それが、西ドイツにある小さな田舎町・フロイデンベルク。
ドイツの秘境的なモノトーンの町・フロイデンベルク
ドイツの木組みの家といえば、淡いピンクやイエロー、ブルー、グリーンといったパステルカラーの外壁に赤茶屋根が定番。絵本から飛び出してきたかのようなロマンティック街道の町・ローテンブルクなどは日本でも有名ですね。
ところが、ここフロイデンベルクはひたすら白と黒やグレーで統一されたモノトーンの家々が連なる町。
ケルンとフランクフルトのあいだに位置するこの町は、鉄道が通っていない田舎町ということもあって、日本のガイドブックではほとんど紹介されていない秘境的な存在です。しかし、ドイツはもちろん世界的にも珍しいモノトーンの風景に、年々注目が集まっています。
住民たちが17世紀から守り続けてきた町並み
フロイデンベルクの町が現在見られるような姿になったのは17世紀のこと。1666年に大きな火災が起こり、フロイデンベルクの町は一軒の家を残し全焼してしまいます。その際に建て直された木組みの家々が、現在にいたるまで修復されながら大切に使われているのです。
町の人々は、家の内装は改装しても、外観は17世紀当時の姿を保つようにしているのだとか。こうした特別な町並みが見られるのも、古き良きものを守り続けてきた人々の努力があったからこそなのですね。
ちなみに1666年の火災で唯一焼け残った古い建物は、ケルナー通り3番地(Koelnerstr.3)に残っています。
ミステリアスな白と黒の絶景
集落に隣接した小高い丘「クア・パーク」からは、フロイデンベルク独特の町並みが一望できます。モノトーンの家々が同じ方角を向いて並ぶミステリアスな光景は壮観で、一つひとつの家が意思をもってこちらを向いているような気さえしてくるほど。
鮮やかな緑が青空に映える夏、黄色やオレンジに色づいた木々が趣を添える秋、そしてグレーの屋根が雪に覆われて真っ白になる冬と、季節によって変わるさまざまな表情に心打たれます。
雪の降る風景は白川郷を思わせる
この光景、どこかで見たことがあるような気がしませんか? 同じ方向を向いて並ぶ三角屋根の家々・・・この風景にはどこか日本人の心のふるさと・白川郷にも似た情緒を感じます。
日本とドイツ、はるか遠く離れてはいても、伝統的な暮らしを守り続けてきた人々の想いには共通するものがあるのかもしれません。
17世紀から変わらない景観を守り続けてきた人々の想いに触れながら、ゆっくりと流れる時間を味わいたいフロイデンベルク。またひとつ、あなたの好きなドイツの風景が増えることでしょう。
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