「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」。今回は、コロナ禍で「非接触」のサービスについてです。
注目したのは、茨城を中心に全国に展開するスーパーマーケット、「スーパーカスミ」。こちらは、ただのキャッシュレスではなく、徹底した非接触に取り組んでいました。どのような取り組みなのか。株式会社カスミの取締役、満行 光史郎さんに聞きました。

レジ待ちなし!スーパーカスミの「スキャン&ゴー」

「2020年から「スキャン&ゴー」を導入している。まず、お客様ご自身のスマホに、「スキャン&ゴー」のアプリをダウンロード。買い物しながら、購入したい商品のバーコードをアプリでスキャンして、買い物終了後に、スマホの中でそのまま決済。レジに一切並ばず、買い物が完了。コロナ禍で、お客様からの買い物に対する不安、従業員からも働くことに対する不安があったので、急遽「スキャン&ゴー」の導入もスピードを上げた。」(株式会社カスミ・取締役 満行 光史郎さん)▼「Scan&Go」
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スーパーカスミは、昨年から「スキャン&ゴー」というサービスを始めています。仕組みは、(1)事前に、スマホに「スキャン&ゴー」のアプリをダウンロードして、クレジットカード情報を登録。(2)お店に入って、カゴをもってお買い物。スマホがレジ替わりになるので、商品を手にとって、バーコードをスマホカメラでかざして読み取りながら、カゴに入れていく。
(3)ほしい商品をすべてカゴに入れ終わったら、アプリ内の会計画面に進み、スマホ上で決済が完了。(4)QRコードが出てくるので、お店を出る時にピッとすると、支払い完了が証明できる。私も都内の店舗でやってみました。商品のバーコードを探すのに手間がかかるが、アプリの操作自体はスムーズで、金額がリアルタイムでわかるのが良い。また、カゴの中に買い物袋を広げておいて、そこに商品を入れていけば、袋詰めの時間も短縮できる。▼株式会社カスミ・取締役 満行 光史郎さん
レジ待ち行列なし!「スキャン&ゴー」で非接触な買い物
当初は、徐々に導入店舗を広げていく予定だったそうですが、昨年コロナ禍になって、「今すぐやろう!全店舗で!」と、社長が方針を示し、実際にわずか1年ほどで、全184店舗に導入。先ほどの満行さんも、さすがに忙しかったと話していましたが、今ではお客さんは非接触で安心して買い物ができるようになっています。

「筑波大学店」で実験してみた

このスーパーカスミの非接触決済「スキャン&ゴー」ですが、実は、最初に取り入れた店舗は、ちょっと変わったところにある店舗だったそうです。株式会社カスミ・取締役 満行 光史郎さん「店舗の一号店は、筑波大学の構内にある「筑波大学店」が一号店。筑波大学店は実験店舗という位置付け。買い物の仕方や、決済方法、カメラを使ったマーケティング活動など、新しい技術はまず筑波で実験してみる。筑波大学のスキャン&ゴーは、導入当初から、筑波大学生がツイッターでつぶやいたり、買い物風景を動画で撮ってSNSで発信していた。それを見て、こんなことをやってるんだというふうに驚いた。」
レジ待ち行列なし!「スキャン&ゴー」で非接触な買い物
スーパーカスミの本社は茨城県で、同じ茨城にある筑波大学に実験店舗を設置し、ここで、あらゆる実験をしているそうです。
しかも、実験店舗なので、攻めの姿勢。例えば、ほかの店舗では、従来型のレジは残していますが、筑波大学店は、完全キャッシュレス。他にも、コロナ禍で試食ができなくなっているので、代わりに音と視覚で訴える電子掲示板を設置して、お肉を焼く「ジュ~」という音で食欲を誘って、お客さんの反応を見たり、店内にお掃除ロボットを走らせたりと、あらゆる技術が試されています。 若い学生も順応していて、SNSで発信したり、マーケティングの研究をカスミの店内で行ったりと、双方、良い関係が築けているようでした。

新たな収益源をもとめる大学の事情

まさに、未来のスーパーの姿が詰まっているカスミの筑波大学店ですが、そもそも、なぜ、大学の敷地内に、スーパーがあるのか?気になったので、筑波大学・事業開発推進室長の、和田 雅裕さんに聞いてみました。筑波大学・事業開発推進室長 和田 雅裕さん「学生さんからも、スーパーマーケットが学内にあるといいよねというような話はあった。一方で、大学が2004年(平成16年)に法人化になって、国から今まで、教育研究のためのお金が来ていたが、だんだん減ってきた。授業料も、国の法律で基本となる金額が決められている為、単独で大きく値上げもできない。なので、大学としても何か収益、何らかの稼ぎを考えていかないといけないというのが現状。どうにか学内に誘致できないかというのが背景にあった。多分、どこの大学でも皆さん苦労されてると思います。」筑波大学は、広大なキャンパス内に67棟(3700室)もの学生宿舎があるほか、学生の多くが周辺に住むなど、大学が一つの町のようになっていて、学生からもスーパーがあるといいという声はあったそうです。それに加えて、営利を目的としない国立大学とはいえ、少しでも、新たな収益源の確保を模索する中で、「実験型のスーパー」という、変わった形での導入に踏み切ったということでした。
今ではスーパーだけでなく、本屋、旅行代理店まで、様々な業者を誘致しているそうです。
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