「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」

高齢化社会の中、ご家庭での介護に苦労し、人知れず悩みを抱え込んでいる方も多くいらっしゃると思いますが、そうした中、茅ヶ崎の脳神経内科のクリニックが、併設の「カフェ」である取り組みを始めたと言う事でお話しを伺いまいた。

認知症カフェ「いどばた食堂」

まずはどんな取り組みなのか?みやさきクリニックの宮﨑秀健院長のお話しです。

「8月に神奈川県茅ヶ崎市脳神経内科のクリニックを開業いたしましたが、2階にもカフェを併設いたしました。通常のカフェ営業もしていますが、認知症カフェを開設する場所でもあります。参加者は認知症を患っている方、介護をしている方、介護をしていた方、地区の民生委員の方や行政の方など様々です。認知症カフェのイベントとしましては、古い映画や認知症教育のビデオ見たりとか、それを種にしてお喋りをしたりしています。認知症の原因って様々あるんですけど、いくつか危険因子っていうのが、それを管理すれば発症を減らしたり、遅らせることができるんじゃないかと言われてます。孤独とか孤立とかそういったものも認知症の増悪因子になりますので、そういったことをまとめてクリニックと認知症カフェで人とお喋りをする、あるいはクリニックで高血圧の管理をするとか併せて治療することによって診療に役立てればいいなと思っております。」
(みやさきクリニックの宮﨑秀健院長)

日本認知症学会認定専門医である宮崎院長。クリニックの2階に「Wakka」と言うカフェを開き、そこのスペースで9月から、月に1回程度、認知症カフェ「いどばた食堂」を開催。定員10名、参加費300円で軽い食事をした後、認知症教育ビデオを見たり、映画を見たりと談笑する時間を設けたイベントを行っているそう。

1つは認知症の方の社会的接触の機会を増やして治療にも役立てること。そして同時に、介護されているご家族が地域で悩みを共有できる仲間を作って欲しいと言う狙いがあるそうです。

脳神経内科医が「こども食堂」も運営

ここのカフェ、認知症カフェだけではなく「こどものわっか」というイベントも別日に開催。再び宮崎院長のお話しです。

「月に2回実施しています。人数10人で先にお食事をしてから絵を書いたりですとか工作をしたりとかそういったイベントをやっております。認知症診療の観点からでも、どうしても教育が少ないお子さんですとか、認知症になりやすいってリスクとかありまして、そういった教育機会ですとか、他の人とお喋りする機会とか増やすことで、社会と接点を持っていただけるようになったらいいなというふうに思って開催しています。子供の居場所作りにもなりますし、認知症ケアにもなりますし、いいことを思いついたというような気がしまして気がついたら貯金をはたいて、プロの調理機材を大量に注文してました。」
(みやさきクリニックの宮﨑秀健院長)

子ども食堂は8月にスタートしてから月に2回の開催。参加費はこちらも一人300円。クリニックの事務員の方の中に、学童保育の経験がある方がいるので、その方が中心となって、食事のあとのゲームや工作などのイベントを実施。

他のこども食堂と同様に、食事や子供の居場所を提供することで、共働きの親子さんの助けになればと言うことですが、それだけでなく、子供の頃の教育機会の不足も認知症発症の危険因子の一つであるため、今後は大学生のアルバイトの方などにお願いして、勉強機会を設ける方向で考えているそうです。

さらに、将来的には、認知症カフェと子ども食堂を同時開催して、3世代が交流できる場所を作ることも効果的ではと構想を練っているそうです。

利用者から見たカフェのメリット

では参加者の方にとってはどんな場所になっているのか、実際に認知症カフェに参加されているご家族の方にお話しを伺いました。

夫の介護をしているという久保勝江さんのお話しです。

「夫は他の人と話をするのがすごく好きな人なんで、なんか結構喜んで話して、私自身もデイサービスの行くところがいっぱいあるんですよね。どこをどう選んだらいいかって言うので、参加者の方でも悩んでる方いらっしゃったりして、デイサービスのいろんな施設の情報交換ができるっていうのは、すごく有意義じゃないかなと思いました。

なにしろ脳神経内科の専門医の先生と直接ざっくばらんな話ができるっていうのが一番ですね。夫が普通に皆と話したり食事したりしてる姿を先生が見て、何か異常が出たら教えてくださるっていうことが安心感に繋がると思います。」
(久保勝江さん)

「外に出たがらない」と言うのも認知症の症状の一つ。最初はなかなか行きたがらなかったそうですが、今はカフェで人と話すのが楽しみになっているようだと。また、介護をする側のご家族同士、悩みを共有したり、情報を交換できるだけでなく、専門医の方が同席してくれる安心感があるそうです。

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