犬山紙子が惚れ込んだ和田彩花の魅力
井上:紙さんからみて、最初に惚れ込んだ、"アイドル和田彩花"の良さっていうのはどこに感じてたんですか?
犬山:最初はパフォーマンスですね。あとこれ本当に色んなところで話される話だと思うんですけど、アンジュルムのメンバーに笠原桃奈さんがいらっしゃって。その笠原桃奈さんって今ME:Iでデビューされて。
和田さん:リーダーなんですよ。
井上:そこに繋がるんだ…!
和田さん:すごいでしょ!
一同:(笑い)
犬山:かっさーが本当に最初一番年下くらいのポジションで入ってきて。
和田さん:中学生。
犬山:で、メイクとかをするじゃないですか。そこでちょっと赤いリップをかっさーがつけたら、何かコメントとかで「ちょっとそういう派手なリップはどうなの?」みたいな…
井上:うわー…
犬山:でもそれをあやちょが"いいんだよ"って。
井上:守ってあげたというか。
犬山:自分の好きな色で…ごめんなさい、私の意訳がめちゃくちゃ入ってて(笑)どうおっしゃったかって話じゃないんですけれども、そこも"女性だから" "アイドルだから"といってこういう像でなければいけないみたいな。"じゃなきゃいけない"から後輩を守った。そういう姿勢から私は中身まで尊敬ですよ!すきー!!ってなったんです!
井上:和田さんその時はどういう思いだったんですか?
和田さん:自分も同じく、割と周りの大人とか、あとは外野の人たちから化粧とかネイルとかにすごい言われてきたのが嫌だったから。そういう思いをして欲しくないっていうのは超ありましたね。
井上:…でも相当言われますでしょ、そんな細かいことを。
和田さん:いやでも私達良かったのは、メンバーたちが同じマインドだったから。
卒業を決意したきっかけ
井上:卒業してその後の人生を考え始めたのはいつごろなんですか?
和田さん:活動していくうちにモヤモヤも増えていって。例えばなんですけど…ちょっと難しいな。自分あんまり女性っていう枠とか"女性らしさ"にはめられたくなかったタイプなんですよ。アイドルの世界ってアイドルらしさもあれば、そこってもう完全に女性らしさと密接に繋がってる部分もあったりして、もうかなり苦しんだんですよ。そういうのに。それになりたくないし、もうそもそもの思考をしないのに、そうなら、ざるを得ない状況が苦しくて。
あとは自分の趣味はアートだったんで、割となんかちょっとアンダーグラウンド活動とか、作家さんとかを応援してその人たちが、私らなんか飲んでくれてる配信とかを見て癒されてるタイプだったから、なんかさすがにメジャーシーンの音楽がきつかったっていうのもありますね。なんかもうできない。限界は見えてたのもありました。
でもグループだしこのメンバーの大切な子たちがいるから一緒にやりたいっていう気持ちが続いてたし、それも本当です。うんうんただ自分の趣味趣向はもう違うっていうのをわかっててそれでっていう感じだと思いますね。
井上:それはある程度会社側に伝えてたんですか?自分はこういう趣味嗜好があるし、音楽性もそうした衣装の問題とかも多分あるだろうし。
和田さん:伝えてはいました。結構言ってて、会社の皆さんにお手紙書いて自分はこう思うっていうことこうしてほしいっていうのを書いて送ったりしたり。隙があればちょいちょいつついて言ったりとか。
犬山:これが言えるのがすごいですね。…
井上:なかなかそこまでできる人っていうのは、
和田さん:いやいや、でもやっぱり組織とか大きな何か団体でいる場所ってなかなか変わらないし、どうしても保守的にもなってしまう場だったりするじゃないですか。だから何か自分はここにいてもしょうがないなって思って、自分1人でやろうと思いました。
犬山:でも私アンジュルムの皆さんがあの水着のグラビアがあったじゃないですか。あのときに水着になってる子とならない子がいるんですよ。水着にならないも選択できたんですよ。それも私の中ではすごくいいグループだなっていう
井上:それは自分の意思でですか。
和田さん:正確にわかんなくて、私はとにかくでも絶対着たくないって言ってたから着なかったんですけど…
犬山:アイドルイコールね、その水着を着なきゃいけない。
和田さん:必ずなってましたもんね。
犬山:そこで服の子がいたり、水着の子がいたりっていう。そこが私はその外野から見てて自由にそこって意見尊重してもらえるのかなっていうのもすごく好き。
井上:それはみんなで勝ち取れたものなのか、向こう側の提案だったのか…?
和田さん:いやでも私達を水着にしたらもう多分ボイコットするぐらいに思ってたと思います(笑)
一同:(笑い)

アイドルとメンタルケア
犬山:以前「エトセトラブックス」で鈴木みのりさんと一緒に編集で出されてたじゃないですか(書籍)。
和田さん:そのテーマが「アイドル労働リップ」っていう特集で。
犬山:そこでアイドルのその周りにおける待遇だったりとか、メンタルの辺りとかっていうのもすごく調べて取材されてたと思うんですけど、現状のアイドルのメンタルのケアっていう部分だったりとか、何かどういったことを感じられてどういった問題があるみたいなこととか、思われます?
