今日は「歯磨き」のお話です。皆さんは普段、歯ブラシを手にもって、歯を磨いているかと思いますが、そうではない、新しい歯の磨き方に取り組んでいる、企業、大学の取り組みを取材してきました。

そうした技術は介護の現場などでも活用が期待されています。

毎日の歯磨きに「ロボットの力」

まず取り上げるのは「ロボット歯ブラシ」です。どういうものか、株式会社Genics 栄田 源 さんのお話です。

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株式会社Genics 栄田 源 さん

ロボット歯ブラシは早稲田大学のロボット技術を活用して開発された、くわえるだけで、最短1分で確実な歯磨きができる製品です。小型のモーターを2つ活用しまして、バッテリーでモーターを駆動して歯に沿って、自動的に回転しながら、歯列の手前の場所から奥の場所まで動いて、磨くことができるので、普段の手を動かして磨くという動作を完全に自動化したものになります。子供であったり、障害のある方、高齢者の方、ご自身で歯磨きができない方って多くいらっしゃいまして自分でできない場合は誰かしら介助が必要とする、そうすると双方の負担が非常に大きくてしっかりと行わないと、誤嚥性肺炎であったり、歯周病によって他の病気に繋がってしまうということがわかったので、社会的課題としてまずはみんなの口の健康を維持するソリューションっていうところを私達は目指してやっております。 

歯磨きの常識が変わる 現場を支える新しいケアの形

  

歯磨きの常識が変わる 現場を支える新しいケアの形

商品名は「ロボット歯ブラシg・eN」。手で磨くと、実は4~6割くらい磨き残しが出てしまうと言われていて、電動歯ブラシでも、使いこなせないと効果が出にくいのが現状。一方、ロボット歯ブラシは、最短1分ほどで、誰が使っても同じレベルまで磨き残しを減らせることを目指しています。介護現場では、1人あたり5分以上かかっていた歯みがきが、準備も含めて2分ほどで済むイメージだそう。

私も実際に使ってみました。動き始めた瞬間は少し驚きもありましたが、つけてしまえば自動で磨いてくれてすぐに終わるので、これなら手助けする側、される側も楽になるだろうなと感じました。

こちら2024年に介護向けの限定モデルを200台以上販売。

現在、量産化に向け、クラウドファンディングで先行予約販売を行っていて、本体価格はおよそ3万円となっています。さらに、歯の治療費が高く、予防への関心が高い海外からの問い合わせも多いということで、「楽に、確実に磨きたい」というニーズは世界共通のようです。

「食べるケア」という新しい発想

また、口腔ケアでは新しい発想が生まれています。「食べて口の中をケアする」という「歯磨きスイーツ」の研究が進んでいるんです。鹿児島大学 准教授 平間雅博さんに聞きました。

鹿児島大学 准教授 平間雅博さん

歯磨きスイーツとは、トロトロのキャラメルタイプ、それとチョコレートタイプ、グミ、マカロン、ゼリー、クッキーとかあります。砂糖を使わずに、虫歯菌、プラークを作る虫歯菌も使えない甘い糖があるんです。そこに口腔ケア機能を持たせたり、歯垢作らせない成分の物を入れたりして、スイーツを作りました。小さな子供や、障害を持たれてる方、高齢者の方を対象に設計しています。歯磨きされるのも怖くてできないとか、そういうところで使っていただけると食べてる人も助かるでしょうし、その支援をしてる方たちも助かるのかなと思いますね。

歯磨きスイーツは砂糖の代わりに虫歯や歯周病になりにくい希少糖やオリゴ糖を使っていて、さらに歯垢を作りにくくする成分も入っています。虫歯菌は砂糖を使って歯にくっつくため、砂糖を使わないことで、虫歯のリスクを下げられるそう。

また、こちらのキャラメルは誤嚥しにくいよう工夫されています。

さらに、味と食感は、低糖質スイーツを手がけてきたパティシエが担当。科学的な機能に加えて、美味しさも追求しているのが特徴です。

この発想、実は地上だけではありません

「食べて口の中を整える」という発想は、実は地上だけの話ではありません。水が貴重で体も自由に動かせない、宇宙でも注目が集まっています。再び、鹿児島大学 平間さんに聞きました。

鹿児島大学 准教授 平間雅博さん

宇宙って無重力じゃないですか。歯磨きの動作って手を左右に動かしますよね。人間の体を揺らすと、無重力の中ではふわふわ浮いてどっかに飛んでいってしまうと、それが歯磨きスイーツを使うと、腕を動かす必要性がなくなるので、体がどっかに飛んでいくということがなくなるっていうことです。あと、うがいをしようと思ったら水が必要ですよね。水って宇宙空間ではコップに入らず、飲むことができないんですよ。なのでストローみたいなもので、飲んだりするんですけど、水とか口の中で泡ができますよね。泡が飛んで機械の中に入ってしまうとショートしたりして、壊れる危険性があるんです。

水もいらない、体を動かす必要性もない、普通に食べるだけで口の中が綺麗になるっていうのは宇宙でのその応用範囲っていうのは非常に広いなと思っています。 

宇宙では無重力や水の扱いに制限があるため、水を使わず、体を大きく動かさずに口の中を整えられる歯磨きスイーツが注目されています。また、こうした状況は宇宙だけではありません。災害時の避難所では「水が少ない」「洗面がしにくい」など、歯磨きが後回しになりがちで、口腔ケア不足が肺炎などにつながった例も指摘されていました。歯磨きスイーツは、水がなくてもケアできるという点で、医療や介護、宇宙や災害現場など幅広い応用が期待されているそうです。

こちらはまだ開発段階。平間さんは、なるべく早く商品化したいと話していました。歯を守る方法が様々に、進化しているようです。 

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:森本茉菜)

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