衆議院が明日1月23日、解散されます。そして27日に公示、2月8日が投開票。

この急な選挙をめぐって、あちこちで振り回されている人がいます。

選挙の騒音が受験を直撃 日程を外すべきだった

特に話題になっているのが受験生。2月8日は受験シーズンのど真ん中で、多くの大学が入試を予定しています。この件について、若者で作る団体「日本若者協議会」が声明を発表しました。代表理事の室橋 祐貴さんに伺いました。

「一般社団法人 日本若者協議会」代表理事 室橋 祐貴さん

今回、「衆議院議員選挙における受験生に対する配慮を求める声明」というのを出しまして、一番はやっぱり受験、まさに入試の間に、選挙運動とかの音声で、例えばリスニングで聞きづらくなったりとか、音がうるさくて集中力が妨げられたりっていうところが悪影響として出るっていうのを一番懸念しています。

受験生に対して「当日投票に行って」とはもちろん言えないので、「期日前投票を利用して」っていうのは、政府の立場として言うのはもちろん理解はできるんですけど、でも、そもそもこの日程を設定したのは内閣。そもそも懸念するのであれば、この時期の選挙は外すべきだったんじゃないかなっていうのが正直なところです。

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受験生にとっては、落ち着かない状況です。2月8日の投開票日は、早稲田大、上智大、明治大、中央大学、関西圏では同志社大、立命館大など、私立大学の一般入試のピーク。もちろん、選挙の当日は街宣車や街頭演説は禁止されていますが、一週間以上続く選挙期間中、試験会場や予備校周辺で騒々しくなるのは避けられません。ちなみに、東京経済大学では、2月3日から9日にかけて入試を予定していますが、従来、使用を認めていなかった「耳栓」について、今回に限って使用を認めると先日発表しました。

さらに、受験生の多くは18歳、つまり高校3年生。

初めての選挙となる人も多くいます。統計をみると、19歳や20歳より18歳の投票率が高いそうですが、追い込みの時期に「期日前投票に行け」と言われても、正直きびしい状況です。

しかも、大学入試だけではありません。2月8日は医師国家試験の当日。私立中学の入試は2月1日から、私立高校は2月10日。受験シーズンのピークに選挙が重なる形です。こうなると、若い世代が選挙から遠ざかってしまうのではと心配になります。

開票作業、日付またぐかも 人手が足りない選管の悲鳴

一方で、混乱しているのは受験生だけではありません。選挙の準備を進める選挙管理委員会も大変です。「投票所の確保が大変」というニュースも各地で聞きますが、ここにきて別の問題も浮上しているようです。茨城県神栖市(かみすし)の選挙管理委員会、竹口 琢童さんに伺いました。

茨城県神栖市・選挙管理委員会 竹口 琢童さん

急な表明だったので準備が全然できてなかったというか…。投票所の確保とか、開票所の確保は、内々では進められたんですえども、やっぱり人ですよね、職員の配置というか。

今回、国政選挙で投票種類も「3つ」ある中で、それなりに人員はある程度必要になってくるかなと思うんですけども。限られた人数となると、開票作業時間が前回よりは長くなるんじゃないかな。

例えば、これまでの選挙で150人動員していた開票所において、今回100人を切るぐらいというか。即日開票といいましても日付が変わることになるでしょうから、翌・月曜日に撤収できればいいですけども…。開票作業時間が例年の選挙よりも長引く可能性が高いのかなっていう、今ちょうど調整をしているところですね。

開票時間が長くなる可能性があるということです。神栖市の有権者は7万6000人。仮に投票率が30~40%でも、3万票は開票しなくてはいけません。開票作業は箱から出した票を一枚一枚開いて、候補者ごとに集計していく地道な作業です。今回の選挙では、小選挙区、比例代表、最高裁判所裁判官の国民審査と、一度の投票で3つの投票箱に票を投じます。つまり3万票×3箱分。人手もしっかり必要です。

さらに場所の確保も二転、三転しました。開票所として予定していた施設が、バスケットボール大会などの予約ですでに埋まっていました。結果的に別のイベントがキャンセルになって、なんとか確保できましたが、実際、全国を見ても、確定申告の無料相談会やマラソン大会のゴール地点などで使えず、こうした綱渡りのような調整があちこちで起きているようです。

大学生が来ない 19年で最も慌ただしい選挙戦

一方で、選挙を戦う候補者の陣営も、この急な日程に悲鳴をあげています。選挙プランナーとして19年のキャリアを持つ、松田 馨さんに現場の様子を伺いました。

選挙プランナー 松田 馨さん

非常にタイトでしたね。私もこの仕事に関わって19年になりますけれども、前回の衆院選も慌ただしかったですが、それ以上の慌ただしさになっています。

この時期で、むしろ現場で困っているというか課題になっているのが、衆議院選挙では、議員のところに大学生のインターンの方が来てくれていたりとか、学生部とか、各党が持っていたりするんですよね。現役の大学生はインターンで経験をして、それを就職活動で生かしてくださったりとか、結構インターンが選挙の現場では力強い支援になるんですけど、そういったインターンの学生さんたちが期末テストですとかレポートがあるとか、この2月はほとんど手伝うのが難しいっていう声が結構ありまして、まぁ誤算というか…。18歳以上じゃないと選挙運動できませんし、そういう意味では大学生が一番手伝ってもらいやすかったんですけど…。

松田さんは、候補者の活動をサポートする「選挙プランナー」として、ポスターやビラなどの印刷物の手配から、SNSの立ち上げ、スケジュール管理まで、選挙に必要なあらゆる準備を支援しています。政党名が変わればロゴや写真の撮り直し、TikTokのアカウント開設など、準備も山積み。

通常は各陣営に5~10人ほどの大学生がインターン(ボランティア)として手伝いに来るそうですが、今回はここでも「人手不足」に直面しているそうです。

急な解散が、あちこちに無理を強いています。誰のための選挙なのか…。改めて考えさせられます。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』より抜粋)

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