今回のテーマは「障害者が気軽にスポーツを楽しめる『ユニバーサルタイム』」

予約は不要!興味のあるスポーツを自由に楽しめる!

東京都杉並区で行われている「ユニバーサルタイム」とは、障害のある人がスポーツを楽しめるよう昨年度から本格的にスタートしたもので、荻窪体育館とタック杉並区上井草スポーツセンターの2か所で月1回実施しています。

会場で用意されているのは、サッカー・バスケットボールといったボール種目のほかに、ダンス・ウォーキングなどと幅広く、障害のある人が好きなスポーツを選べます。

「ユニバーサルタイム」が導入された経緯について、杉並区のスポーツ振興課・石河内賢課長は以下のように話します。

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障害者へのアンケートや、当事者の方々から意見を聞く中で、ボッチャなどのいわゆる障害者スポーツと言われる種目だけではなく、ボール遊びやダンスなど普通のスポーツであっても可能な範囲でやりたいというニーズがあることがわかってきました。障害者にとっては、事前に利用予約が必要な体育施設は来るのにかなりハードルが高くなっていることもわかってきたので、出来る範囲で気軽に体育施設に来てスポーツを楽しむ機会を創出しようと考えてこの事業を始めました。下は10代の方から、上は80代の方までと年齢層は幅広いのですが、比較的30代や40代の方に多くご参加いただいている印象があります。(杉並区のスポーツ振興課・石河内賢課長)

実技サポーターが気持ちの面でも盛り上げる!

ユニバーサルタイムには「実技サポーター」と呼ばれるスタッフが常駐し、利用者の人が来た時に楽しくスポーツができるようにサポートをするという役割があります。

例えばバスケットボールでは、サポーターがゴールの横に立って投げ方を教えるほかに、「ナイスシュート!」や「惜しい!」などと言って利用者を気持ちの面でも盛り上げています。

また、サポーターの中にはパラスポーツの指導員の資格を持つ人もいて、この日は男女合わせて10人が携わっていました。

取材は5月1日に荻窪体育館で行い、バスケットボールなどで汗を流していた車いす利用者の浅川美佳さんは充実した表情で感想を述べました。

障害者がスポーツを楽しめるように…東京都杉並区で行われている「ユニバーサルタイム」

中学・高校でバスケをやっていて、朝練も昼練も放課後もずっとシュートの練習とかをしていたのでゴールに入るとすごく気持ち良いです。ユニバーサルタイムに来ると皆さんがいろいろ褒めてくださる。バスケのシュートも褒められるけど、ドリブルも荻窪体育館で聞いたことない音だねとか言ってくれたりしてもうすごい楽しくなっちゃうんです。(車いす利用者・浅川美佳さん)

視覚障害者が白杖を使わずに歩く!理学療法士がサポート

ユニバーサルタイムには実技サポーターのほかに、理学療法士も常駐。東京都理学療法士協会の西條攻さんはユニバーサルタイムでの主な役割を以下のように説明します。

障害者がスポーツを楽しめるように…東京都杉並区で行われている「ユニバーサルタイム」

参加者の方のウォーミングアップ的な役割を担うことと、ユニバーサルタイムは比較的、視覚障害の方が多いのでそのサポートに回ります。

視覚障害の方は白杖を持って歩いてたり、足の底で情報を得るのですり足で歩いてるって方がすごく多いんです。鏡で姿勢を見ることもできないので、我々が正しい姿勢を教えながら、その中で正しい姿勢を保った中で一緒に歩いたり走ったりして参加者のサポートをしています。(東京都理学療法士協会・西條攻さん)

具体的な指導として、まずは理学療法士が障害者に足の上げ方や姿勢をレクチャーし、その後、障害者の腕をつかんで声をかけながら歩き始めます。身体が慣れてきた段階で徐々にテンポを上げて、最後はランニングより少し速い速度で走ります。

歩行のサポートを受けた視覚と身体に障害のある石成大育さんは、汗ぐっしょりになりながら取材に応じました。

障害者がスポーツを楽しめるように…東京都杉並区で行われている「ユニバーサルタイム」

病気を持っているんですが、運動が好きなので理学療法士さんにもいろいろアドバイスを受けながらやっていただきました。

なかなか走ることがなくて疲れましたけど、あちこちの筋肉を動かせて良かったなと思います。(視覚・身体障害者の石成大育さん)

「ユニバーサルタイム」は現在、杉並区内の2か所で行われていますが、スポーツ振興課の課長・石河内さんは区内で実施できる会場を増やしていきたいと話しています。

「ユニバーサルタイム」では、障害者の人が楽しく・自由に・イキイキとスポーツをしている姿が印象に残りました。また、今夏はパリパラリンピックの開催もあるので、スポーツに関心を持つ障害者も増えると思います。

障害のある人が何の障壁もなく気軽にスポーツを楽しめる全国的には珍しい取り組み。障害者の人の身体と心の健康を促進するためにも、こうした取り組みが各地で広がることを願います。