「カリッ、バリッ、パリパリッ、もぐッ、もぐッ」。ここ数年、咀嚼音やタイピングの音など、耳心地の良い音を聴かせるASMRがブームのせいか、YouTubeをはじめ、TVやラジオで食べ物の咀嚼音を聞く機会が増えました。

まるで自分が食べているような感覚で、思わず聞き入ってしまいますよね。

 先日も長崎在住で音響を仕事にする知人から、から揚げを食べる音が送られてきて、思わずゾクゾクしてしまいました。いつも食べているから揚げの音とはあきらかに違う大きなサクサク&ザクザク音。さら噛んでいるモグモグ音からは肉の厚さも伝わってきて、食べてもいないのに、口の中で肉汁がほとばしっていくような感じ。

「何これ? めちゃくちゃ美味しそうだね」と返信すると、「これ、ただのから揚げじゃないんだよ」と言うのです。

 実はこれ、いま長崎で大ブームを巻き起こしている『福まん家』の「あご出汁から揚げ」の咀嚼音をASMRマイクで録ったんだそうです。このから揚げがすごいのは、連日のようにお店に人が行列を成しており、長崎をはじめ全国62店舗の『福まん家』でなんと1日計4.5万個、毎月トータルで150万個以上が売れている、もはや“長崎の誇る伝説的なから揚げ”なんだそう。

毎月150万個が売れる! 長崎発祥『福まん家』の「あご出しから揚げ」が大人気のワケ

 知人の話によると、ここのから揚げの特徴は、1個が一般のから揚げの2倍ほどの大きさで、なおかつ、あご(トビウオ)出汁と長崎五島のつばき油を使ってサクサク感やジューシーな食感を出しているとのこと。

 ちなみにあご出しから揚げは1個120円。コロナ禍でテイクアウト需要が高まったことも背景にあり、1回に10個、20個、30個と大量買いする人が続出しているんだそうです。

毎月150万個が売れる! 長崎発祥『福まん家』の「あご出しから揚げ」が大人気のワケ

 こんなに美味しい音と情報を聞かされて満足できるはずがありません。そこで、筆者はすぐにお取り寄せしようと思ったのですが、残念ながら通信販売はしていないとのこと。

というわけで、家からもっとも近い東京・大泉学園にある『福まん家』に行くことにしました。

美味しい音はやっぱり美味しい証だった!

毎月150万個が売れる! 長崎発祥『福まん家』の「あご出しから揚げ」が大人気のワケ

 購入したのは、イチオシの「あご出しから揚げ」(1個120円)。知人の証言どおり、確かに一般的なから揚げの2倍ほどはあろうかというビッグサイズ。箸で持ち上げるとずっしり重くて、ものすごく芳ばしい香りを放っています。

 早速ひと口かじってみると、前述した咀嚼音をはるかに超える、「カリカリッ!」と軽快な音。衣が口の中で砕けていく心地よい音が耳を振動させます。さらに歯が肉に到達するやいなや、ふっくらとした柔らかさが顎に伝わってきて、ジュワ~ッと肉汁が広がるのです。これらの音が反響し、ASMRとは違い、カラダ全体に響いてきます。

 そして何より驚くべきは、その甘さです。甘いといっても砂糖のような甘さではありません。あご出汁のうま味からくるじんわりした甘み。

毎月150万個が売れる! 長崎発祥『福まん家』の「あご出しから揚げ」が大人気のワケ

 1個、2個、3個と食べても、揚げ物ならではの重たさが全然ありません。

これは長崎の五島列島の高級油・椿油によるものでしょう。油のキレ感、サクサクの軽さ、そして、なんと表現したらいいのかわかりませんが、椿油ならではのツヤっぽいみずみずしさとでも言うのでしょうか。こんな和風の上品な味のから揚げ、正直、いままで食べたことがありませんでした。

 ちなみに、「福まん家のから揚げは、冷めても美味しい」と知人が言っていました。たしかに、時間を置いて冷えたものでも衣がベチャッとせず、カリッとしたまま。油がくどくなることもなく、お肉も柔らかさをキープしています。冷えたから揚げも絶品でした。

 現在、『福まん家』は、長崎県内、東京・大阪・福岡・愛媛・沖縄など全国62店舗あるそう。話題の「あご出汁から揚げ」の実力のほど、ぜひご自身の舌でお試しあれ。

(撮影・文◎土原亜子)

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