●“兵庫テロワール旅”として訪れた「丹波」にはどんな魅力があるのでしょうか? 地域ならではの食や文化に触れ、日本の素晴らしさを体験できる唯一無二の旅をご案内します。
最近、「兵庫テロワール旅」という言葉をよく見かけますが、一体どういう旅なのでしょうか?
テロワール=「土地の個性」を意味するそうで、海や川の水、気候や土壌、そこに暮らす人々、実る食物など、兵庫ならではの個性=魅力を五感で感じることができる旅なのです。
兵庫といえば神戸と、有名な観光地をイメージする人が多いと思いますが、実は5つの地域「兵庫五国」からなり、それぞれ全く異なる魅力にあふれています。

今回訪れたのは「丹波」エリア。山に囲まれた地形と、盆地特有の寒暖差がある風土を活かした食の産地であり、陶芸の町としての歴史も深く、焼きものの産地としても発展してきました。今回は、人気の城下町エリアにある唯一無二のレストランや、隠れ家で見つけた絶品スイーツ、銘酒に出会える酒造巡りなど、いつもと違う食の旅へご案内しましょう。
旅の案内役は神姫バスが企画する、上質なおもてなしを体験できるラグジュアリーな観光バス「真結(ゆい)」。ゆったりと快適に過ごせる「丹波」のテロワール旅へ、いざ出発!
城下町散策の後に。一皿ごとに感動と懐かしさを覚える『山里料理 まえ川』の料理とは?

丹波篠山の観光地といえば「城下町」エリア。約600mにわたり、藩政時代の面影を残す家並みが続いており、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。ここには江戸時代の武家屋敷が残る地域のほか、昔の庄家が立ち並び、古くから続くお店、カフェや雑貨店などの新しい店が混在。ぶらりと町歩きするのも楽しい場所となっています。
城下町エリアらしい風情ある佇まいの名店

そんな城下町の一角に、ランチやディナーに訪れたい一軒のお店があります。それが、篠山の食文化を紡ぐ若き料理人・前川友章さんの店『山里料理 まえ川』です。

店内は町屋の風情を残した造りになっており、しっとりと居心地がいい。
「ちょっとした調理の工夫で、昔から伝わる料理がとても美味しくなる」……彼の料理の原点にはそんな思いを教えてくれたおばあちゃんの料理があるそう。そこに彼ならではの斬新な味付け、盛り付け、器選びなどが合わさり、「懐かしく、素材のシンプルな美味しさを感じながら、なんとも斬新な一皿一皿」が楽しめるのです。
ジビエの解体スペースも装備。本気のジビエ料理がいただける

鹿や猪を使ったジビエ料理も楽しめるのがポイント。店内には解体スペースもあり、新鮮な肉をシンプルに調理し、工夫を凝らした薬味や調味料でいただきます。ジビエは人によって好き嫌いがありますが、こちらでいただけるのはなんともクセがなく、実に美味しい。


〆のごはんと味噌汁、漬物にいたっては、身体に染み渡るような旨さに感動。ごはんは天日干しした米を土鍋で炊き、ほんのりと甘く粒立っています。味噌汁は、黒豆味噌を使った深みのある一杯。漬物も一つひとつ、多彩な味わいを見せ、ごはんと味噌汁と漬物。これだけで、日本の素朴な料理の素晴らしさを感じとることができました。
●SHOP DATA
山郷料理 まえ川
住:兵庫県丹波篠山市立町93
TEL:090-2065-4595
営:11:30~15:00(L.O.14:00)、17:00~22:00(L.O.19:00)※ディナーは要予約
休:不定休(月曜定休、祝祭日の場合は翌平日)
※篠山城跡から東へ徒歩約6分
最高級小豆を使った『あずき工房やなぎだ』の「おはぎ」が絶品すぎるワケ

丹波の特産品といえば丹波黒大豆(丹波黒)が有名ですが、大納言小豆の産地としても知られています。中でも最高級品と言われるのが「丹波黒さや大納言小豆」。大粒で表皮が薄く、つややかで四角に近い形で艶やかな光沢を帯びており、糖分が高くて味わいもよいのです。
2001年には皇太子家に愛子様が誕生された際に献上。また秋篠宮家悠仁親王誕生祝いにも献上されました。

今回訪れた『あずき工房やなぎだ』は「丹波黒さや大納言小豆」が収穫できる東中地区にあり、この希少な小豆を守り伝えています。

こちらで頂いたのは「おはぎセット」。地元の生産者による餅米にコシヒカリを混ぜ、ザラメで味付けしたあんこで包んでいます。甘すぎないあっさりとした味わいで、小豆の風味や食感が存分に感じられ、とにかく絶品! お店の佇まいも心地よく、ゆっくりとその美味しさをかみしめることができました。
人気の道の駅「丹波おばあちゃんの里」から比較的近い場所にあるので、合わせて立ち寄るのもおすすめです。
●SHOP DATA
あずき工房やなぎだ
住:兵庫県丹波市春日町東中1425
TEL:0795-75-1249
http://azukikoubou.jp/
※営業日時はHPをご覧ください。
日本で最も古い「茶処」の一つ! 「丹波ささやま茶」とは