和田さん:難しいですよね。私がアイドル現役でグループにいた実態と、もう5年ぐらい経ってるからだいぶ状況変わってると思うんですよ。相談する場所できてたりするかもしれないし、実際私が所属しているYU-M エンターテインメントの社長の山田さんはそういう場を作りたいとか言ってくれたり。あと生理研修っていうのを社員とタレント全員でやったりだとか、割と変わってきてるんですよ。
ただ、私がエトセトラブックスでアンケートを取ったんですね。
内容がめちゃくちゃ濃くてみんな給料が払われないとか、休みがないとか、そのルッキズムに苦しんでるっていうことをたくさん書いてくれるけどその数が一番少なくて。本当もう数えるほどしか届かなかったときにこれが現状だなって私は思いましたね。
井上:それは声をあげづらい…
和田さん:だし、当事者こそ気づきにくいですよね。
犬山:それが問題だ、ではなくてこんなもんだよねって。休みがないってだって、おかしな話じゃないですか。
井上:どの世界でもあるものだと思いますプロスポーツ選手もそうかもしれないけど。人なんですよねみんなね。だから悩むんだけど、でもアイドルの皆さんはちょっと違う、強いよねとか。スポーツ選手も強いよねって言われがちそこのケアは多分ない。それでも変わっていけるものなんですかねやっぱり業界として。
和田さん:でも私は難しいなと思ったの当事者のそのアイドルを今やってる現役の子たちってまだ年齢も若いじゃないですか。若いと若いからこそ見えないものきっとあるし、若いからこそ自分自身も含めて無理しちゃえるんですよ。
井上:それを無理とも思ってない。
和田さん:多分ストレスってそもそも何って思ってる人もいるかもしれないし。
何かそこをこれがストレスでこういうことが起きたらこれは解決できることだっていうのを広めていかないといけないなって思いてますね。
井上:そうですよねそれを和田彩花さんなどが言語化してもらえると多分現役の子たちも楽なんでしょうね。多分それに気づいてないしわからないから。
和田さん:でもそれをいくらこう言ってても伝わる人には伝わるけど伝わらない人には伝わらないっていう部分もあったりするから。もうこれはでも、なんか口コミ力みたいな感じではい会うたびに人に、このアイドルの方とかこういうことないとかってちょっとずつ会話に挟んでいく作戦でいろいろ情報をちょっとずつみんなに渡していますね。こういうことがあったらこういうことできるよとか。
犬山:いやでも本当におっしゃる通りですよね。後から大人になってからあれって被害だったんだとか、あの状況っておかしかったんだってわかることがポロポロ出てきますもんね。
特に未成年のね女の子男の子を預かるっていうところはあるからそこってやっぱり心理的なケアってすごく大切な部分だと思うので、カウンセラーさんをね、例えば常駐までいかなくても見てもらうとか。
井上:あって普通だと思います。民間企業ですらそういうところあって心療内科に近いところがあってそこに網掛け込みましょう何かあったらっていうのは民間企業ですらあるわけじゃないですか。それがなぜ最も消費されて晒される職業のところにないんだっていうのは、むしろ不思議ですけどね。
和田さん:でもやっとそれが不思議ってことに気づき始めてるから、これからに期待したいです。
ファンとアイドルの消費
犬山:私はアイドルファンなんですけど、ファンとしてアイドルに力をもらっている。それこそ心のよりどころになる。その反面消費をしているところもあるわけですよ。
消費をしてるんだったら、せめて自分の推したちがその後人生を幸せに生きてもらえるための応援というか、そういう社会になってほしいというメッセージは、せめても出していく必要があるんじゃないかなっていう。
井上:応援する側もってことですよねファンもやっぱりその責任まで言えるのかわからないけれども、そこまでやっぱり見てあげた方がいいし。
犬山:ファンとしてはやっぱりずっと活動してほしいのが本音ですよ。もうずっとアイドルでいて、その姿を見せてくれたらそれが一番嬉しいけれども、でもそれが彼女、彼にとってちょっと辛いことなのであれば…でもやっぱその後幸せでいてくれるのが…!!
アイドルの方がアイドルをやりながらセカンドキャリアを考えるとちょっとどっかファンを裏切ってるような気持ちになってしまうこともきっとあるかもしれないんですけど、でもやっぱり人生かかってるんで。…すいません私が熱弁してる
和田さん:(笑い)
井上:プロスポーツ選手もそうで、現役中に現役以降のことを公言するのってすごく憚られるって言うんですよね。でもいいじゃないですか。現役を終えた後にこういう人生に踏み切りたいんだって言っていいはずなのに、やっぱりそれが言いづらい。
…でもなんかおかしいなと思うんですよね、その後の方が人生長くて、それ全部デザインして、その人の人生だから。別にそのアイドルが全てじゃないし、プロスポーツが全てでもないし、何かそういうふうなマインドに変えていけるといいのかなと思うんですけどね。どうしていきたいってのありますか?
和田さん:でも私は実際自分がアイドルだったときのことを思ったりすると、私大学行ってたんで外の情報に触れる機会が超多かったんですよ。しかもアイドルと全く世界の違う美術をやってたんで、もう自由とかそういうことに関してめちゃくちゃ開かれてたんですね。ただそれが全くないメンバーがいるって考えたら、変わるきっかけもないですよね。
井上:知らないですもんね。
和田さん:だから何か私は単発でも何でもいいので、アイドルの皆さんが参加できる般講座みたいなので、いろんな
…ジャンルのいろんな分野のそういう学問だけどその勉強じゃなくて、もっともっとアイドルが楽しく学べるような、そして何かちょっと視野を広げられるきっかけになるような機会を作れるといいなっていうのはちょっと思ってます。
井上:自分のメンタルケアってどうしてるんですか?
和田さん:でも私は…普通によく眠れるように薬で調整してます。薬の力を借りて。でも薬をもらうっていうのは、まずその前に病院に行かないともらえないし、それはメンタルの病院のことでもあったり、あとは普通に生理の、ホルモンバランスの調整とかそういうの含めてだと思います。