今日は、「太陽光パネル」の話題です。

先月、環境省と経産省が、使い終わった太陽光パネルをどう処理するのか、あらかじめ計画を立てることを求める制度案をまとめました。

特に、大きな発電所では、「捨てるときまで見据えた対応」が求められることになります。

太陽光パネルは、環境にやさしいイメージがありますが、実はこれから「使い終わったあと」をどうするかが大きな課題になります。

本当のピークはこれから

では、今後太陽光パネルはどれくらいの量が廃棄される見込みなのか、太陽光パネルリユース・リサイクル協会 事務局長 細田 雅士さんにお話を聞きました。

太陽光パネルリユース・リサイクル協会 事務局長 細田 雅士さん

日本は、世界にトップ3に入る導入量で、2012年のFIT=固定価格買取制度開始以来、ものすごい勢いで太陽光パネル発電の需要も増えており、2040~45年の間に、1年間当たり50万トンという量が排出される見込みという統計が出ております。処理は、リサイクルに回るものと砕いて、最終処分場で埋め立てをするというのがあります。今リサイクル量ってまだまだ少なくて、最終処分場で埋め立てるというのがすごく多いというのが現状だというふうに見ております。

太陽光パネルの耐用年数は20年から30年ほどと言われています。2012年に固定価格買取制度が始まってから一気に広がったパネルが、これから同じ時期に寿命を迎え、2040年ごろには1年間あたり50万トンが廃棄される見込み。環境省によると、現状の廃棄量は1年間当たり1万トン程度なので、ものすごく増えます。しかも今は、より発電効率の高い新しいパネルに入れ替える動きもあり、まだ使えるパネルでも外されるケースも。

一方で、今の処理の多くは、砕いて、埋め立てる方法が中心で、リユースやリサイクルはまだ十分とは言えません。

捨てる前に、もう一度

こうした中で、実際に「捨てる前に、どう活かせるのか」を地域で考え、動き始めている現場もあります。愛媛県では、大学や企業、廃棄物の事業者などが集まり、使い終わった太陽光パネルを地域の中で循環させられないか、実証実験が行われました。具体的に、どんなことが行われたのか、太陽光パネルの装置開発を手がける、株式会社エヌ・ピー・シー 営業部 伊藤 真菜さんのお話です、

株式会社エヌ・ピー・シー 営業部 伊藤 真菜さん

愛媛県の総合運動公園にリユースパネルを使用して太陽光発電所を新たに作りました。

地盤沈下のために取り外されたパネルを使用しています。当社では、被災したパネルだったり、そういったパネルがリユースできるかどうか適切な検査をして、まだ使えると判断されたパネルのみを使用しています。また当社では、自社のリサイクル装置により、実際にパネルのリサイクルも行っています。当社のリサイクル装置は、パネルガラスを割らずに解体リサイクルすることが可能です。ご縁があり、愛媛県産の木材とガラスを融合させたモニュメントを制作することとなりました。多くの観光客が利用する松山観光港に設置されており、県外の方にも太陽光パネルのリサイクルの意義を発信できる展示物となりました。 

まずリユースは、鹿児島で地盤沈下により取り外されたパネルを活用。使用年数は10年弱なので、耐用年数はまだ先です。それを愛媛県に持ってきて、新しい太陽光発電所を作りました。発電できるか、断線はないかなどを一枚ずつ確認し、使えるものを選んでいます。

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そしてリサイクル。太陽光パネルのガラスは、強化されていて丈夫な一方、割れやすく加工もしにくいため、これまでは処分されることが多くありました。

そこで使われたのが、エヌ・ピー・シーが国内で特許を持つガラスを割らずにゆっくり取り出す技術で、きれいに取り出したガラスは、モニュメントとして生まれ変わりました。

増える前に考えたい 太陽光パネルの行き先

なお、伊藤さんは「太陽光パネルの耐用年数は20年ほどといわれていますが、その多くは引き続き使用可能。発電効率は低下していきますが、取り外してすぐ廃棄ではなく、まずはリユース・リサイクルを検討してほしい」と話しています。

立ちはだかる「価格の壁」

しかし、全国的には、リサイクルやリユースが広がっていないのが現状です。なぜ、使えるパネルが捨てられてしまうのか。再び、太陽光パネルリユース・リサイクル協会 細田さんにお話を聞きました。

太陽光パネルリユース・リサイクル協会 事務局長 細田 雅士さん

新品の太陽光パネルの価格が非常に安いというのがあります。ある種、過剰生産のような状況を想定しておりまして、リユースパネルが、本当は使えるものでも、検査や確認ということは、ある一定のコストがかかるので、ある程度新品と同じぐらいの価格になってしまう。リサイクルに関して言うと、単純に破砕をして、焼却をして埋め立てするという費用に対して、3倍から4倍ほど差があるというような認識ですので、経済合理性ではなかなかリサイクルが勝てないというところが一つ課題にはなっております。

背景には、「値段」の問題が。たとえば、新品を「10」の価格とすると、点検や保証が必要なリユース品は、2年ほどの型落ちでも「9.5」程度に。これでは、「同じくらいなら新品を選ぶ」という判断になりやすく、リユースが広がりにくい構造になっています。

リサイクルも、ただ埋め立てる場合に比べて費用の負担が大きい。今後は、リサイクル技術がさらに進み、処理のコストが下がっていくことで、より選択肢として選びやすい仕組みが、どう整っていくかが課題になります。使い終わった後をどうするかまで含めて、社会全体で考えていきたいですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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