TBSラジオ Podcast番組「ベビーのいる生活~迷える子育て応援Podcast~」毎週月曜午前10時配信!

7月24日配信後記

育児中のパパママが匿名で集まる座談会。

自然分娩、無痛分娩、帝王切開…
出産にもいろんな方法がありますが、今回は「帝王切開」の体験者が集まっての座談会。

基本的には、何も理由なく「帝王切開」を選択する人はいません。今回の3人も、胎児がなかなか出て来ず直前で帝王切開の判断になったり、胎盤の位置が低い「低置胎盤」だったり、多胎児だったり、婦人科系疾患があったり、様々です。

手術は下半身麻酔のため、意識はバッチリある状態でお腹を切っていきます。先生たちの会話もしっかり聞こえます。

ちなみに、座談会参加の方々。事前に調べた体験談で、「麻酔がちょっと弱かった」「痛かった」「麻酔を追加してもらった」などのワードがあるのを見て、とにかく「切ることの痛み」が怖かったそうです。

今回の参加者は、りんごさん(匿名)、いちごさん(匿名)、番組スタッフの3名です。

手術室では一体何が…?

りんご:自分で手術室まで歩いて行くところからスタートして、そこから手術台にあがるのも自分で、全部セルフで行って、その段階で初めて全裸になるっていうことに気付いて。

川島:それは「どうぞ、脱いでください」みたいな?

りんご:「まずは上のパジャマを脱いでください、台にあがってください、シーツを被せます。で、丸まってください、腰に注射を打ちます」と。

川島:それは麻酔ですか?

りんご:麻酔です。打った直後からすぐに麻酔がかかったのか、数人がかりで身体を仰向けにされて、足を肩幅に開いて、気付いたらパンツも脱がされて(笑)

川島:感覚がないからですね。

りんご:自分の身体じゃないみたいな感じで動かなくなって。

そこから点滴とか全部入っていきつつ、いろんな人が来て、「こんなに人が携わるんだ」と。

川島:それは何人体制くらいですか?

りんご:10人前後はいましたよね。で、途中からなにをされているのかわからなかったですが…。

川島:説明はあるんですか?

りんご:前日に説明されて。「基本的には横に切りますが、状況によっては縦に切る可能性もあります」とか。とはいえ、胸から下は布で仕切られていて、実際に見えているのはライトだけなので、なにが起きてるのかはさっぱりでした。

スタッフ:「ライトにお腹が映って、自分が切られているのが見える」と書いている人がいて、ライトを見ないようにしていました。

いちご:今思えば、はっきり目を凝らしたらたぶん、ライトに自分のお腹が映ってるの見えましたね。

帝王切開体験記。手術台で一体何が…の画像はこちら >>

一同:えぇ~!

いちご:なので、私もライトを見ないようにしていました。

りんご:それ知ってたら私は見ていたかもしれない…(笑)

川島:アハハハハッ!何分くらいで赤ちゃんが産まれて抱っこできたり触れたりするんですか?

りんご:生まれるまではあっという間でしたね。

いちご:10分くらいですかね。

りんご:終わったあとは一人というか、残って閉腹。

川島:いちごさんは、手術どうでしたか?

いちご:麻酔が効かなかったことだけ覚えてます。

川島:えぇ~!

いちご:「これ、聞いてたやつだ!」と思って。麻酔を打ったあとに、お医者さんに「ここ痛いですか?」ってつねられて、「痛いです」と言ったら「痛くないでしょ!」って言われて(笑)「ちょっと待って、痛い痛い痛い」って追加してもらって、すごく安堵したことは覚えてます。

一同:わぁ・・・。

いちご:そこからあんまり記憶がなくて。看護師さんに「怖いよ~」と半べそで言ったら「大丈夫大丈夫」って言われたことは覚えていて、「スパルタ方式なんだな」と思いましたね(笑)で、気付いたら赤ちゃんが隣にいました。

スタッフ:産まれた瞬間は覚えてない?

