塩野瑛久さん(Part 1)
1995年東京生まれ。2012年に芸能界デビューして、2013年に「獣電戦隊キョウリュウジャー」の立風館ソウジ/キョウリュウグリーン役でレギュラー出演を務めた後、数々のドラマ・映画・舞台で活躍。
JK:カッコいい! 今日は楽しみにしてたんです。写真では見てるんだけど、実物が目の前にいるっていうのはね。思うより顔がちっちゃくて! モデルでもここまで小さい人いないですよ。身長いくつ?
塩野:身長は175cmなんで、普通に平均ぐらい。
JK:モデルだとちょっと小さい。でもバランスはいいですよね。撮影にはもう完璧です!
塩野:本当ですか? ありがとうございます(*^^*)
出水:4月発売の女性雑誌「an an」スペシャルエディションで表紙を飾った塩野さんの衣装が、純子さんがデザインした大阪関西万博大阪ヘルスケア・パビリオンのタカラベルモントのユニフォームなんですよね。
JK:どうですか、こんなケッタイな洋服。
塩野:最初は着こなせるかなってびっくりして、「僕が着たらどうなるんだろう」っていうワクワクと「大丈夫かな」っていう心配とどっちもあったんですけど。本当にインパクトも強くて、皆さんにちょっと調整してもらいながらすごく神秘的でいい写真が撮れたなと思いました。
JK:こんなユニークなのに着こなせるの普通ちょっといません! 今の時代ですよね、こういうものを男性が着て、神秘的で、男とか女じゃなく「美しい」という表現の代表だと思うの。
出水:白地で、シルバーの光り輝く素材でできていて・・・なんて表現したらいいんですかね? 宇宙を想起させると言いますか。
JK:宇宙はもう遠い世界だけど、未来を色で言うと何?って言ったら、やっぱり「光」。光るって将来があるじゃないですか。未来って見えないけれど、明るい。それでシルバーかなと。金ってやっぱり過去なんですよ。
塩野:ああ、黄金はちょっと古代のイメージというか。
JK:シルバーって無限な感じがする。だから未来かなと思う。万博で未来をどう表現していくかっていうので、形にはまらない服、見たことないもの、着れるか着れないかは別として、やっぱり未来って面白いなっていう表現をしたかったの。
塩野:そういう意味ではすごく面白かったです。僕もこの服を表現するときに、どういうポーズにしたら面白いかなっていうことを考えながら、そこに自分がどう乗っかっていけるか。
JK:今日はピンクというか、鈍いピンクね。よく見るとサングラスも一緒。
塩野:一応ゴルチェのサングラスです。
JK:薄いピンクっていうのがすごく自然。いかにも色を着てるというよりナチュラル。
出水:ファッションに目覚めたのはいつ頃ですか?
塩野:中学生ぐらいですかね。どちらかというと周りの友だちがファッションに興味を持ち始めたのが早くて、それの真似っ子みたいなところから始まったので、別に僕が先端というわけでは全然ないんですけど。
JK:お友だちの影響ってすごく大きいし、お友だち同士で成長していくし、影響しあったり。私もすごく大きな出発。自慢の財産って何?って言ったら、自分のお友だちだわ。あなたにとって、あなたの財産は何?
塩野:人間関係と縁ですね。
出水:塩野さんは女性誌「Oggi」web版でも「空き時間」という連載を持っていて、ファッションについても語っていますよね。コーディネートとかどうやって決めてるんですか?
塩野:毎回なんとなくテーマを編集部さんと話し合って、こんな感じがいいだったりとか次はこういうテーマでいきましょうとか・・・前回で言うと「ヴィンテージスタイル」で、それに寄せたファッションをいくつか持ってきてもらって、その中から僕が選んで着て、っていう形です。
JK:基本はご自分の考えを入れて、スタイリストが探してくるわけですね。毎月毎月忙しいわね。挑戦したりとか、思っても見ないこともやります?
塩野:やる時もありますけど、僕の中で「こういうのは着ない」っていうものも決まってて。衣装だったりとか、日々メディアに出る時もこだわったり。普段仕事に行く時は衣装に着替えることが多いので、基本的には楽な格好が多いんですね。スウェットとかも多くて、でもスウェットもちょっと自分のこだわりがあって。
JK:俳優さんって役のものを着るので、普段は気を抜くっていうか、割にオシャレじゃない人が多いですよ。
塩野:多いです(笑)
JK:ほとんど仕事ではどんな役柄でもこなさなきゃいけない。そういう意味で、普段の自分がなくなるのはつまらないと思う。
出水:去年のNHK大河ドラマ「光る君へ」では一条天皇を演じて方々から大反響があったと思いますが、1年間演じてみていかがですか?
