TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!(2月28日(月)放送分)

新型コロナの、5歳~11歳の子どもへのワクチン接種開始が近づいていますが、健康な子ども達のワクチン接種をどうすればいいか、これが悩ましいですよね。実際、先日番組でご紹介したリスナーからのメールでも、なかなか決めきれないという声が多かったです。

そこで、今日は、日本小児科学会の理事長で、長崎大学小児科の森内浩幸教授に、お話を伺いました。

『健康な5~11歳の子どものワクチン接種、どうすればいい?』

★かかりつけの先生としっかり話して決めて!

まずは、健康な子どものワクチン接種、打つか打たないか、どうすればいいですか?

●「健康なお子さんの場合でも、アレルギーがあるんだけれども、ワクチンによるアレルギー反応とか出たりしないだろうか?とか、小さい頃に熱を出してひきつけたりしたことがあるけれども、このワクチンは熱が出るって聞いたけどそれで大丈夫でしょうか?とか、たぶん色んな不安感を持っておられると思います。ですので、そのお子さんの健康状態をよく知っているかかりつけの先生に、そこはきちんと相談することがとても大事だと思います。やっぱり決めきれないと思います。いま分かっていること、分かっていないことをきちんと伝えた上で、一緒に考えて決めることであって、よく分かんないことをそのままにして、なんとなく周りの雰囲気に流されてとか、周りの子も打ってるみたいだから、うちの子も、っていうことではなくて、しっかりとお話をして決めていくべきだと思います。」

オミクロン株になって、ワクチンは、感染を防ぐというより、重症化を防ぐものになっている、というのがポイント。

小児科医の多くは、「健康なお子さんは急がなくてもいい」という立場で、森内先生もそのようにおっしゃっていました。子ども自身の健康状態が実際どうなのか、また、子供が健康であっても、家に重症化リスクの高い人がいる場合もあるので、そうした家庭の背景含めて、かかりつけの先生としっかり相談して決めてほしい、ということでした。

★接種するときに気を付けること

続いては、実際に接種するとなったときに気をつけること。

「頑張って打ったらマスクはしなくていいからね」や「修学旅行に行けるから」というのは、そうなる可能性は決して高くないので、言わない方がいい。また「痛くないから」というのも、翌日に打った箇所が痛くなることもあるので言わない方がいい、ということで、気を付けてください。

そしてさらに、森内先生は、接種会場についても注意が必要、と言います。

●「特に5,6歳くらいのお子さんがワクチンを接種するというときに、平静な状況で臨めるということ、まずないですよね、注射ですから。注射っていうことへの恐怖感を持っている。そして地域によっては集団接種をするところも結構あると思います。

そうすると、普段行かない所に連れていかれて、普段会わないような人たちが、みんなマスクで、注射針を持って構えてるわけですから、泣いたり騒いだりすることも当然いっぱいあると思います。そしてそういうところに他のちっちゃな子どもたちもいっぱい居たら、集団心理が働きますから、一人が泣き叫んだら、他の子どもたちも、まだ全然順番回って来ていない時から、どんどんどんどん泣いたり騒いだりということもきっとあると思います。だから、しっかりと準備をして臨まないといけないだろう、と思います。」

集団接種となると、連鎖反応で、会場中の子が泣き叫ぶ、ということもあり得る・・・。保護者の方には、気を紛らわせるための、お気に入りのおもちゃや本などを用意してもらい、さらに、いざ接種の際に動かないように体を押さえてもらう必要も。また、注射の後15~30分その場で待機するので、そこでも走り回ってケガしないように本やタブレットなどあるといいかも、ということで、5~11歳の集団接種というのは大変そう・・・。

(ちなみに、接種後は、打った所を触ったり掻いたりしないように。副反応で発熱があるかもしれないので、子ども用に処方された頓服薬などを用意しておくと安心。あとは、お風呂も体育も、走り回って遊ぶのも大丈夫、だそうです。)

★今は望ましいタイミングではないんです

子どもの注射はとにかく手間がかかる。だからこそ、今は望ましいタイミングではないんです、と森内先生はおっしゃいます。

●「今、医療従事者は全然人手が足りない状況にあります。新型コロナの患者さんもいっぱいいて、他の病気の患者さんもしっかり診ることができない、救急車を呼んでもどこの病院で収容してくれるのか、いつまでたっても決まらない、そういう風な異常事態が続いている、そして、3回目のワクチン接種を高齢者とか、色んな基礎疾患を持っている人に終わらせるのが、果たしていつになるのか?たぶん三月になって子どものワクチン接種が始まるころには、まだまだ終わっていないと思います。

3回目のワクチン接種にも人手を出さないといけない、そこに、もっともっと手間暇のかかる、健康な5~11歳の子どもたちのワクチン接種を、ここの集団接種会場でやるぞ!って掛け声がかかっても、そこに出す人手って、果たして出るだろうか、ということになっちゃうんですね。私たち小児科医であっても、その子のおじいちゃんおばあちゃん、もしくは色んな病気を持っているお父さんとかお母さんの接種をすることの方が、その子にとってもとっても大事だと思っています。ですので、タイミング的になかなかキビシイところだな、と思ってる小児科医は私だけではないと思います。」

感染者数も多く、新規死亡の数も増加、そして高齢者のワクチン接種を急ぐという一番忙しい時。そこへさらに手間のかかる健康な5~11歳の子どものワクチン接種を!?と。どうしても保護者の付き添いも必要だし、接種会場は密になりそうですしね・・・。

去年の、感染者数の少ない時期、大人の3回目のワクチン接種が始まる前に、計画的に子供の接種を進められなかったのかなと、思ってしまいました・・・。

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