いちご:「赤ちゃん出ま~す」という声を聞いたくらいですかね。あんまり見てなかったです。とにかく怖くて。

りんご:お腹をぐわぁと広げられる感覚ってわかりましたか?

いちご:なんか苦しい感覚はありました。

りんご:切ってるときはそうでもなかったんですけど、切ったお腹をぐうっと広げる感じがなんかわかって。あと下半身麻酔だったんですけど、胸のあたりも麻痺していて、呼吸がちょっと苦しかったですね。

いちご:私も苦しかったです。

りんご:麻酔の先生に言ったら、「酸素の数値は大丈夫だけど、麻酔の影響で感じるかもしれないです」みたいなことを言われたのは今思い出しました。

川島:普段感じない感覚だとパニックになりそうですよね。

いちご:「これはヤバいやつじゃないか?」みたいな。

スタッフ:私も準備期間があったので、いろんなことを調べて、体験記を読みまくって、頭に大体の流れは入っていたんです。

川島:それはすごいですね…!

スタッフ:麻酔を打つときのエビのポーズとか、切り始めてから子どもが出てくるのはすぐとか、トータル1時間くらいの手術の流れは大体頭に入れて、だから余裕の気持ちで当日迎えて、手術台に寝転んで。皆さんNSTっていうのをやりましたか?

いちご:お腹に当てて胎児の心拍を見るやつですよね。

スタッフ:そうです。手のひらサイズの丸いパッドをお腹に当てて胎児のいる場所を探して「ドクンドクンドクン」と聞いて、心拍がどれくらいかを見てもらう。入院中も毎日何回もやってたんですけど、手術台で最後の心拍確認。

帝王切開体験記。手術台で一体何が…

いちご:やりましたね。

スタッフ:うちは双子で、これは双子あるあるなんですが、一人の音は見つかっても、もう一人の音がなかなか見つからないんですよ。

一番ちゃん、二番ちゃんって言われたんですけど。「では二番ちゃんいきますね…。あれ?う~ん?」って(笑)手術台で仰向けの状態で。まず妊婦は仰向けなだけで辛いですよね。本当に見つからなくて、「あれ?う~ん?」をずっとお腹に当てて、それが結局15分くらいかかったんですよ。

一同:えぇ~!

いちご:それはすごく怖い…。

スタッフ:心拍が確認できないことがまず怖いし、仰向けになっているので気分が悪くなってくる気が。

川島:ただでさえ重いのに、双子だからもっとですね。

スタッフ:「息苦しい気もするし、気持ち悪い気もするし、今日このまま手術始めるの?嫌だ!今日は嫌だ!と言ったらどうなるのだろう…」とか、手術台で考えて。15分くらいずっと待ってるしかないので、おかしな精神状態になってきて。

川島:イメージできていたはずなのに、いざ手術台のうえになった途端ですよね。

スタッフ:時間はかかったけど心拍も取り終わって、「じゃあ始めていきますね」となったら本当にテキパキ進んでいって。

「じゃあ麻酔を打つので丸まってください」で、これが噂のエビのポーズだなとか。でもお腹が大きいのでなかなか丸まれなくて。

いちご:「もうちょっと」って言われたり(笑)

スタッフ:そうそう(笑)周りの人がぐっと押さえてくれて。で、麻酔がきいているかの確認で、私のときは麻酔科医の先生から「これはスースーしますか?」と。冷たいものをお腹に当てられて。で、麻酔が効いていない状態が何より怖い。なので「これはスースーなのか?する気はするぞ。あれ?これはスースーという感覚なのか?」と思って「これはスースーなんですかね?」みたいなよくわからない答え方をしちゃって(笑)で、麻酔の先生も慣れてるんでしょうね、次は肩のほうに当てて「これはスースーしますか?」と言って「スースーします」と答えて、「こっちとこっちはどっちがスースーしますか?」とか言って「上のほうがスースーします」と答えて、それを何回も繰り返しているうちに、「じゃあ始めますね」となって。で、始まって10分も経たないうちに「お子さん出ますよ~」「はい産まれました~」と言われて、1分後に「はい、もう一人。産まれました~」と。

一同:へぇ~!

