TBSラジオ「ACTION」。月曜日のパーソナリティは宮藤官九郎さん!

「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど…」。

今回はサポートミュージシャンのナツキさん(ギター)、シンゴさん(ベース)、トッポさん(ドラム)に仕事の愚痴を聞いていきます。
サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成...の画像はこちら >>

ナツキ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですが、僕らは譜面すら渡されないことがめっちゃ多いです。

宮藤:えぇ!?譜面渡されないの?

ナツキ:渡されないんですよ。リハの前日、前々日ぐらいに音が一気に送られてくることがめっちゃ多くて。

宮藤:それは何曲ぐらい?

ナツキ:多分7~8曲とか基本送られてきますね。

宮藤:それを1日でコピーするんでしょ?

幸坂:どうやるんですか?

ナツキ:どうやってるんでしょうね…?(笑)

宮藤:覚えておかなきゃいけないから大変ですよね…思い入れもないし(笑)

ナツキ:特にあんまり好みじゃない楽曲は身体に入ってこないので…でも本当聴きまくるしかないですね。で、コード弾きの方が簡単なので、出来るだけ簡単に自分でアレンジして、必要なメインのフレーズだけ取っておくみたいな。基本寝ないですね。

サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成品を聴いたら…俺じゃない!」

トッポ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですが、正直ギャラもシビアなんです。

宮藤:おいおい、俺に言うなよ~(笑)例えばどのぐらいですか?

トッポ:リハーサル込みでライブ1本やって、1万円とか。

宮藤:え?ワンマンですか?

トッポ:ワンマンですね。

幸坂:時給じゃないんですか?

宮藤:幸坂さん、絶対時給じゃないよ!

幸坂:じゃあ長くやっちゃうと大変ですね。

トッポ:そうですね、それだけ損しちゃいますね。

宮藤:ワンマンということは2時間ですよね。それってリハは1回じゃないでしょ?

トッポ:そうですね。出来悪いと「1日増やしますね」と言われちゃうんですよね(笑)

サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成品を聴いたら…俺じゃない!」

宮藤:バンドやってた頃って、目標とか「皆で頑張ろう」みたいな気持ちがあるから良いけど、そうじゃない今の状態とか、全然好きじゃない曲をやんなきゃいけないとかだとね。

ナツキ:そうですね、「何でやってんだろう?」って思いながらたまにやってますね。

宮藤:せめてギャラはね…。

ナツキ:お金が全てではないですが、あればもうちょっと頑張れますよね。

サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成品を聴いたら…俺じゃない!」

シンゴ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですが、レコーディングで演奏したのに、完成品を聴いたら全然違う人が弾いていたことがあります。

宮藤:どういうことだ…?ここに「思い出したくない記憶」と書いてありますが、思い出してもらっても良いですか(笑)

シンゴ:これはバンド解散して、サポートをやり始めた頃だったのですが、やり取りして、弾いて、ギャラも頂けたあとに「リリースされます」というので、聴いてみたら、「こんなフレーズだったっけ?」と思って。何度も聴いてたら「これは俺じゃないな」と!

幸坂:それはショック…

シンゴ:アーティス卜さんによっては、「人が弾いて入れましたが、打ち込みのベースの方が雰囲気に合うので」みたいな…

宮藤:ある、ある、ある!!

サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成品を聴いたら…俺じゃない!」

シンゴ:もちろん、楽曲に合う方を優先してもらって良いのですが、そのときは何の理由もなく。そこでいろいろ反省して、今の自分に活きている気はしますね。

宮藤:記憶には残したくないけど、糧にはしているんですね。

シンゴ:「もっとこうして欲しい」と言えない空気を作っちゃったのかな…と思ったりしましたね。

ナツキ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、音楽業界の基本的な労働環境を改善してほしいです。

宮藤:もうそんなにですか?

ナツキ:素晴らしい現場ももちろんたくさんあるんですが、劣悪な現場も多くて。アーティストよりも事務所側ですね。やり取りする側への不満ですね。今、打ち込みもガンガンあるので、バックミュージシャンから削られちゃうんです。ギャラも役割も。生バンドって良いと思うので、そこをちゃんとリスペクトして欲しい。

宮藤:本気のやつですね。二人も黙って頷いてますもんね…。打ち込みって言われちゃったら人でやる意味がないですもんね。そこで残っていかなきゃいけない訳で…改善しましょう!(笑)

ナツキ:お願いします~(笑)

サポートミュージシャンの愚痴「レコーディングで演奏して、完成品を聴いたら…俺じゃない!」

宮藤 :「皆、好きな音楽で食えてるから良いじゃん」っていう甘えが、頼む方にもあるんですよ。
「ステージに立って演奏させてるんだから、その楽しい分はギャラとかじゃないでしょ?」みたいな甘えが頼む側にもあって。で、演奏する人にもプライドがあるのは分かるから、差し替えも言えないんだろうね。でも、そっちの方が傷つくよね。

ナツキ:そうですね。結局、”対ヒト”なので。

宮藤:やり取りは打ち込みじゃないからね。ギャラ交渉は打ち込みじゃないからね。こっちは魂込めてやってるからね。それが嫌いな曲でも(笑)

あのアーティストたちを支えるサポートミュージシャンの方々。止まらない愚痴の数々…でした。

◆7月29日放送分より 番組名:「ACTION」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20190729153000

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