カリフォルニアのとある奥地に、知る人ぞ知る小さな滝があります。名前は「モスブレー」。
「いました」と過去形にしたのは、現在は滝までの道のりが通行止めとなっているからです。もう足を踏み入れることができない魅惑の滝。一体なにが旅人を魅了したのでしょう?
4人の少年たちが歩いた線路
モスブレー滝があるのは標高4300メートル超の山、ネイティブアメリカンの聖地かつ世界七大聖山の一つとして数えられる「シャスタ山」の麓。ダンズミュア (Dunsmuir)というエリアの一画です。
滝までの道は舗装された道路でもトレイルでもなく、なんと線路。ここは映画「スタンド・バイ・ミー」のロケ地となった場所としても知られています。眼下には川が流れ、道なき道を歩いた先に、モスブレー滝はあります。
数年前に私有地化され、現在は人の出入りが禁止されていますが、それまでも貨物列車が運行している状態でした。自由に入れる状態だったのが逆に不思議なぐらいです。
幻想的な美しさを放つ滝
線路上をひたすら歩くこと40分ほど。岩の落書きを目印に川岸に降りるといよいよモスブレー滝とご対面。
まるで束ねられたシルクの糸のように、水がランダムに美しい緑の木々を伝って川へ流れていきます。この繊細さがモスブレー滝の魅力。川の透明度は高く、あたり一帯は木々に囲まれ、極上のヒーリングスポットに。
時折現れる虹とのコラボはまた一段と美しいです。
あの有名な水も関係している!
モスブレー滝があるシャスタ山の麓は、荘厳な山の佇まいと凜とした空気を合わせもつ神秘のエリア。一部では「妖精が住んでいる」と噂されるほど。
おなじみクリスタルガイザーの採水地でもあり、その豊かな水源から生まれた湖・滝が数多く点在する避暑地として人気です。
サンフランシスコからは車で5時間。旅行中に足を運ぶにはなかなか大変な距離ではありますが、富士山よりも高いシャスタ山は姿形も美しく、訪れる価値は充分にあります。
モスブレー滝に行くことは、今はできません。だからこそ、想いが募ってしまうというのが人の常。いつかまた解禁になるかもしれない。
[All Photos by Mika Hirai]



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