実は3月の東京新聞「こちら特報部」に、エープリルフールに「ウソみたいな本気の」、あるイベントが行われる、という記事がありました。

田中です。
田中です。鈴木です。鈴木です。

お邪魔させてもらうと、それは、婚活パーティー。男女二人一組で席に着き、お互いのプロフィールなどを書いた用紙を持って話すという、いわゆる一般的なものなのですが、実際に席を回って、参加者にお話を聞いてみると、こんなことになっていました。

▼「★田中です。 ☆田中です。 (田中さん同士、どうですか?) ★話すきっかけがあって話しやすいです。 ☆ホントにその通りで、別に田中にこだわってたわけじゃないんですけど、話題のキッカケができて良かったと思います。」

▼「◆鈴木っすよ。 ◇鈴木です。(鈴木さん同士?) ◆らしいっすね。もう鈴木トークで盛り上がりっすよ、鈴木あるある。

いや、ちょっと佐藤には負けたくねえとか、あるじゃないですか、鈴木あるある。二回呼ばれるまで立たないみたいなね。 ◇やっぱ多いので、二回目ぐらいで私か、みたいな。 ◆いや、かなり盛り上がって、しかも、下の名前を聞いたわけですよ、そしたら僕のお母さんと全く同じで、やっぱ鈴木だからこその、ね、あるんじゃね?っていうね。」

▼(主催者)「実は同じ名字の方同士の婚活パーティーなんですね。今日は、佐藤さん、伊藤さん、鈴木さん、田中さん、4つの名字の方が集まる婚活パーティーです。」

同じ名字の人同士の婚活パーティーでした!

同氏婚のススメ⁉の画像はこちら >>

最後にご説明いただきました、井田奈穂さんが代表理事を務める、一般社団法人「あすには」が発案し、婚活パーティーサービスを提供する「IBJ Matching」の協力で開催された“ウソみたいな本当の婚活、「同氏婚のススメプロジェクト」です。

会場には、佐藤、伊藤、鈴木、田中の名字の方しかいません!同じ名前同士だと安心感があると話す方や、名字が同じなので下の名前をすぐ聞けて、呼べるので、距離が縮まりやすい!という声もありました。

同氏婚のススメ⁉

名字の困りごとが絶対に発生しない唯一の相手は同じ名字の人だから

しかし、なぜ、同じ名字の人限定の婚活パーティーを開催しようと思ったのか。「あすには」の井田さんに伺いました。

一般社団法人「あすには」代表理事 井田奈穂さん

「まず、選択的夫婦別姓がなかなか決まらないことで、当事者の方でホントに苦しい思いをしてる人も、まだかまだかと待ってる人って結構いて、気落ちをしているところもあったんですよね。なので、今のこの動かない政権の中でも、明るく楽しいプロジェクトで出来ることはあるよと。もう一個一個ホントに積み重ねになるけれども、それでも出来ることはあるよっていうのをお伝えしたくて始めました。

これが解決策だと私たちは思ってないんですけれども、今回のように、おなじ名字のマッチングおもしろ~い!と思うけど、あれ?でもそういえば片側が改姓しないとどうしても結婚ができない、そういう制度なんだとそこに気づいていただける、そういえば選択的夫婦別姓ってもうずっと問題になってるけど、これなかなか変わらないよね、なんでだろうね、っていうそこの問題に目を向けてもらえたらな、と思って、今このプロジェクトをやっています。」

ちょっと面白い婚活パーティー、なだけではないということなんですね。

今の日本で、名字の困りごとが絶対に発生しない唯一の相手は、同じ名字の人。

選択的夫婦別姓が認められない今の社会で、名字の問題に悩まされずに結婚できるカップルを生み出すための新たな取り組みなのです。

参加してみて、色々考えるキッカケに

そこで、今回参加されたみなさんにも、ご自分の名字について、結婚後の名字について、お話を聞いてみました。

▼「僕はリアル変わんないじゃないですか?(奥さんの名字になることも)あ~、なるほど。今、だから僕が結構ステレオタイプ的な考え方だったなって反省したんですけど、であったら、鈴木鈴木だったら、その話をしなくていいということが一個生まれるんで、面白いなと思います。」

▼「相手が珍しい名字だったら、佐藤ってめちゃくちゃありきたりなんで、あんま面白くはないんで全然変えても良いなと思います。」

▼「実際に変えてらっしゃる方を間近で見ると、その煩雑さとか大変そうだなって思う部分も多少あります。(田中さんと結婚?)そうですね(笑)、そしたらその煩雑さはないですけど、長年田中でいるので、ちょっと田中から脱したいなみたいな気持ちも多少あります。」

▼「別に僕は僕の名字、相手が自分の名字がいいならそのままでいいんじゃない、大切なパートナーが言うんだったらそれを尊重するっていう。そりゃ伊藤さん同士だったら、あ、じゃあ、伊藤さんですね、イエ~イみたいになるんで全然いいんすけど。」

▼「姉がいて結婚して名字が変わっているので、私が最後の鈴木みたいになっていて、別に今まで強いこだわりなかったんですけど、いざ失うってなるとちょっと寂しいのかなっていう思いもちょっとだけあったので、今日こういうイベントに参加して、色々考えるキッカケをもらったかなって思ってます。」

同じ名字の人との婚活パーティーを終えて、同じ名字同士の結婚だとどうなるのか?みなさん、実際、目の前に同じ名字の人がいたことで、それぞれ考えたようでした。

実は、井田さんたちは、去年のエープリルフールには、今の夫婦同姓を継続すると、およそ500年後、2537年には名字が淘汰されて、日本人は全員「佐藤」さんになる、という試算を、東北大学の吉田浩教授と発表し、この「クスっと笑える」問題提起は世界100か国以上で報道されました。

なにそれ?と笑っちゃう話ですが、紙面には、背景にある現実は深刻。夫婦同姓を義務付けているのは世界でも日本だけ。国連女性差別撤廃委員会はこれまでに4回、選択的夫婦別姓を実現するよう勧告していて、切実な問いを社会に提示しているが議論は進まない。高市首相も導入には後ろ向き、とあります。

井田さんたちは、これからもユーモアに包んで切実な問いを社会に提示していきたい、と話していました。

選択的夫婦別姓の賛成反対はそれぞれですが、ユーモアがあれば興味を持つ人も増えそう。これから結婚する人たちが考える機会になるのは、いいことですね。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

編集部おすすめ