TBSラジオで月~金曜日の15時30分から放送中の「ACTION」。木曜パーソナリティは、羽田圭介さん。
6月4日(木)のゲストは文化人類学者の斗鬼正一さん。斗鬼さんが監修されたご著書『ニッポンじゃアリエナイ世界の国』は、日本にいると「あり得ない!」と思うよな文化・風習を持つ国でも、それには深い理由があるということを楽しく解説した一冊です。今日は斗鬼さんから具体的に世界の文化・風習を羽田圭介さんがお伺いしました。
韓国のアリエナイ文化…「好きになった人の名字はまず確認…?」斗鬼:たとえば韓国人がナンパするとき、名前って実は重大なんです。もし相手が同じ名字、たとえばキムさん同士だったらヤバいんです。何故かというと伝統的な文化で、「同性同本不婚」というのがあります。だから同じ名字は結婚できないんです。民法でそう規定されていたんです。というのは、「同じ名字、同じ先祖から分かれた人たちだから家族同然だ」と言うんですね。でも韓国にはキムさんという人だけで1000万人いますから、大変ですね。もう少し詳しく言うと、「同本」というのは、キムさんというのもいくつか分かれているんですよね。慶州金氏とか金海金氏とか。
幸坂:そういう法律があったんですね。
斗鬼:だから悲劇がたくさん生まれました。なので、1999年に法律は改正されたんですが、韓国は今でも8親等以内は結婚できません。日本はいとこでも結婚できるので、大きな違いがありますね。
羽田:韓国には兵役制度がありますが、それが韓国の文化や慣習に影響を与えたりしていますか?
斗鬼:ありますね。年頃の男女を引き離しちゃうんですよね。19歳で徴兵検査で2年なので。なかなか上手くいかない場合が多いですよね。ですから、韓国男子の失うものとして「時間、夢、彼女」だと言われてますね。
羽田:あと、韓国って結構な学歴競争社会だと思うんですが、それもそれで兵役並みに多感な時期に制限されちゃう節がありますよね。
斗鬼:でも考えてみると、日中韓ってもともと同じ文化圏ですよね。日本も同じような学歴格差はありますよね。あと、韓国では私教育費問題というのがありました。それは日本も同じなんですが、ここが違うところです。韓国では1980年に塾や家庭教師を禁止にしたんです。というのは、金持ちばかりがそういうところに行って、格差が広がっちゃうんです。でもその法律を守らないでお金がある人は、「秘密課外」をやるんですね。秘密の課外授業です。別荘課外、深夜課外、乗用車課外とか。家庭教師を車に乗せて授業させたりしてたんです。それで抜け道ができちゃって、ますます格差が広がってしまうと。
斗鬼:我々は性別が2つだと思い込んでるだけなんです。でも自然界だと性別って必ずしも明確ではないんですね。境界線上の人たちっていっぱいいます。でも、社会は性別分業なんてありますが、分類を使わないと具合の悪いことが多いですね。だからどこかで境界線を引いて分類をしなきゃいけません。それはそれぞれの国や文化、民族が作っていますね。ということは、2つとは限らないんです。
幸坂:日本ではやっとLGBTQが一般的になってきましたね。
斗鬼:そうですね。もちろん多くの民族の性別は2つなんですが、中には3つとか、タイでは18個とか細かく分けたんですね。たとえばレズビアンやゲイは日本で知られてきましたけど、その中でも「男っぽいレズビアンは”トム”」とか、「男性が好きで主導権持ちたい人は”ゲイキング”」とかね。細かく分けて18個なので、まだ増えるかもしれませんね。これだけ聞くと「ずいぶん違うからビックリするな~」と思うかもしれませんね。
羽田:男や女の価値観って日本や世界には少なからずあると思うんですが、タイにはそういった固定観念は少ないんでしょうか?

斗鬼:18個性別があったとしても「これはこう」みたいな固定観念は少なからずあります。たとえばメキシコのフチタンというところは性別は3分類です。男と女とその中間。で、それを行き来することができるんです。それでも「この性別はこういう職業だ」というものが大まかに決まっていたりするんですね。だから全く何にも分類がないということはないですね。つまり、人間は何かしら分類しないと物事を考えられないし、社会も上手くいきません。
引き続き、様々な国の驚くべき文化についてお伺いしました。
◆6月4日放送分より 番組名:「ACTION」
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