毎週月曜日は東京新聞との紙面連動企画。
今朝は東北の震災伝承施設をどう維持していく?という「こちら特報部」の記事に注目しました。
震災遺構、伝承施設 来訪者二年連続で減少
記事のキッカケになったのは、東日本大震災の伝承活動の継続を目指す公益社団法人「3・11メモリアルネットワーク」が行っている調査。これは、岩手・宮城・福島の被災地域で震災遺構、伝承施設に毎年聞き取りを続けている調査なのですが、最新調査で、どのような結果が出たのか。専務理事の中川政治さんに伺いました。
3・11メモリアルネットワーク 専務理事の中川政治さん
「二年連続、その施設を訪れる方が減ってしまったということになります。
無料でやられてるところもあるんですけれども、維持費がかかる震災遺構ですとか、民間の伝承施設とかも、そもそも来館の収入が減ってしまうとか、あと、修学旅行等で語り部さんにお金を払っていただくとか、そういう機会自体が減ってしまうということですと、継続性っていうことを危ぶまれるという、そういうことを示す数字でもあるなと受け止めております。
次世代に伝承するというのを掲げて復興庁が出来ているんですけど、じゃ、次世代に出来そうかっていうと、伝承団体さんは30年後見通しついてるところがゼロ、施設さんの方も、ま、30年後やれてるかもっていうのは、博物館さんとかごく一部のところだけでですね、何十年何百年伝えて、次の津波来てもしっかり逃げれるような、そういう意識を育むための施設なんですけれども、いや、30年後やれてないよって思うようなそういう形でしか、今のところは支えがないというのが現状ですね。」
コロナ禍の2020年以外は、前年比で増え続けていましたが、2024年、2025年と二年連続で、訪問客が減少してしまっているんです。
実際に、継続できなくて縮小したりする団体なども出て来ています。また、自治体が運営する伝承施設は税金だから続くと思ったら、そうした施設からも30年後は分からないという回答があったそうです。ある自治体では、議会で、「来館者がこんなに減ってて維持できるのか?」「もっと収入を得ないといけないのでは?」という指摘があり、今の時点でこれだと、今後は運営自体が成り立たないかもと心配しているところもあるとか。
実物遺構があると、実感が違うから
実際に震災遺構の運営に関わっている方にも、お話を伺いました。宮城県石巻市の震災遺構、門脇小学校の管理者メンバーのお一人、石巻震災伝承の会、代表理事の大須武則さんのお話です。
石巻震災伝承の会代表理事 大須武則さん
「やっぱり我々伝えることが一番目的なので、来てもらわないことにはそれがなかなか出来ないので。もちろん、そうですね。入館料というのがありまして、それが減少していくとなると維持管理というところでは、特に運営面では厳しくなっていくなというのはあります。
私どもの門脇小学校については、我々、施設を60分とかで案内するんですけど、この校舎は津波なのに火災になってるということで、なぜ火災になったか、津波が来た後に火災になる危険性もありますよ、頑丈なビルだから100%安全ということではない、と、そういうことを伝えたりしてます。
もうほとんど全焼状態なので、燃えた校舎の中には入れないんですが、すぐ裏に見学通路を新たに作ってあるので、そこから間近に見ることが出来るようになってます。やっぱり実物がないと聞く人にとっては実感がなかなか湧きにくいかなと思うので、実物遺構があるというのは非常に大きいと思います。う~んと、まあねえ、出来ますって言いたいところなんですけどね、がんばりますとしか言いようがないですね。」
実物を見ながら体験談を聞くと、やはり違いますよね。実際、被災した校舎を前に話をすると、みなさん「来て見ないと分からなかった」と実感を得てくれているように感じるということでした。
<石巻市震災遺構 門脇小学校>大須さんたちは、話してくれる語り部の育成にも力を入れて、なんとしても実物を残せるように、来館者を減らさないために取り組んでいますが、今後については「維持出来ます」とはなかなか言えない、とにかく出来る限りがんばります、と。
震災遺構と語り部さん そのタッグをしっかりと作りたい
大須さんたちのように、体験を話せる人と震災遺構、これがしっかり組み合わさっているのが大事なのですが・・・先ほどの中川さんからこんな話がありました。
3・11メモリアルネットワーク 専務理事の中川政治さん
「みなさんが語り部さんと聞いて思い浮かぶ、ご遺族の方が亡くなった我が子の話をしてというのを、ずっと発災直後からやり始めてらっしゃるんですけども、それの数が、実は伝承施設が出来ていくにつれて減ってしまってた事実があったっていうことなんですね。
語り部さんと切り離して施設だけ建ててしまった傾向もございまして、じゃあ、こういう方々の心を打つ話をどうやって施設に取り込もうって出来たところがあんまり無くて、実は、復興予算がつくから10年で作らなきゃいけなくて、あんまり中身を精査出来ずに、コロナも重なって、なんとか箱は作れたんですけども、その中身をちゃんと話してない。
そりゃあやっぱり、作って何にもメンテナンスをしないものっていうのは、人がたくさん来ていただくのは難しいような状態で、もう15年を迎えてしまった。だから減ってしまうのはしょうがないという見方をする方がいらっしゃるっていうことです。
語り部さんの話聞きたいですよって施設に聞いたら、ウチには語り部いませんみたいなことを答えてしまうような施設が、残念ながらあるんですけれども、そうじゃなくてここの地域にこういう方いるからいかがですかってみなさんで紹介し合う体制というのを少しずつでも作っていく必要があるなと感じております。」
復興予算があるうちに!と箱を作ったけど、中身が追い付いてない所もある、ということなのです。
しかし、一方で、体験プログラムや地域の行事と組み合わせて、来訪者の増加を実感している施設もあるので、そうした施設や、広島や神戸に学びながらしっかりと立て直していきたい、と話していらっしゃいました。
それぞれの施設の差別化なども大事になりますよね。
震災伝承施設が残るのか、無くなってしまうのか。まさに大きな転換点。石巻の大須さんが「過去を伝承することは目的ではなく、これからの命を守るための手段」と話していたのが印象に残りました。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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