ゲストは、フンドーキン醬油株式会社 取締役会長の小手川 強二(こてがわ きょうじ)さん。大分県で江戸時代からつづくフンドーキンの醤油・味噌は、九州で知らないひとはいないほど。

そんな歴史と伝統ある醤油メーカーは、実はドレッシングも手がけています。創業165周年を機に復刻した『すてきサラダドレッシング』は、野菜が苦手な子どもでもおいしくサラダを食べられる工夫がされているんだとか。当初は苦戦しながらもドレッシングを広めてきた取り組みと、世界市場を狙った挑戦をうかがいます。

九州の醤油・味噌といえば、フンドーキン

西田 大分県臼杵(うすき)市に本社を構えるフンドーキン醬油。創業はいつごろでしょうか?

小手川 1861年に創業して、今年でちょうど165周年を迎えます。

西田 歴史は幕末にまで遡るんですね。“フンドーキン”という社名は、とても耳に残ります。

小手川 “キン”は創業者・小手川金次郎の「金」から取りました。“フンドー”は、醤油や味噌を量るのに使っていた「分銅」に由来します。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシン...の画像はこちら >>

西田 その名前が県内全域に轟いていると。

小手川 大分だけではなく、九州で知らない方はいないと思いますよ。

西田 長いあいだ九州の食卓を支えてきたんですね。小手川さんは、どのくらい社長を務められていたんですか?

小手川 会長に就任する昨年まで、丸40年間務めてきました。

西田 この40年を振り返って、どんなことを感じますか?

小手川 思い返すといろいろなことがあって、あっという間でした。いちばんの挑戦は、新たな事業に踏み出したことです。

西田 社名に掲げている醤油以外の商品にも乗り出しはじめたんですね。

小手川 わたしが入社した1980年代は、売上の9割以上が醬油と味噌でした。当時社長だった父が「このままではダメだ」と思い切って新商品開発部をつくり、年間100以上の新商品を手がけはじめたんです。

西田 たとえばどんな商品を開発したんですか?

小手川 うどんやそばの出汁など、調味料ならなんでもチャレンジしました。ですが、わたしが社長になって父がはじめた事業をチェックしてみたら、ほとんど儲かっていなかったんです(笑)。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシングを世界の食卓へ

“フンドーキン”ブランドでも、最初は大苦戦

西田 数多くの新しい挑戦のなかから、ドレッシングを会社の「第3の柱」に選んだそうですね。その決断のきっかけはなんだったんですか?

小手川 当時高級ドレッシングが登場しはじめて、人気を博していたんです。

西田 定番のフレンチドレッシング以外にも、レパートリーが増えつつあった時期ですよね。

小手川 醬油系のドレッシングもお店に並び始めましたが、お客さんにとってまだ手が出しにくい値段でした。おいしい醤油ドレッシングをもっと手軽にたのしんでもらいたいと思ったのが、開発のきっかけです。

西田 歴史のある醬油メーカーだからこそ、醬油ベースのドレッシングを食卓に届けたかったということですね。

開発はやっぱり大変でしたか?

小手川 勝手がまったく違いましたね。3年以上の研究開発を費やして、ようやく最初の商品を発売できたんです。

西田 “フンドーキン”の高いブランド力のおかげで、最初から売れ行きは好調だったんでしょうね。

小手川 それが、はっきり言ってお客さんにはまったく相手にされませんでした。フンドーキンの醬油と味噌には愛着があっても、ドレッシングはほかに大手メーカーがあったので......。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシングを世界の食卓へ

西田 競合が多いところに乗り込んでしまったと。

小手川 やはりお客さんも、冒険せずに気に入った味のドレッシングを買いつづけたいんです。

西田 そこからどうやって広めていったんですか?

小手川 お店での試食販売をひたすらつづけました。サラダにかけて食べてもらうと、「おいしい。次から買ってみよう」と言ってもらえるようになったんです。

西田 口コミで少しずつ広がっていったんですね。いままで何種類ほど販売してきましたか?

小手川 味のレパートリーは累計で30種類ほどにわたります。

あるときは生産が追いつかず、一時販売を休止するほどの大好評をいただきました。

まるで“野菜に野菜をかけている”みたい

小手川 創業165周年の節目にあわせて、『すてきサラダドレッシング』のしょうゆ味・ごま味を期間限定で復刻します。西田さんもぜひ召し上がってください。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシングを世界の食卓へ

西田 (一口食べて)しょうゆベースの方をいただきましたが、すごくおいしいです。玉ねぎも入っているし、にんにくも効いていますね。

小手川 おっしゃるとおりです。使っている生玉ねぎは、社員が手作業でカットしています。

西田 野菜の味を活かしたドレッシングということですね。サラダにかけると、まるで野菜に野菜をかけて食べているみたいです。

小手川 ごまベースのドレッシングもぜひ召し上がってください。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシングを世界の食卓へ

西田 (一口食べて)ものすごくおいしいです! かぼすの風味がいいアクセントになっています。

小手川 よく気づきますね。

西田 一口食べた途端に爽やかな香りが広がります。ごまの濃厚な味わいとかぼすの爽快感がマッチしていて、すばらしいです。

小手川 野菜が苦手なお子さんにもサラダをおいしく食べてもらおうと、ごまドレッシングはやや甘口にしているんですよ。

西田 味の改良を少しずつ重ねてきた苦労を感じます。フンドーキンの今後の目標はなんでしょうか?

小手川 九州・日本だけではなく、世界市場を狙っています。イスラム教徒の方々が安心して食べられるよう、数年前に「ハラール認証」を取得しました。

西田 世界人口の約4分の1はイスラム教徒だといいますもんね。フンドーキンのドレッシングが世界中に広まっていくのをたのしみにしています。

野菜に野菜をかけてるみたい?”フンドーキン醤油”のドレッシングを世界の食卓へ

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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