『グータンフーモ』はTBSラジオ『水曜JUNK山里亮太の不毛な議論』が贈る、同局の開局70周年コンテンツのひとつとして行われた鼎談である。今や大御所芸人から俳優、アスリート、企業の社長まで顔の広い山里。
それでも山里には「70周年にふさわしいオシャレな…グータンヌーボみたいな番組を届けたい。」という願いがある。内容次第では久保田かずのぶ、中川パラダイスを迎えたとしても、今をときめく俳優に負けないくらいキラキラしたオシャレ番組になるのではないか…と思ったかどうかは定かではないが、結果的にはリスナーにとって「さすが!」と言わんばかりの内容となっている。
ハッキリいって登場時の挨拶と、途中で展開される白熱した芸人論、エンディング以外はテレビや無料の動画配信では流せないレベルだ。自分がディレクターの立場なら「使えるところがないじゃないか!」と焦るような(良い意味で)下世話な話が次々と展開される。本家『グータンヌーボ』はキラキラ女子が似合うオシャレな場所で行われるが、ドロドロ男子しか映っていない『グータンフーモ』の雰囲気は雑居ビルの建物の裏側の排気口から出てくる焼肉の匂いが漂うような薄暗い場所でワチャワチャとじゃれあいながら話している様子だ。
とはいえ、観ていて嫌な思いをする部分がなく、ずっと楽しんでいられる。それは山里の話の引き出し方のうまさと、ほかのふたりの話の内容が絶妙に絡んでいるからだ。お互いの話を邪魔することなく、面白さとくだらなさを提供しあうプロのやりとりを堪能できる。
しばらくの間、言いたい放題喋った3人だったが、収録が進むにつれて我に返ったのか「開局70周年のコンテンツなのに、こんな話でいいのかな?」とザワつく場面もあった。さらにそこから何かを取り戻すかのように注目の芸人、M-1にまつわる話など“真面目な話”が続くところにも注目だ。
さんざん笑ったあとは観た内容を誰に漏らすことなく、もちろんSNSに書きこくこともせずに全て忘れることをおすすめする。
Textbyやきそばかおる