積んだあと、平成8年、女将とともに地元・小松でこのお店をオープンしました。いただけるのは、伝統と斬新さを兼ね備えた本格和食。先付、造り、湯物、焼八寸、お食事といったミニコースを5,000円台から味わえるのも魅力。

一皿一皿、地元の食材を活かした丁寧な料理はどれも繊細で、心に沁みる美味しさです。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
豆腐とマスカルポーネチーズを使った牛乳茶巾の先附。また味わいに行きたい一皿!

訪れた日にいただいた、最初の一皿に感動。小松で作られる豆腐とマスカルポーネチーズとの出会いが新しい先附です。牛乳茶巾はヨーグルトデザートのようなさっぱりとした風味で最初の一皿にふさわしい一品でした。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
黒ごま豆腐の湯葉あんかけ。染みいるような出汁のあんかけも美味
【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
焼八寸

こちらの代表的な一皿が、鮮やかな「焼八寸」。季節の味覚が器の中で色とりどりに盛り付けられ、なんとも楽しく、美しい。この日は焼き魚(かます)や卵焼き、野菜、甘い練り物、手作りのポンポン菓子などが盛り付けられ、一品一品の味覚をじっくりと堪能しました。

【石川・小松の料亭文化】を体感する名店2選。女将と旬の味覚で心温まるグルメ旅へ
この日はキノコの炊き込みご飯。自宅で作れる「窯炊きご飯のセット」も販売しています [食楽web]

最後は季節の炊き込みご飯をほっこりと。最後まで体と心に優しく寄り添う愛しい時間でした。

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季節ごとに風景も味わいも変化する小松市の名店へ、伝統と旬の食事を味わい尽くしに出かけてみてください。

●SHOP INFO
和餐 伸

住:石川県小松市白江町ハ69-1
TEL:: 0761-22-0258
営: 11:30~14:00(L.O.13:30)、18:00~(L.O.21:30) ※日・祝日はL.O.20:00
休:月曜、火曜の昼
https://wasan-shin.com/

(撮影・文◎編集部)

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