10日に開催された『女芸人No.1決定戦 THE W』で、昨年準優勝した天才ピアニストが6代目女王に輝いた。2人は今年5月のNHK上方漫才コンテストでも優勝を果たしており、その実力を見せつけた形だ。
回を重ねるうちに出場者のクオリティも高まっている印象の『THE W』。今年も披露したネタについては好意的な意見が多いが、一方で出場者に対する審査員らの反応を疑問視する声もあがっている。

昨年、オダウエダが5代目女王となった際にも審査について厳しい批判があったものだ。特にオダウエダに1票を投じたアンガールズ・田中卓志には、Aマッソのファンらしき人物から攻撃的なDMが頻繁に届いたという

順位をつける立場にあるため批判を受けやすい審査員だが、今回の大会に関しては天才ピアニストが圧倒的な実力を見せたこともあり、視聴者からは“真っ当な評価”といった声が多い。しかし一方で、敗れた出場者たちを優しくフォローする姿にネット上では「優しすぎる」「もっと厳しくていい」などの声があがっている。
たとえば天才ピアニストが出場したBブロックでは、他の出場者が審査員票・視聴者票含めて1票も獲得できずに敗退したが、審査員たちはコメントの最後に「でも面白かったです」とフォローの言葉を入れたり、「キャリアだけの差だと思う」「無敵のグループになれる」などポジティブな感想を積極的に伝えていたりと、敗者を気遣う姿勢が目立ったのだ。

このことについて、自らの経験を踏まえて語ったのが伊集院光だ。12日深夜に放送された『伊集院光 深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)の中でリスナーメールをきっかけにこの話題に触れた伊集院は、今回の“優しい対応”に関し「みんなああいう賞レース勝ち上がってきた人たちは、手負いの若手が一生覚えてることを知ってるからね」とその理由を推測している。

苦しい下積みを経て売れっ子になった芸人たちが、新人時代の苦労話や理不尽な仕打ちを暴露することは珍しいことではない。それほど当時受けたショックは忘れられないものであり、スタジオの審査員たちはそのことをよく理解しているということなのだろう。ましてやSNSや動画配信を通じて今まで以上に“暴露話”が発信しやすい現代だけに、後々の火種にならないようにという懸念点もあるのかもしれない。



実際、伊集院も「対応したその先輩たちが売れない頃の俺に何を言ったかを、一生覚えてる」「未だに悪気があったわけじゃないっていうことが100%分かってるのに、俺はこぶ平に対して何かわだかまりを持ってる(笑)」と明かしており、落語家時代に確執があったとされる“林家こぶ平”こと九代目林家正蔵に触れてスタジオを笑わせていた。

過激な物言いで良くも悪くも番組の話題性を集めるよりも、全力を尽くした挑戦者をまずは称えるという姿勢が今のスタンスなのだろう。とはいえ視聴者からは「ウケてもないのに面白かったとか言う必要もないと思う」「感じたことを素直に言ってほしい」という指摘も少なくない。結局は厳しい言葉も優しいフォローもいい塩梅でなければ火種になるということであり、大々的に放送される賞レースに関してはなおのことだ。今後も審査員たちは頭を悩ませることになりそうだ。

画像1、2枚目は『『天才ピアニスト』竹内知咲 2022年12月11日付Twitter「THE W2022優勝しました」』『日テレ 2022年12月4日付Twitter「『女芸人No.1決定戦 #THE_W 2022』」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 根岸奈央)