スタッフ:でもやっぱりパニックな状態でもあったので、そのときに子どもが泣いたのかとかは全然覚えてないです。そこから私は震えが来て。

いちご:麻酔の影響ですか。

スタッフ:上半身がガタガタと寒くなって。そうしたら「震えてますね、温かくしますね」と温風のファンみたいなものを当ててくれて。そうしたら今度は喉が渇く感じがして、「あぁ~、苦しい~!」(笑)で、私はさらにそこから問題があって。結局、帝王切開のお腹を閉じるまで3時間かかったんですよ。

一同:えぇ~!?

スタッフ:もともと前置胎盤という、赤ちゃんの出る子宮口の近くに胎盤があって、子宮の下のほうに胎盤がある場合、出血が多くなる可能性があると言われてて。子宮の構造的に下のほうにできると剥がれたときに出血がなかなか止まらなかったりする可能性があると言われてて。実際に出血がすごく多かったみたいで。意識はあるから、先生の様子がおかしい声が聞こえてきて。「あれ…?」「癒着がすごいな…」「出血がすごいな」と。

いちご:癒着は一番恐れるパターンですよね。私調べですが(笑)

スタッフ:そこから先生が増えてきたんですよ。

一同:うわぁ~!

スタッフ:トータル3人のお医者さんが私のお腹に向かい合って、「ここの癒着はこうしてこうしたこうしたほうがいい」とか言い合いながらお腹を閉じて。お腹を閉じるのは全部で2時間半くらいかかったと思います。

りんご:それは全身麻酔に切り替わらなかったんですか?

スタッフ:切り替わらなかったです。結局、出血量が2600くらい。

いちご:すごいですね…。

スタッフ:出血が多いとき用に自己血というのを取っておいたんです。

川島:先に取っておくんですね。

スタッフ:輸血が必要なときに自分の血で輸血できたほうがいいので。結局それを使って閉じて。そのあとは大きな問題はなかったんですけど。MFICUっていう、妊婦さんのICUに手術後は入って。

一同:へぇ~!

川島:じゃあベビーを抱くまではすこし時間がかかったんですね。

スタッフ:そうですね。カンガルーケアって言うんですか?手術台のうえで胸の上に子どもを置いてくれたんですけど、「あ…、はぁ…」みたいな感じで(笑)

川島:感動でウルウルというよりは…(笑)

いちご:私も貼り付けの状態だったので「私はこれから大変だよ」みたいな感じでした(笑)

手術後も痛みと戦う

いちご:手術台の上ですごくお腹を押されて血を出す行為を看護師さんがずっとやってて、それがとにかく痛くて。

川島:そのときは感覚があるんですね。

いちご:手術室から自分の部屋に戻って、だんだん痛くなって。後陣痛ですか。あれの痛みなのか傷の痛みなのかがよくわからなくて。とにかく痛いのは我慢しないで看護師さんに言うのは決めていたので、ロキソニンをもらって。その日は本当に痛くて眠れなかったですね。

帝王切開体験記。手術台で一体何が…

川島:りんごさんはどうでしたか?

りんご:病室に戻るまではそこまで痛くはなくて。病室に戻って、私は朝9時に手術室に入って朝一だったんですけど、お昼12時くらいになって「ちょっと痛いかも」と。病室に入って看護師さんから「これに痛み止めが入っていますので、痛かったら押してください」と点滴のラインのところに痛み止めがあって。

川島:繋いでくれてたんですね。

りんご:そうです。「痛かったらワンプッシュで大丈夫です」と。「まだ痛かったら押してください。それは使い切って大丈夫です」みたいな説明を受けたので「痛いかも」と思ったら押して、「痛いかも」と思ったら押して(笑)

川島:どんどん使っていって(笑)

りんご:どんどん痛くなってきてるかも…と。でも身体は縛り付けられていないのに動けなくて。寝返りも打てないし足も動かせない。で、私はいちごさんが手術室でされたお腹を押すっていうのが病室に戻ってからで。そのときに相部屋にしてたんですよ。激痛なのに叫べない。

川島:そっか~!

