今年で4年目となる「四川フェス 2020」が12月25日まで開催中です。その実行委員会委員長であり、四川料理に日本一詳しい麻辣連盟総裁・中川正道さんに、これから間違いなくブームになる四川料理について教えてもらいました。
今では、日本の家庭でもよく食べている麻婆豆腐や回鍋肉、チンジャオロース、バンバンジー。これはいずれもご存知、中国・四川省の家庭料理です。
日本にこの四川家庭料理が広まったのは、四川省宜賓出身の陳建民氏(料理の鉄人・陳建一氏のお父さん)が1950年代に来日したのが発端。当時の日本人は辛さにはほとんど免疫がない状態。そんな中、陳氏は刺激的な麻辣味の四川料理を、日本人が食べられるように工夫・改良して提供したわけです。

長らく日本では、この日本人向けにアレンジされた四川料理がメジャーだったわけですが、日本人も辛さやシビれなどの刺激的な味に慣れてきた令和のいま、四川料理は、より現地の味に近づいています。そうした流れの中、今後、ブームになりそうな四川料理をご紹介したいと思います。
ぶっ飛ぶほど大量の唐辛子と花椒を使用した料理

「四川フェス」(2020年は12月14~25日開催)の参加店舗では、多くのお店が、唐辛子と花椒を使った鶏肉の炒めもの「辣子鶏(ラーズジー)」を提供しています。
これは重慶の歌楽山発祥の郷土料理で、四川省全土で食べられている人気メニューです。鶏をカリッと揚げ、日本人にとっては尋常じゃないほど大量の唐辛子と花椒で炒める刺激的な麻辣味。

辣子鶏は、東京・飯田橋にある『中国茶芸苑 馥(フク)』や虎ノ門にある『本格上海・四川中華料理 開縁』などがオススメです。
この辣子鶏に入っている唐辛子と花椒は、味や香りつけのために入れる香辛料のため、通常は食べません。当然、大量の唐辛子と花椒がお皿に残ります。

「これはもったいない」と、唐辛子と花椒を刻み炒める発想で生まれたのが、東京・赤坂の『陳麻婆豆腐』が出している「ドラゴン炒飯」です。これは火を吹くほど辛い激辛炒飯ですが、一口食べるとやみつきになる美味しさです。
密かなブームの激辛魚料理「火考魚」

続いて、私の中でブームの予感がビンビンしているのが、四川の魚料理。中でも「火考(本来は一つの漢字。火偏に考)魚」という料理。これは、魚を炭火などで炙り、激辛のスープで浸して煮込む重慶市万州の郷土料理です。
2003年くらいから四川省成都に浸透し、瞬く間に四川省全土に広がった人気料理なんです。特徴は魚の大きさ。魚1匹をまるまる使用するので、ボリュームもたっぷり。さらに煮込むことで魚の出汁と辛いスープが一体となり、食べ続けるとさらに美味しくなるのも特徴です。
鍋料理のように野菜の追加もでき、これ一品でもう他はいらなくなるので、コスパも抜群なんです。
日本人が知っている四川料理は実は、まだまだほんの一部に過ぎません。
●DATA

四川フェス2020
https://meiweisichuan.jp/sisen-fes2020