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国鉄とパリ交通公団の無期限ストライキ

2019年12月5日より、年金制度改革に反対するストライキがフランス全土で始まりました。当日はさまざまな業界の労働組合員らが集まり、全国で80万人以上が参加。
始まった当初は飛行機や電車など交通機関のダイヤが大幅に乱れ、現在も交通機関に乱れが生じています。というのも、フランス国鉄「SNCF」とパリ交通公団「RATP」の労働組合が無期限のストライキを呼びかけているためです。
現時点でもっとも影響が出ているのは、フランスおよびヨーロッパの各都市を結ぶ高速鉄道や国際鉄道、そしてメトロやRER(高速鉄道)、バスなどパリの交通機関です。
キリスト教圏ではもっとも大切な行事とされているクリスマスにもストは続行。当地のメディアでは、パリから帰省できない人たちの様子が報道されていました。過去30年でもっとも長い交通のストライキ。年末年始もこの状況が続くと見られています。
フランスでは、2018年11月中旬から始まった大規模なデモ「ジレ・ジョーンヌ/黄色いベスト運動」も継続中。こちらのデモは、燃料費の価格高騰とディーゼル燃料の引上げを発端としたマクロン政権に対する抗議運動です。詳細は「【現地ルポ】今、フランスで何が起きているの? 最新の治安情報をお届けします」をご覧ください。
南仏トゥールーズでデモに遭遇・・・!

今回の年金制度改革に反対するストライキを甘く見ていた筆者。12月5日の当日はフランス南西部のトゥールーズ市内に用事があったため、メトロで出かけました。
目的地に到着すると、デモ隊に遭遇。その多くがプロテクターとしてのマスクをしています。「いつか記事にするために、写真を撮っておこう」と思い、デモ隊に近いたところ、だんだんと気分が悪くなってきました。身の危険を感じて、撮影を中断(そんなわけで、今回の記事は写真が少なめです)。
デモ隊の付近でガスが発煙、マスクはそれを防ぐためのものだった模様。まもなくメトロも閉鎖され、帰宅する時間が大幅に遅れる・・・という予期せぬ事態に。
トゥールーズでも1年以上黄色いベスト運動が続いているため、デモに対する警戒心が薄れていたことを反省。もしもみなさんがフランスでデモ隊に遭遇したら、近づかれませぬよう・・・。
予定していた交通機関が利用できない時は?
定刻通りに列車が来ないならまだしも、予定していた列車が運行していないとしたら、困りますよね。フランス国鉄では、ストに伴う乗車券の払戻しを行っていますが、一番の問題は目的地にどのようにして行くかということでしょう。
事前に予定している交通機関が利用できる状況かどうか、必ず調べてから目的地へ向かうようにしましょう。フランス国内の交通機関の運行状況は公式サイト(フランス語)にて、パリ交通公団の運行状況は公式サイト(英語)にて。
これに合わせて、滞在先のホテル等で交通機関の運行状況をたずねてみてください。せっかくフランスへ遊びに来たのに、思うように行動できなかった・・・というのは悲しいですからね。
スト以外に気をつけたいこと

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このほか、混乱が生じているときにはスリが多発すること、またフランスはこれまでもテロの標的になっているため、人が多く集まる場所へ足を運ぶ際には注意すること、不正キャッシングの標的にならないよう気をつけることも頭に入れておきましょう。
年明けの労働組合と仏政府の話し合いは2020年1月7日に予定されており、その2日後には大規模な抗議運動の予定も報告されています。年末年始にフランスへ渡航を予定されている方はお気をつけください。
※2019年12月28日現在の情報ですので、予めご了承ください。
[france24.com]
[anzen.mofa.go.jp]
[2019年12月27日付 在マルセイユ日本国総領事館メールマガジン2019年第7号]