森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」、2021年9月27日(月)は、『茅ケ崎市のワクチン接種会場で流す「音」とは??』というテーマでお届けしました。欧米では、ワクチン接種会場でDJイベントが行われたり、クラブっぽく演出をするなど、パーティーのような会場もある、というニュースも見かけますが、実は、神奈川県茅ケ崎市の集団接種会場の一つになっている、茅ケ崎市民文化会館でも、会場内で音を流している、というのです。

リラックスできる、でも邪魔にならない音

まずは、なぜ音を流すことにしたのか?茅ケ崎市文化会館・事務局長の久永静夫さんに聞きました。「65歳以上の限定で始まってるじゃないですか、ワクチン接種って。で、その時には、かなり殺気立ってるっていう言い方変ですけど、取れる取れない、入り口でのトラブルだとか、だからもうピリピリしてみなさん来られるんですよね。私たちとすると、色んな気持ちを持ってらっしゃる方が大勢来られるんで、できればリラックスができる、不安が少し和らいでくれる、周りの環境に影響がない邪魔にならない音として、流せる音楽が流れているのがいいのかな、と思って、今、使わせていただいている、というところですね。ま、成果とか云々かんぬんではなくて、文化会館という場所が、ただ単にワクチンを打つという行為だけでない所だ、っていうのをちょっと示せたかな、という気がします。」(茅ケ崎市文化会館・事務局長の久永静夫さん)こちらの会場は、3年前にリニューアルしてバリアフリーになっていたこともあり、接種会場に立候補しました。とはいえ、市民文化会館としては「あ~注射したところね」という思い出だけになってしまうのは忍びなくて、何か文化会館らしい工夫をしたい、と思っていた。

そこに音楽を飾る、という感じ

色々と模索する中で、久永さんは「フィーブズ」という音に出会ったそうなのです。音楽ではなくて、音??では、そのフィーブズという音とは、どんな音なのでしょうか?精神内科の先生と共に「フィーブズ」を作った、音楽家の外山和彦さんに聞きました。「メロディーに関わる記憶っていうのは、必ずしも一定じゃないものですから、どなたが聞いてもそうなるとは限らないじゃないですか。だから、みんながこれを聞いたらリラックスしてる、って言われてる有名な曲をかけてもダメだってことですね。で、このフィーブズに関してはメロディーという確固としたものは無いモノですので、感じとしては、立ち止まって景色を見ている、とか、なんとなくそこに音楽を飾る、っていう感じですね。そうすると気が付いた時には見える聞こえるけれど、そうじゃないときには見えない、でも、何かの時には、こう音がスッと入って来るっていう。権威の先生からも「え?そんなの鳴ってたの?」っていう人が多ければ多いほど、こういうものは専門家からしたら評価が高い、っていうふうに教えて頂いて、昔の言葉で言えば、無用の用っていうんですか?だから、好きでも嫌いでもないけど、ありましたね、っていうんだったら、僕はもう大成功!」(音楽家の外山和彦さん)メロディーに関わる記憶は確かに個人差がありますよね。誰かの大好きな歌でも、誰かにとっては聞くのもつらい、ということも確かにあります。
だから、癒しの曲として有名なものでも、公共の場所には向かない。では、音楽ではなくで波の音や雨の音はならいいのでは?と聞くと、実は音楽よりも顕著なのが、音の記憶だ、外山さんはおっしゃいます。例えば茅ケ崎は湘南だし、波の音を聞くと明日はサーフィンに行こう!とか今年は海に入れないな、と思う人が多いかもしれないが、一方で津波を思い出すから波の音は聞きたくないという人もいる。また、水がチョロチョロ流れる音は、子供が聞くとトイレに行きたくなる、などということもある。つまり、さまざまに配慮して出来上がった音が「フィーブズ」なのです。(放送では、現場にアタックが始まってから、ずっとフィーブズを流していたんですが、気が付きましたか??)

気づいた?気づかなかった?会場で聞きました。

では、実際に会場から出てきた方々は、音が流れていえるのに気が付いたのか?聞いてみました。「いや、全然気づきませんでした。え?どんなのが流れてたんですか?あ、じゃあ来た人を落ち着かせるためのものってことですか?いや、全く気付かなかったっすね。ただ無音だったような、気がしましたけど。」「あ~、気が、なんか音楽っていうか、音は流れてましたね、いいなって思います、気分違うと思いますよ。緊張してる人には良いと思いますよ。(緊張してた?)いや、緊張してなかったですけど、あの音楽あってリラックスはできましたよ。」「癒し系の?音楽が流れてました。
打ち終わって待機してる時くらいですかね。(入った時から流れてました)あ、そうなんすか?待ってる間に、あーなんか流れてんな、みたいな感じで。」「(女性二人組)★ヒーリング的な感じの、気づいた気づいた! ☆音楽? ★うん、何ていうんだろ?安らぎな感じ?気づかなかった? ☆全然気づかなかったです(笑) ★落ち着く感じですよね。」気づいた人・気づかなかった人は、伺った感じだと、半々くらい。接種後の待機場所で気づいた、という方もいらっしゃいましたが、外山さんによると、人は緊張していて、その緊張がフッと解けたときに音は聞こえるものだそうですから、まさに、その状態なのかもしれませんね。冒頭の久永さんも、ピリピリしていたみなさんも、接種後、会場を後にするときには普通に帰られる、とおっしゃっていたので、もしかしたらこの音の影響なのかもしれません!?この「フィーブズ」のような確固としたメロディーが無い音を聞くと、人間の脳はメロディーを探して追おうとするものだそうですが、無いメロディーは探せませんよね。そこで、探すのを諦めて、音をそのまま受け入れるようになる。その状態がリラックスにつながる、と考えられています。(確かに、ぼんやり景色を眺めるのと似てるかも!)いずれにしても、穏やかな雰囲気の接種会場への工夫、嬉しい取り組みですよね!
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