きょうは、コンニャクのお話です。コンニャクの消費が減っていて、農家が困っています。

そんな中、群馬大学が、捨てられていたコンニャクイモの皮を使って、あるサプリメントを開発しました。

コンニャクイモからが認知症サプリに

そんな中、群馬大学が、コンニャクイモを使ったサプリメントを開発しました。開発した群馬大学の教授、板橋 英之さんに伺いました。

群馬大学・教授 板橋 英之さん

コンニャクの「飛粉(とびこ)」って言うんですけど、その成分を使ってサプリメントを作った。普通コンニャクって精粉=粉にして練って作るんですが、そっちには入ってなくて、捨てている「皮」の方の部分ですね、それから抽出した成分を小さいカプセルに入れています。

実は、日本の認知症患者の約7割がアルツハイマー型と言われていて、脳内に「アミロイドβ(べーた)」っていうタンパク質が溜まる。これによって脳が萎縮して認知機能が落ちるというふうに考えられています。

実はこのアミロイドβは、皆さんも溜まってるんです。しかし寝ている間に排除する機能が働いていて、なので溜まらないんです。ところが加齢とともに、除去する機能が落ちてきちゃうんですね。だけど今回、このサプリメントを摂ることによって、脳からアミロイドβを除去する機能が増大するんですね。それでアミロイドβが脳から除去されて、アルツハイマー型の認知症のまず予防につながる。あと、もう溜まっちゃってる人も減ってくるので、場合によると改善効果も期待できるということです。

捨てていた皮が認知症予防に!群馬コンニャクに光明の画像はこちら >>
<コンニャクイモ(イメージ)>

コンニャクイモの、これまで捨てられていた「飛粉(とびこ)」という部分に宝が隠れていました。

アルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ(べーた)」というタンパク質。これは、実は誰の脳にも毎日溜まっているそうですが、寝ている間に脳のお掃除機能が働いて、朝起きるとフレッシュな状態にリセットされます。ただ、加齢とともにお掃除機能が落ちてくると、この「アミロイドβ」がどんどん溜まっていって、アルツハイマー型認知症につながってしまいます。

今回カギを握るのが、コンニャクイモの「飛粉」に含まれている「スフィンゴ脂質」という成分です。この成分をぎゅっと濃縮したこのサプリメントを、1日1回、寝る前に2錠飲むことで、お掃除機能をサポートして、アミロイドβを除去してくれるというわけです。

コンニャク大量に食べられない

じゃあ、わざわざサプリを買わなくても、コンニャクそのものを食べればいいのでは?と思ったので、板橋さんに聞いてみました。

群馬大学・教授 板橋 英之さん

コンニャクも、「精粉」という粉にして練った普通のコンニャクには入っていないので、スフィンゴ脂質は。なので、捨てちゃってる飛粉まで入ってる、まるまるコンニャク芋を使った「生芋コンニャク」っていうのがあるんですが、それだったらスフィンゴ脂質は入ってますが。

ただ、それで今回のサプリメントと同じ量のスフィンゴ脂質を取ろうと思うと、計算してないですけど相当たくさん食べなきゃいけないので、それは非現実的だと思います。コンニャクくってほとんど水分なので、多分それをそのまま取ると、一日何キロか食べないとダメなんじゃないかと思いますけど。

普通のコンニャクは製造過程で「飛粉」を落としてしまうので、有効な成分が入っていません。飛粉も入っている「生芋コンニャク」という商品もありますが、それでも1日何キロも食べないといけないので、現実的ではないそうです。

生産するほど赤字...農家の苦境

一般販売は来年を予定していますが、このサプリに、実はコンニャク農家の方々も大きな期待を寄せているんです。群馬県でコンニャク農家を営む、関 康浩さんに伺いました。

コンニャク農家 関 康浩さん

正直なところ、作れば作るほど赤字っていう状況まで追い込まれている。昨年までですね、コンニャクのいわゆる「生芋相場」というものが非常に低迷しておりまして、一俵当たりって30キロなんですけれども。高い時ですと2008年が8283円だったんですね。実は昨年が3021円なんですね。8000円から3000円ですのですごいですよね。要は、消費が低迷して、完全な赤字でして…。

正直、板橋先生がやっていただくのは非常にありがたい。我々生産してる農家が潰れちゃうと、アルツハイマー病予防になる飛粉も手に入らなくなりますので。ごめんなさい、ここは私たちも生活もあるので、生活できるだけの価格になってほしいというのがあります。

群馬県は、コンニャクイモ生産の全国90%以上を占める一大産地です。

ところが、煮物や鍋物をする家庭が減り、世帯数も減って、消費は激減。価格は大暴落し、農家を辞める人も出てきています。

そんな中、捨てていた皮に宝が隠れていた。板橋さんは、サプリの収益の一部を農家に還元して、皮を新しい収入源にしたいと話していました。

サプリで認知症予防、コンニャクで農家を応援。そして板橋さんは、この研究をさらに進めて、将来的には医薬品としての開発も視野に入れているということでした。

関さんたち農家が強調していたのは、「粉ではなく"芋"を使った製品を選びましょう」という報道が、逆に農家を苦しめているということ。世の中の9割は"粉"を使ったコンニャク製品なので、むしろ普通のコンニャクを食べてくれないと、消費量は上がらない。関さんは、手軽に食べられる「しらたきサラダ」を勧めて、コンニャクの消費拡大に取り組んでいます。

(TBSラジオ(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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