「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」

年明け早々、元日の読売新聞に、ローソンが今年、「グリーンローソン」という環境配慮型店舗を展開するというニュースが出ていました。イメージとしては、電力は100%再生可能エネルギーにして、食品廃棄をゼロに、そしてプラごみを減らす、ということのようですが・・・

実はこのプラごみについては、既に取り組みが始まっていました。

それはペットボトルから紙パックへの変更です。そしてこの紙パック、調べてみると色々進化していました。

水に紙の臭いがうつらない!

まずはローソンが取り入れた紙パックについて、株式会社ローソンのSDGs推進部、合田早紀さんに伺いました。

今回、11月30日に関東中部地区のローソンで国内のコンビニエンスストアでは初めて、プライベートブランドで紙パック入りのミネラルウォーターを発売しました。今回の紙パックはプラスチック削減にもなるというところで、同容量のペットボトルと比較して約56%のプラスチックを削減しているというところがまずポイントです。もう一つが1本につき1円が、国土緑化推進機構様に寄付する仕組みになっているので、森林の保全に関わるというところがあります。私はよくSNSを拝見するんですけども「こういう商品を待っていました」とか、関西など他の地区からも「発売をしてほしい」というコメントを何件も拝見しております。この商品が発売できてよかったなと思っております。
(株式会社ローソンのSDGs推進部、合田早紀さん)

水は紙のにおい移りがしやすいという問題があったのですが、ローソンは、におい移りしない技術を持ったメーカー「株式会社ハバリーズ」と共同で商品を開発。紙パックの内側にアルミを敷くことでニオイ移りもせず、美味しく飲める「紙パックのミネラルウォーター」を発売しました。

▼デザインもシンプル!(ローソン公式サイト「ローソン研究所」から)

脱プラで「紙パック」が進化中!の画像はこちら >>

お値段は330mlで税込140円なので、ペットボトルより少し高めですが、プラスチック使用量はおよそ56%も減っているそうです。

消費期限がペットボトルの倍に!

一方、食用油でも紙パックが進化していました。株式会社J–オイルミルズ、油脂事業部家庭用部の宮﨑朋江さんのお話しです。

一番しぼりキャノーラ油と、純正ごま油、こちらを紙パックの容器で発売しました。

形は牛乳パックと同じなんですけれども、油は酸化を防いでまた長期保存をしていく必要がありますので、酸素バリア層があるフィルムも間に挟み込むことで酸素をしっかり防ぐことができます。それと使用性の面でいきますと、やはり直方体のスポットした容器になるので、側面の持ちやすい位置に凹凸を付けることができまして、持って安定するようにしています。自分の立場でも、いくら環境に良くても使いづらかったら、続かないなっていうところはずっと思いながら、あの譲らずに一つ一つ開発してきた上で使用性というところをお客様が実際に評価していただけてるのは大変嬉しいなと思っています。
(株式会社J–オイルミルズ、油脂事業部家庭用部の宮﨑朋江さん)

J–オイルミルズでは、去年秋から食用油に紙パックを採用。これで6割ものプラスチック削減を実現したそうです。

▼J-オイルミルズ公式サイトから

脱プラで「紙パック」が進化中!

この紙パック、油がしみ出さないのはもちろん、油が酸化しないように素材を工夫したため、消費期限は、プラスチックボトルの倍となる2年を実現!これによって、脱プラスチックだけでなく、食品ロス削減にもつながっているそう。

また「環境にやさしくても使いにくかったら買ってもらえない」という問題意識から、

①油がたれにくく、注ぐ量を変えられるキャップも採用
②酸化しないので消費期限が長い
③容器の側面のちょうど持つあたりに工夫をして掴みやすくなっている
④捨てる時にたたみやすい

脱プラで「紙パック」が進化中!

▼このこだわりも人気の秘密(J-オイルミルズ公式サイトから)

牛乳を直接飲める!

という紙パックですが、今は店頭だけでなく、学校給食の牛乳にも進出。今までは牛乳の紙パックは口が開けにくく、結局穴をあけてストローで飲んでいたのですが・・・

大手製紙の「日本製紙」が口が開けやすいパックを開発。パックの口を開いて、そのまま飲めるので、ストローを使わなくてすむそうで、日本中がこのパックにすると、ストロー年間700トンが減らせる!

▼こちらがストロー不要!口が開けやすい紙パック「SCHOOLPOP」
口が狭いので指が入らずあけにくそうですが・・・
(日本製紙公式サイトから)

脱プラで「紙パック」が進化中!

▼一部がへこむので、すっと指が入って開けられる!
(日本製紙公式サイトから)

脱プラで「紙パック」が進化中!

紙パックのプラスチックキャップはなくせない?

そこで気になったのが、ローソンや、J-オイルミルズの紙パックについている注ぎ口のプラスチックのキャップ。

牛乳の紙パックで革命を起こした日本製紙の技術で、あのプラスチックのキャップもなくせないのか?日本製紙株式会社、紙パック営業統括部の増田順一さんに伺いました。

紙パックのキャップについてはですね現状はプラスチックの製品なんですね。これについては、飲料用のボトルのキャップなんかに比べても樹脂の使用量は非常に少ない容器にしています。一方さらに減らすという意味で言うとバイオマス素材に変えて行くとかそういったようなことも近い将来考えていきたいというふうに思っています。

実はキャップのところっていうのは非常に単純な構造に見えて液を漏らさない、かつ開けやすいっていろんな機能が求められるので非常にいろんなノウハウとか技術が詰まっています。その技術を今生み出せたのが通常の石油由来のプラスチックだったということになります。ただ同じような機能を果たせるバイオマス素材っていうのが出てきて今ですのでトライしていきたいなというふうに思っています
(日本製紙株式会社、紙パック営業統括部の増田順一さん)

あのキャップには高度な技術が凝縮されていて、これまでは石油由来のプラスチックでないと対応できなかった。でも今後は、バイオマスに変更できる時代が来ているそう。日本製紙の技術で、今後は、バイオマスキャップの紙パックにも取り組んでいくと。

ちなみに先程のJ-オイルミルズは、キャップに再生ペットを使用するなど、こちらもキャップ改革に着手。

今年は、4月に、プラスチックのリサイクルを進める法律が施行になるなど、プラスチックへの問題意識がいっそう高まりそうで、紙パック、まだまだ進化していきそうです。

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