篠山には兵庫随一の茶の産地があり、「丹波ささやま茶」として販売しています。その歴史は平安時代まで遡り、日本で最も古い茶処の一つとされているのだとか。この地域は盆地のため昼夜の寒暖差が大きく、香味豊かな茶葉を育てるのに適しているのです。

今回は生産工場を訪れ、3つの代表するお茶をいただきました。
丹波篠山でしか味わえないのが「青柳」。一番茶の時期に摘み取り、仕上げ加工をせずに製茶したもの(荒茶)です。確かに荒々しい渋みを感じる一杯ですが、これが他にありそうでない風味。お茶請けやご飯のお供に気兼ねなく飲めます。

一方、「煎茶」はバランスの取れた旨みと渋みが感じられ、まろやかな後味にほっこりとします。篠山の名物「黒豆」の優しい甘さと、この煎茶の旨みがよく合うので、ぜひ一緒に味わって欲しいですね。

城下町エリアの「特産館ささやま」や「大正ロマン館」のほか、「黒豆の館」、「舞鶴若狭自動車道 西紀SA(下り)」などでも扱っているので、見つけたらぜひ手にとってお土産などにご活用ください。
兵庫は酒造りも盛ん! 『小鼓 西山酒造場』で清酒「小鼓」の飲み比べを体験

5つの地域からなる兵庫県は、エリアごとに特色のある日本酒造りが盛んに行われています。丹波は美しい山々と澄んだ川に囲まれた日本酒づくりに適した地域であり、日本三代杜氏の一つ「丹波杜氏」の発祥の地でもあります。
今回訪れた『西山酒造場』は1849年創業の老舗酒造。その酒造りは日本酒だけに留まらず、リキュールや焼酎、ノンアルコール製品や甘酒ヨーグルトに至るまで、若い人にも親しめる一品も多く揃います。

こちらではお酒の購入だけでなく、歴史ある酒蔵の見学や、利き酒教室なども積極的に行っています(要予約)。

今回は代表的な清酒「小鼓」の飲み比べを体験してきました。この「小鼓」は俳句に精通していた三代目、四代目が高浜虚子と出会い、「小鼓」と命名してもらったのだとか。
試飲したのは純米大吟醸「路上有花(ろじょうありはな)」の「葵」、「黒牡丹」、「桃花」。全体にとても飲みやすく、スッと喉越しのいい味わい。食中酒にとても適していると感じました。
「葵」は小鼓を代表するお酒で、モンドセレクション最高金賞など数々の受賞歴があります。酒米に山田錦を用い、あっさりとしていながらコク深い。希少な酒米・但馬強力で造った「黒牡丹」は澄んだ味わいの中に甘味と辛さ、酸味も感じられ、酒好きが選ぶ一杯でした。兵庫北錦で造られた「桃花」も数々の受賞歴があり、バナナやヨーグルトの風味を感じるような、ふくよかな味わいに仕上がっています。

ボトルのデザインも斬新で、お土産にも重宝しますよ。酒蔵の素晴らしさ、酒造りの歴史を感じられる『小鼓 西山酒造場』。
●SHOP DATA
小鼓 西山酒造場
住:兵庫県丹波市市島町中竹田1171
TEL:0795-86-0331
営:9:00~17:00
休:不定休
https://kotsuzumi.co.jp/
日本遺産・六古窯の一つ「丹波焼」の里を巡る

丹波篠山市は風土を生かした食の産地。その食と共に焼きものの産地としても栄えてきました。「丹波焼(丹波立杭焼)」は日本六古窯の一つとして古い歴史を持ちます。

四斗谷川沿いには60軒の窯元があり、県有形民俗文化財である長さ約47mの「登り窯」も現存。歴史あふれる路地を行きながら、様々な窯元を巡る楽しみがあります。

丹波焼の陶器は、茶褐色の土肌と素朴な風合いで、自然の息吹を感じるような温かさがあります。その器たちは日々の暮らしにしっくりとなじみ、愛着の湧くものばかり。
伝統工芸公園「立杭 陶の郷」では様々な陶芸家の作品を一堂に見ることができるので、迷うならまずはこちらへ。丹波焼の里にはごはん処や日帰り温泉もあるので、レンタサイクルを借りて1日ゆったりと満喫するのも楽しいですよ。
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●兵庫テロワール旅は心に残る豊な体験を与えてくれる
他の地域では体験できない、兵庫の魅力を存分に感じた「丹波」のテロワール旅。日々の喧騒を忘れさせてくれるゆったりとした時間に包まれて、産地の魅力を感じ取ってみてはいかがでしょうか。
●兵庫テロワール旅
https://www.hyogo-tourism.jp/terroir/