JK:天皇様ですよ! 品があるからすごくピッタリですよね。
塩野:その品というものをやっぱり意識しましたね。すごく。やっぱりその分プレッシャーもありましたけど、逆にワクワクだったり楽しみな面もすごく強くて、自分でも予想していなかったぐらいいいお声を届けてもらったので、自分の中でも大きかったなと思います。
JK:ああいう衣装を着ると成りきります?
塩野:やっぱり俳優は衣装とか、そういうものを全部まとってすごいスイッチがパンって入るような気はしますね。
JK:そうですよね、今の格好で一条だと言ってもわかんなくなっちゃう(笑)
出水:所作も全然違いましたね。
塩野:違います。それこそ平安の衣装はどちらかというと女性が長袴を履いてっていう状態なんですけど、帝だけは男性でも長袴なんですね。あの時代からある意味ジェンダーレスみたいなものがあったのかな、って個人的には思っていて。
JK:大変でしょ、歩くのも。つまずいっちゃいそう。
塩野:そうですね。方向転換する時も後ろに袴を1mちょっとぐらい引きずって、それを捌きながら擦り足。でもあの衣装だからこういった所作が生まれたんだなぁとか、発見がありました。
JK:動けないですよね、動きが少ないですよね。
塩野:逆に1個の動きに対して大きくやらないといろんなものが捌ききれないので、それ故にちょっと威厳のある動きになっていったのかなって。座る所作にしても、そのまま座ると袖を巻き込んだ状態でシワシワになっちゃうので、ファッと広げながらゆっくりと。
出水:一条天皇役で演じられた際、あることが評価されて素晴らしい音がドラマにも入っているっていうエピソードにびっくりしたんですけど。
塩野:竜笛を自分の音色で大河ドラマの放送に乗っけるということが、大河ドラマ史上今まで一応なかったみたいです。
JK:今日持ってきてもらいたかった! ここで吹いてもらいたかったわ~。
塩野:本当に最初は音が全然出ないんですよ! 撮影期間中も、撮影前からもずっと練習はしてたんですけど、何時間がっつりとかっていうよりは日々自分の目の届く位置に笛を置いておいて、笛と目があった瞬間にパッと取り出して5分間だけ、っていうのを何回も繰り返すやり方でやってました。
JK:やっぱり立場上、優雅で静かで落ち着いた状況の人が吹くんでしょうね。忙しそうで、仕事仕事みたいな人は向かないかもしれない。
塩野:いい音を鳴らそうっていうよりも、あの時代の遊びなので、遊びとしてある意味適当にやるっていうのがいいみたいです。
JK:とくに楽譜があるわけではなく、気持ちを吹くわけでしょ。
塩野:そうです。先生の音色を聴いて、力の抜きどころだったりを聞いて自分なりに消化させる。
出水:現在はガラリと役柄が変わりまして、金曜ナイトドラマ「魔物」に出演されています。かなり愛憎渦巻くと言いますか、少々クセのあるというか、ともすれば女性の敵にもなりそうな役を演じてますよね。
塩野:僕が演じるのは源凍也という男で、ある時妻が弁護士と出会って名刺をもらうんですけど、弁護士と待ち合わせした先に現れたのが夫の僕。ちょっと説明が結構難しいんですけど、僕の演じる人物にどうやらDV疑惑みたいなものがありまして、それと同時に女性弁護士と恋仲になっていったり、その裏では殺人事件があって犯人が誰なのかとか・・・日韓共同製作で、原案が韓国の方、監督も韓国の方で、演じるのは日本人。他の制作陣も日本人です。
出水:日本のドラマ制作と韓国人監督のもとでのドラマ現場、大きな違いはどんなところですか?
塩野:そこまで大きなものはとくにはないな・・・バジェットの違いっていうのはあると思うんですけど、やっぱり作りたいっていうこだわりだったり、シーンに対してかける時間とか情熱はすごく感じられました。ドラマって時間がたくさんあるわけじゃないので、お芝居の返しどころを決めながらやっていかないとなかなかスムーズにいかないんですけども、絶対に頭から最後までっていうのをずっと繰り返して撮っていく。必要な部分を使わないけど撮るみたいな、とにかく素材集めみたいなものは結構やってたイメージですね。
JK:韓国でチャン・イーモウっていう監督いるじゃないですか。ああいう人に認められて世界中に出たらいいわね。これを機会に。
塩野:そういった挑戦もどんどんしていきたいなと思います。
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)