独自の「生産者直結」モデルで『塚田農場』などの飲食店を運営する株式会社エー・ピーカンパニーが、新店『地どり屋つかだ』を6月20日渋谷にオープン。 “違いのわかる大人のための塚田農場”をコンセプトに、地鶏をメインに据えた趣向を凝らした料理を味わえます。
そのお値段8品コースでなんと2800円!一般的に6000円~8000円の客単価の店で扱われる地鶏を、生販直結モデルによりコストパフォーマンスの高い提供を実現しています。今回はコース全8品の「ひととおり」(2800円)を中心に、注目メニューをいくつかいただいてきましたのでご紹介します。
コースは5品1800円と8品2800円の2種類

総合居酒屋という印象がついてしまった『塚田農場』のポジショニングを修正し、地鶏専門店としてリブランディングするための旗艦店として誕生した『地どり屋つかだ』。店内中央には、“炎を上げる炭火調理”の場をステージさながらに配置し、グレーを基調に黒で引き締めシックな雰囲気に。宮崎県「飫肥杉(おびすぎ)」のカウンターテーブルで木の温かみをプラスし、落ち着いた大人の空間に仕上げています。

提供する料理ジャンルは、みやざき地頭鶏を使った“地鶏料理”。コシがあるのにやわらかい、ジューシーな肉質と噛めば噛むほどに湧き出る深い味わいが特徴の「みやざき地頭鶏」の魅力を生かしています。
通常ブロイラーが50日程度で成鶏になるのに対して、地鶏の育成期間の規定は75日以上。そこを、こちらの会社で使用するみやざき地頭鶏などの地鶏では雌150日、雄120日と長期の飼育期間を経て出荷。その分の飼育費用がかかり単価が上がってしまいますが、同店では生販直結モデルにより低価格での提供を実現しています。ちなみに従来の『塚田農場』で使用されている鶏肉もこちらのみやざき地頭鶏になります。
サムゲタンや坦々麺、しゃぶすきなどさまざまな地鶏料理が味わえるコース

「ひととおり」最初の一品は、プレミアムな自社卵「塚だま」と、地鶏の鶏骨スープと塩だけで仕上げた「茶碗蒸し」。とろみのある餡だしは、骨と皮、肉からだしが出る手羽を使うことで濃厚で澄んだ味わいに仕上がっています。

2品目は「塚田農場」で人気のおつまみメニューをおしゃれに盛り付けた「ひとくちおつまみ盛合せ」。
噛むごとに旨みが口いっぱいにあふれる「地鶏炭火焼」もリニューアル

続く3品目は『塚田農場』でも名物の「地鶏炭火焼」。鶏本来の旨みを大切にするため、外はカリッと中はレアめに焼いてからひと口大にして、塩のみでシンプルに味付け。右側の胸肉は梅八味と一緒に、左側のもも肉はまずはそのまま、そのあと黒ニンニク味噌、国産ハラペーニョの酢漬けをお好みでつけていただくのがおすすめです。
胸肉もパサつきが一切なく、香ばしい炭の香りに鶏油の香りが合わさって滋味あふれる一品。もも肉に至っては脂身が牛ホルモンのようにブリッブリで旨味と甘みがあり、でも脂のしつこさは感じさせない秀逸さでした。

4品目は「手羽餃子」もしくは「地鶏の冷菜」からお好みをチョイス。今回はおすすめだという「地鶏の冷菜」で「地鶏たたき 葱かくし」を選んでみました。まずはそのビジュアルにびっくり! 一面のネギの中に胸肉のたたきが隠れています。地鶏ならではのしっかりとした歯応えと旨みが感じられ、日向夏ポン酢と一味でさっぱりといただける夏にぴったりの一品です。
約10種類の薬膳スパイスが効いた地鶏の本格派サムゲタンに舌鼓

5品目も「地鶏のサムゲタン」「地鶏のしゃぶすき」という2種類から選べます。今回は開発者も自信作だという「地鶏のサムゲタン」を選択。みやざき地頭鶏の手羽先と手羽中をクミンや八角、ナツメなど約10種類の薬膳スパイスでじっくり煮込んでいます。
骨やコマ肉とともに煮込まれたダシは地鶏ならではの濃厚かつ芳醇な味わいで、じんわりと口の中に染み渡っていき、手羽先は箸だけで骨がほぐれるほどホロホロです。個人的には白米を足して煮込んで欲しいなと思ってしまうほど、完飲必至の絶品ダシでした。

6品目の「しらすクレソンサラダ」と7品目の「季節の小鉢」を経て、最後8品目もまた「汁なし担々麺」、「親子丼」のどちらかを選ぶスタイル。私は開発者が300回以上試作を重ねた自信作だという「汁なし担々麺」をいただいてみました。
白みがかった中華麺に大小2種類の挽き方で食感を際立たせた地鶏のひき肉、その上に「マーガオ」という台湾古来のレアスパイスとナッツ、パクチーをトッピングし、ゴマダレと自家製ラー油を合わせています。レモングラスのような爽やかなマーガオの香りと地鶏ひき肉の旨みが自家製ラー油と絡み、なんとも後引く味わい。「坦々麺専門店でもイケるのでは?」というくらいの完成度で、これだけのために来店したいほどです。ちなみにアラカルトで注文することも可能で、その場合もお値段680円とリーズナブルなのが嬉しいところ。
生産者にこだわったお酒やソフトドリンクも見逃せない!

『地どり屋つかだ』では提供するお酒やソフトドリンクも生産者にこだわったものばかり。例えば定番のサワーも、小玉醸造の代表銘柄「杜氏潤平」の原酒を使用した「紅芋ハイボール」など、作り手にこだわったクラフト焼酎に厳選しています。

また「川根ふわふわ抹茶ハイ」をはじめとしたお茶割りメニューは、南アルプスを源流とする大井川の流域にある諸田さんの茶畑で作られた「川根茶」を使用。標高が高く冷涼な空気から、農薬を使用せずに茶葉を作ることができるため、クリアで甘みのある、お茶本来の味を楽しむことができます。茶せんで抹茶を点てフワフワにしてサワーで楽しむというのも面白いですよね。
塚だまを使った大人な味わいのスイーツも魅力

スイーツまで抜かりないのが『地どり屋つかだ』の強み。前述した塚だまを使った濃厚プリンのほか、同じく塚だまを使った「ひとくちチーズケーキ」、「北海道ミルクアイス」(300円)が揃います。塚だまの全卵と卵黄を合わせ、トンカ豆で香りづけをしてレモンの風味を隠し味にしたチーズケーキは、卵の旨みが感じられつつしっとり&重めの食感で、ひとくちサイズなのに満足度も抜群。コーヒーや紅茶のほか、赤ワインなどとも合いそうな甘すぎない大人の味わいです。
食材の生産から流通、販売に至るまで全てを一貫して手がけることで、消費者へ低価格で高品質な料理を提供している『地どり屋つかだ』。企業努力の賜物ともいうべきこのコースを、ぜひ店舗で体感してみてはいかがでしょうか?
(取材・文◎中森りほ)
●DATA
店名:地どり屋つかだ
住:東京都渋谷区道玄坂2丁目6-1 渋谷岩崎ビル 3F
TEL:03-5456-6277
営:17:00~23:30、日曜、祝日17:00~23:00
休:なし
https://www.tsukadanojo.jp/jidoriya/
※値段は全て税別