「ミノムシから世界最強の糸ができた!」とニュースになっています。どんなものなのか?1月7日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
▼自ら吐き出した糸で木の枝にぶら下がるミノムシ
▼ミノムシからとれた糸

今回の研究で、世界最強は蜘蛛よりもミノムシの糸だということが分かったんです。そもそもミノムシはミノガの幼虫で、ガになる時に体を包むミノを作る為に吐き出したり、木の枝にブラ下がったり、移動したりするときに、体内で作った糸を吐き出すそうです。なので、「世界最強の糸」を作っているのは人間ではなくミノムシ自身ということになります。
★ジグザグの糸を真っすぐにそうした中、今回の研究ではミノムシの糸を実際に素材として利用する為に採取の方法も確立されて、製品化に向けた動きが加速したということです。再び亀田さんのお話です。
◆農研機構 亀田恒徳さん:「出している糸が凄いものでも、実際に使う時には使える形に糸を採らなければいけない。蓑の中の糸はクシャクシャでになっていて、1本の長い糸を取るのは普通だったら出来ない。我々はミノムシの持っている習性を利用して、ミノムシに自らの力で真っ直ぐな糸を出させることを可能にした。強いて言えば、ミノムシに特定の道を与え、その道に沿ってミノムシを歩かせて1本の長い糸を取れる技術を開発した。」そもそもミノムシはジグザグ状に糸を吐く習性なのですが、特殊な装置を使うことで長さ数百メートルの直線の糸を取ることに成功したんです。
また、量産体制の面でもメリットがあるようです。共同で研究を行っている興和・先端研究所の浅沼章宗さんのお話です。
◆興和・先端研究所 浅沼章宗さん:「虫を殺さずに糸を複数回、採れることが大きなメリット。また、蚕は桑の葉しか食べないが、ミノムシは基本的には雑食で餌に気を使わないで済む。あるいはクモと違って密集で飼育しても共食いをしないので、大量飼育が非常にやりやすい虫と言える。ミノムシから糸を取った後に殺さないので、餌を与えてまた糸を取るので複数回出来る。」蚕の繭から糸を製品にするには、蚕が繭の中にいる時に糸を採るので、結果的に蚕を殺してしまうことになります。ただミノムシはミノガになる前は餌を与えれば繰り返し糸を吐くので、量産体制にも向いているということです。
★あらゆる分野での活用が期待一日も早い製品化、そしてこと業化に向けて日々研究を続けていますが、今後に向けて浅沼さんはこんな思いを聞かせてくれました。
◆興和・先端研究所 浅沼章宗さん:「出来上がったという点では産業化のスタートに立った段階で、今後は量産化に向けた研究が必要。ただ、今回プレスリリースしたことで他社から色々な問い合わせや反響があり、研究が自己満足ではなく世間に反響があるモノだったと改めて実感を得ることが出来た。」ミノムシの糸は、強度だけでなく様々な用途に使える可能性もあり、各企業が興味を示しているそうです。
★やっと言える「ミノムシの研究!」さらに、リリースの発表でもう一つ大きな変化があったそうです。
もう肩身の狭い思いはしなくて済むということで、研究にも力が入ると話していました。
◆1月7日放送分より 番組名:「森本毅郎 スタンバイ!」内「現場にアタック」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190107063000