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今日は視覚障害の方がマイナ保険証を「自力で使えない」という記事に注目しました。

カードリーダーが操作できず、暗証番号を伝えて操作

「自力で使えない」とはどういうことなのか?取材をした、東京新聞特別報道部の福岡範行記者にお話を伺いました。

東京新聞特別報道部 福岡範行記者

「町田市にお住いの全盲の会社員の方なんですけれども、初めてマイナ保険証を使おうとして、カードリーダーを操作することはできなくて、その時はクリニックの受付の職員さんの手助けを受けることもなくて、付き添ってた方に自分の暗証番号を口頭で伝えて、代わりに操作をしてもらった、ということがありました。

暗証番号を誰かに知られると、マイナンバーカードと一緒に使うことで自分になりすまして個人情報を不正に取得したりとか、手続きを進めることが出来てしまうので、国としても推奨していないという対応ですけれども、マイナ保険証による受診の場合、基本的には顔認証を使うか、暗証番号の入力をするかの二つがあるんですけれども、そのどちらも視覚障碍者にとってはとても使いにくい、ほぼ使えないような状況になっています。」

マイナ保険証で受診する場合、マイナ保険証のカードリーダーで、本人確認をして、その後に自分の医療情報の提供に同意するか否か、という確認があります。この二つをクリアする必要があるんです。

厚生労働省は、こうした時の代替手段として『目視確認モード』という、病院の受付の方などがマイナカードの顔写真と見比べて本人確認をするという方法もあるのですが、この方法を知らない病院スタッフも多く、周知が徹底されていないことで、暗証番号を他人に伝えなければならなくなるのです。

国はマイナンバーカードの暗証番号を他人に伝えるな、と言っていますが、視覚障害のある方たちはそうしないと受診できない状況です。

4年くらい前から、改善をずっと求めてきました

実際に、当事者の団体は、この困った状況を改善してほしいと働きかけています。社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合、事業部長の逢坂忠さんにお話を伺いました。

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 事業部長 逢坂忠さん

「まず顔認証ですけども、これは枠にしっかりと収まってないと確認してもらえないんですけれども、なかなかこれが上手く枠にはまるかどうかもご本人にも分からないので、ここで難しい方が出てきますし、それから4桁の暗証番号については、タッチパネルってホントにあの、我々にとってはただのツルツルのパネルでございまして、どこを触っても分かんない、そこが5なのか3なのかっていうのが分からないので、全くあれは操作が出来ないんですね。ですので、いずれにしてもまず本人確認の時点で出来ない方がほとんどだったということになります。

で、たまたま顔認証が上手くできたとしても、本人を確認しましたよっていうことが、されたかどうかも分かりませんし、さらにその後の(医療情報の提出を)同意するか否かも、なかなか操作が出来ないということで、4年位前から総務省、デジタル庁と厚生労働省が行うヒアリングの際に、使用困難であるということで、改善をずっと求めてきたということです。」

逢坂さんたちは4つの改善点を伝えています。

①音声で読み上げる機能を付けてほしい。 

②タッチパネルではなく、パソコンのキーボードのようなテンキーを追加してほしい。 

③確認が出来たのかエラーなのかを音で教えてほしい。

④全盲ではないが見えにくい人のために、画面の文字などを見やすいコントラストにしてほしい。

紙の保険証廃止よりも先に誰でも使えるように整備してほしかった

しかし、なかなか改良されないままもう4年。マイナ保険証について、逢坂さんはこう話します。

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 事業部長 逢坂忠さん

「この4桁の暗証番号を言わざるを得ないケースって結構色々な場面であるようでして、例えばコンビニで住民票とかを取る場合も、なかなか操作が難しくて係の方に言わざるをえないこともあるって、これ個人情報ですので本来そんなあちこちで言うべきものじゃないんじゃないかと私たちは思ってるんですけども、こういうことも起きているのが現状です。

私、全くの全盲でして、あの~そういうこともあるのでマイナ保険証にしてなくて、それが整備されたらマイナ保険証にしようと思ってはいるんですけども。一昨年の12月2日に健康保険証の新規発行停止ということが動いてしまいましたけど、正直言うと、それよりも先に、誰でもが使えるようなシステム、あるいは機器も含めて整備するのが先じゃないかなという風に、私たちは思っています。」

今までの紙の保険証なら問題なく使えているから、整備されるまでは、という気持ちは分かりますよね。

手段は既にある、対策が打てる課題だからこそ早い対策を!

しかし、厚生労働省がやっと動きました。この夏までに発売される次期カードリーダーでは音声案内を設ける予定。機種変更を後押しする補助金も用意しました。ただ、キーボード型のテンキーについては「強く推奨」となっており、標準装備ではない機種もあるんです。(オプションでテンキーがつけられる仕様)

この点について、福岡記者に伺いました。

東京新聞特別報道部 福岡範行記者

「要件として必須としなかったところは、厚生労働省側の課題だと思っています。機械の価格が上昇することへの配慮として、視覚障害者対応が必須にはならなかったんですけれども、個人的には費用がかかったとしても必ず入れるべき要件ではないのかなと感じています。

今回取材を通じて、ATMなどはきちっとテンキーが装備されているところがあるので、既にある技術なので、なぜカードリーダーで入れられていないのか、っていうような疑問を当事者の方からぶつけられたりもしました。社会がなかなか手が出せていない課題ではなくて、手段は既にある、対策が打てる課題なので、だからこそ早く対策が進んでほしいと感じます。」

まさに、これ!銀行のATMには、タッチパネルとテンキーの両方がありますよね。新しく開発するようなものじゃないのに、これをやらないのはどうなの?と心底思いました。

誰も取り残されないデジタル化と政府は掲げてるけど、マイナ保険証はそうなっていません。しっかり対策に動いてほしいですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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