りんご:「鬼かー!!」って(笑)

川島:痛いのに言えない…!

りんご:「何回押すんですか?」「これはいつまで続くんですか?」っていう。

川島:「目安教えてー!」ですよね。

りんご:子宮の位置の確認とかもあって「触ってわかるんですか!?」って。

川島:ちょっと当たりますよね(笑)

りんご:もう息切れ切れで逃げようもなくて。「赤ちゃんはどうしますか?」と言われても「まだ連れてこなくて大丈夫です!」と(笑)でも私は寝れましたね。で、痛み止めが錠剤に切り替わってからは「6時間空けてください」と言われて。「まだ4時間ですがもう痛いです」という気分で(笑)「黙って飲んでもバレないかな?」とか(笑)

川島:それはどれくらい続いたんですか?

りんご:痛いのは翌日も続きましたね。

いちご:私は2~3日ですかね。

りんご:痛いけど翌日に「立て」という試練。

いちご:そうですよね。血栓予防とかで動かないといけないんですよね。

りんご:起き上がるとか立ち上がるのが無理。なに持っても立ち上がれないんですよ。「誰か吊り上げて…」っていう(笑)

いちご:「看護師さんは持ち上げてくれないんだ。自分で立ち上がらないといけないんだ」って思いましたね。

川島:周りにあるものを掴みながら。

いちご:掴むのも痛いんですよ。

りんご:掴むまでの体勢に持っていけない。でも「授乳してください」って。

川島:お腹は痛いけど「抱っこして授乳してください」っていうことですよね。

スタッフ:りんごさんは、手術が昼前には終わって、そこからほぼ丸一日ずっと寝ていたんですか?

りんご:ずっと寝たきりですね。翌日の9時くらいまで20時間くらいは。血栓予防で足にポンプみたいなのが夜中もプシューって鳴ってました。

川島:それもあると眠れないかもしれないですね。

スタッフ:足も重くて、寝返り打ちたくても打てないし。

りんご:膝を立てることができなくて。でもそんなじっと上を向いて寝てるなんて人生で初めてで。

川島:退院はどれくらいの期間だったんですか?

スタッフ:1週間でした。

いちご:私は10日間だったんですけど、術後が結構順調だったので9日間に短くしてもらって早めに退院しましたね。

りんご:私も1週間です。

入院中「あってよかった」グッズとは?

スタッフ:ペットボトルにつけるストロー。

いちご・りんご:あれは必須ですね!

川島:それは起き上がって飲むことが難しいからですか?

りんご:ペットボトルを片手に寝転んで、なにかあったらぴっと口にストローを入れるみたいな感じですよね。私は延長コードを持っていきました。

いちご:私、持っていかなかったんですよ。そうですよね。

りんご:動けないので、延長コードで枕元まで持ってきて、そこからいろんな、スマホやパッドや全部充電して。それしか情報源がないので。事前に調べていたらみなさん必要と書いていたので。

いちご:私が持っていけばよかったなと思ったのが、マジックハンドみたいな(笑)

一同:あぁ~!

いちご:小銭とかスマホを落としたときに痛くて動けないので、マジックハンドで拾えたらどれだけよかったのかと思って。

川島:そのたびに看護師さんを呼ぶわけにもいかないですもんね。

いちご:そうなんですよ。「拾ってください」と言うのもなんだか申し訳なくて。なんとか自力で起き上がって拾ってみたいな。でもマジックハンドなんて売ってないんですよね(笑)

川島:ちょっとバラエティグッズ寄りですもんね(笑)

スタッフ:私も夜中にスマホを落として「ナースコールを押すのもなぁ…」「次に来るのは1時間後か…」と思いながらひたすらに上を見てました(笑)それで来たら「すみません拾ってください」と。「ナースコール押していいんですよ」と言われるんですけど、押せなかったなぁ…。

「ベビーのいる生活~迷える子育て応援Podcast~」、次回は「無痛分娩の体験記」をご紹介します。

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