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10月8日(日) 放送後記

安藤桃子さん(Part 1)

1982年東京都出身。奥田瑛二さんと安藤和津の間に第1子として生まれ、高校時代からロンドン、ニューヨークの大学で映画作りを学び、2010年『カケラ』で監督デビュー。

2014年には自作小説『0.5ミリ』の映画版の監督・脚本を手掛け、主演には妹の安藤サクラを迎えて姉妹共作も実現しました。現在は高知県在住。

JK:桃ちゃん! よく来たわね、もう立派になって! 第36回東京国際映画祭のポスターでは親子で映ってらして。ようやく親子仲良くなれたわね。

安藤:そうなんですよ! 本当にこんな日がくるとは! こないだ映画祭の記者会見でも「ナビゲーターに選出されてどうですか」って訊かれたんですけど、本当に身に余るというか、自分でいいのかなと思いながら、お声がけいただいたのもご縁だし、うれしくお引き受けしました。

JK:親子で監督ってなかなかいないですよ。

つくづく、こういう関係って素晴らしいなって。

安藤:まぁ親子だからいろいろあるんですけど(^^;)

JK:今年は小津安二郎さん生誕120周年でしょう。「東京物語」も親子の物語だから、記念の年ですよ。

安藤:日本映画の父ですからね。小津映画は私も大々リスペクトなんですけど、とっても日本的で、何を描かれてもすごく優しくて、暖かくて、家庭的で・・・。

JK:のんびりと、爽やかで、重みがあって。

日本の昔がずーっと残ってる。昔はTVより映画だったからね。どうしてもスマホとかの時代だけど、映画をずーっとやっておくことが重要。映画をもう一度見直そう、みたいなね。

安藤:それはどの業界でも重要な分岐点だと思ってるんですけど、ファッションでもファストファッションがいっぱいあって、似たようなものがランウェイからすぐに出来上がっていく。それはそれでお金がない若者には素晴らしい影響だと思うんだけど、やっぱり本質は絶対的に変わらない。

本物に袖を通すという体験は絶対なくならないし、通した時の身体の動きも違ってくる。「それをまとえる自分」っていうのがオーラとして出てくる。映画もスクリーンで見るために生まれてきたものだと思うので、人生で1度でもスクリーンで見るっていう体験を知ると、スマホで見る時もその時の体験を思い出すと思う。配信が多い世の中で、あえて人でもお金もかけて作る意味はそこにあると思います。

JK:映画の原点ですよね。映画館に行くっていうのが最近慣れてない。

でも行くと全く違うわけですから。

安藤:お洋服は購入したらずっと着れるでしょう? でも若者と話をすると、映画館はチケットが今2000円になっていて、しかも前払いで、その作品が自分にとって面白いかどうかも分からない。そこに行かせるためのパワーが必要。今の世の中的に言うと、ハードルが高い世界なのかもしれない。

JK:贅沢ですよね。2時間半ぐらいの長い映画もあるしね。

安藤:今の時代、スマホを切って2時間集中するって素晴らしい時間ですよね!

出水:2014年から高知県を活動の拠点にしていますが、思い切って移住したきっかけは何だったんですか?

安藤:今は移住って当たり前になってますけど、当時は最先端だと思ったんです。今振り返っても、自分が信じていたことは正しかったなと。なんとなく世の中が行き詰っているように感じていて。もっと自然体で自分の思ったことを表現できる、多様性とかSDGsとか、言葉を変えたら「命に優しい」「自分のままで生きやすい」世界を求めてるのかなと思って。

JK:高知って聞いて、朝ドラの「らんまん」を思い出しちゃった。10年たって高知もブームじゃないですか!安藤:ブームの中心にあるのが自然だと思うんです。

でも自然って物質的なことじゃなく、命がつながってるってこと。牧野博士も昔からすごくおしゃれで、研究で野草を取るにもきちっと身なりを整えてて(笑)

出水:安藤さんは高知で、ウィークエンド・キネマMの代表として映画館もオープンしたんですよね。

安藤:はい、もともと仮設で大きな劇場を作って。それは2か月で取り壊したんですけど、そこから町のみんなと一緒に。

JK:お祭りって1日だけ、点でしょう? でも町ぐるみで映画っていう産業を面で魅せるっていうのかな?

安藤:まさにその通り。なんで映画館かっていうと、11月2日から小さいながらも映画祭を高知でスタートさせるんですけど、それも年に1回の点だけど、場所があるとそこでずーっと成長していける。

JK:継続は力。誰か1人一生懸命やる人がいると、みんなついてくるんですね。

出水:そして子どもたちの未来を考えるチーム「わっしょい」ではどんなことをしているんですか?

安藤:お味噌を作ろうっていうところから始まって、毎年味噌づくりを子どもたちとやってたら、「大豆から作りたい」って子どもたちが言い出して。そしたらチームの1人が「うちのお父さんが残した畑があるから、そこを使わん?」とだんだん広がって、大豆を育ってて味噌を作るっていうのがメインの活動です。

JK:子どもたちと一緒にっていうのがいいわね。ああいうのってどこかで買ってくるもんだと思ってるから。

安藤:今は何でも買えちゃうからね。お味噌づくりって大変とか時間がかかるって思いがちだけど、1年に1回、前の晩から仕込んで1日で作り上げたら、その1年、場合によっては2年食べられる。すごいですよね、1年分、家族分食べられるんですから。もっと簡単に作れるよってことも伝えたくて、何年か前には「ウォークスルー味噌作り」ってのもやったんです。15分で味噌づくり体験できるから!って言って、あらかじめ麹とかの材料をパウチにして、味噌玉も作って・・・味噌づくり専門の人に言わせると、一番大事なのは自分たちの手で作ること。「手前みそ」って言うでしょ? 自分の作った味噌が一番美味しい。

JK:そうね! 日本の言葉って生活と密着してるのね。

安藤:なにしろ「豆」ですからね。ドラゴンボールでも豆1粒食べたらムキムキ~!になりますから(笑)

==OA楽曲==
M1. ケモノミチ / Mr. Children