モバイルバッテリーやハンディファンに使われている「リチウムイオン電池」が原因とみられる火災が相次いでいます。

バイクユーザーの悩みに合う電池

そんな中、発火のリスクを抑える可能性があるとして期待されている新しい技術、「ナトリウムイオン電池」を使った製品が、少しずつ出始めています。その一つが、バイク用のバッテリーです。

一体どんな製品なのか、カー用品などを扱う、株式会社ナヴィック OUTDO事業部元木 京さんに聞きました。

株式会社ナヴィック OUTDO事業部元木 京さん

(バイクは)趣味の世界になりますので、3ヶ月に1回しか乗らないとか、そもそも半年に1回、友達とツーリングにしか使わないよってなってくると、長期放置になってしまうとバッテリーが非常に上がりやすいんですよね。あと冬、例えば0℃のときにエンジンかけようとしたときに、なかなかエンジンがかからなかったりだとか。やっぱりバイクユーザー特有の悩みがあると思って、このナトリウムイオンバッテリーは軽くて、放置にも強い。冬のエンジンのかかりも良い。熱にも強いんです。なので、バイクユーザーさんが困ってるようなところばっかりでして、適性が非常に高いっていうのが弊社の考え方ではあります。

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バイクのバッテリーは、車体に積まれている、エンジンをかけるための電池です。今も9割以上は鉛のタイプですが、鉛は重く、しばらく乗らないとバッテリーが上がりやすいという弱点があります。さらに、繰り返し使える回数も違います。鉛が300回から500回ほどなのに対し、ナトリウムイオンは3000回以上。長く使えることも特徴です。

  このバイク用バッテリーは、去年秋ごろに先行販売が始まり、今年1月末ごろから本格的に売り出されています。価格はサイズや種類によって変わりますが、小さいタイプで2万円前後からで、ネット通販や全国のバイク用品店などで販売されています。

発火しにくいと言われる理由

では、そもそもナトリウムイオン電池とは、どういう電池なのか、リチウムイオン電池との違いなどについて、ナトリウムイオン電池の研究を続けている、東京理科大学駒場 慎一教授に聞きました。

東京理科大学駒場 慎一教授

少し性能が落ちるんですけど、レアメタルを使わない、そういう資源制約がない電池ということでナトリウムイオン電池というのがあります。中に使われている物質が違うので、その物質によって危なさって決まるんです。だから今のところ、ナトリウム電池の方が電圧が少し下がるので、電圧が下がるということは、中に溜まるエネルギーも少なくなる分、エネルギーが暴走して発火するわけですから、エネルギーの量が7割しかなければ発火したとしても7割しか火が出ないですし、そもそも発火する確率も下がるということです。ただ、これはまだ普及してみないと、使われてる絶対的な数が少ないので、今そう言われてるだけですね。

リチウムイオン電池は、スマートフォンのように、小さく軽く、1回充電したら何日も長持ちさせたいものなどへの強みがあります。しかし、材料となるリチウムなどのレアメタルの精製の大部分は中国に頼っているという現状があります。一方、ナトリウムイオン電池のナトリウムは、食塩にも含まれている身近なもので、材料を確保しやすく、寒さや短時間の充電に強いといった特徴があります。それぞれ、得意な場所が違う電池です。

研究で先行した日本、商品化で先行する中国

さらに、このナトリウムイオン電池。まだ新しい技術のように聞こえますが、駒場教授は2009年に、世界で初めて実用的な充電・放電に成功しており、当時は日本がかなり先を走っていた分野でもあります。

ところが今、実際に商品化や量産で先を行っているのは中国です。なぜ、研究で先行した日本が、商品化では後を追う形になっているのか。再び、駒場教授に聞きました。

東京理科大学駒場 慎一教授

2009年、ナトリウムイオン電池ができたときは、ナトリウムイオン電池もリチウム電池と同様に日本が一番だったと思います。 でもそのころ、2010年ぐらいからまず韓国にリチウムイオン電池でどんどん負けだしたときで、リチウムイオン電池がやっぱ実用化されてるメインなので、そちらに開発を投資しなきゃいけないってなって。ナトリウムは最初は国内でも注目されたんですけど徐々にやる人が減っていきました。ナトリウムに限って言うと中国が急に成長して、日本が今それを後から、研究は進んでたんですが商品化では後を追うっていう形です。

研究では日本が先を走っていたものの、実際に商品として広げる段階では、中国のスピードと規模が上回ってきたということです。中国では、EV(電気自動車)だけでなく、太陽光や風力で作った電気をためる大きな電池にも国を挙げて力を入れています。ただ、ナトリウムイオン電池は、まだ使い道が決まりきった電池ではありません。例えばAIの普及で莫大な電気を使う「データセンター」の蓄電池や、短時間で充電を繰り返す「ハイブリッド車」など。それぞれの電池が得意な場所で使い分けられて、その中で、日本がどんな使い道を見つけ、商品化につなげられるかが、これからのポイントだそう。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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