第60回ギャラクシー賞贈賞式(主催:放送批評懇談会)が5月31日に都内ホテルで開催され、受賞者のタレント・タモリ(77)や女優・長澤まさみ(35)らが出席した。タモリはユーモアを交えながら受賞の心境やこれまでにもっとも記憶に残っている2人の著名人を挙げ、長澤は周囲に感謝を伝えて役づくりについても語った。


タモリはギャラクシー賞を主催する放送批評懇談会が60周年を迎えたことから設けられた「放送批評懇談会60周年記念賞」を受賞、約半世紀にわたり、テレビやラジオの第一線で活躍し続けてきたことが評価されたタモリは「本当に光栄です。ありがとうございます」と礼を述べた。


ところが華々しい賞とは裏腹に「私、この世界に入りまして、ほぼ半分は非難の歴史でした」とタモリ。「まず『テレビでサングラスはかけるな』ということから始まって。でも白いブリーフでイグアナやったりしていましたから、非難は当然のこと。ようやくここらで褒められ始めてちょっと気持ち悪く思っています」と心境を語った。



そして「もっとも記憶に残っていること」を問われると「作家の有吉佐和子さん。この方が『いいとも』にゲストに来てくれて、最後まで全部のコーナーをぶち壊してひとりで喋って帰っていきました。その後に黒柳(徹子)さんが同じことをなさいまして、この2つは印象に残っています。すごい方たちです」とコメント。


また「批評性に富んだ笑い」と評されると「過大評価です。本当に過大評価に最近苦しんでいます」と「ひねくれてますから、それが出ているだけ。
それだけの力も技術もないので」と謙遜した。さらに「多趣味」と紹介されると「これまた過大評価です。確かにいろいろなことをやってるんですけど、これは挫折の歴史なんです。根性がないのですぐに諦めてまた次にいく。それを言われると恥ずかしい」と恐縮した。


「今、地上波はちょっと大変な感じになっているみたいですが、まだまだやる余地があると思うんです。
今後それを見つけてやっていきたいです」と前向きに語ると、「あしあとを残したいと思います」と言い、にやりと笑みを浮かべた。実は冒頭で司会の長野智子フリーアナウンサーが「足跡」を「そくせき」と読むべきところを「あしあと」と読んでしまい、自らすぐに気づき訂正していた。それを遅ればせながらイジったタモリは、大爆笑が巻き起こるなか「泥棒じゃないんだから…」と笑顔を見せてトークを終えた。


またテレビ部門の個人賞は女優・長澤まさみが受賞。ドラマ『エルピスー希望、それとも災いー』(関西テレビ放送)の主演、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)のナレーションを評価されたが、『エルピスー』は見事に大賞も受賞した。


「昨年は毎日が撮影の日々でした。
どっぷりと作品づくりに浸った一年になりました」と振り返った長澤は「私がひとつひとつのお仕事をやり抜くことができたのは、やはり近くで支えてくださった監督やスタッフの皆さんのおかげだなと再実感する一年となりました。素敵な賞をいただき、本当に嬉しいです。ありがとうございました」と感謝の気持ちを口にした。


ドラマ『エルピスー』で長澤は、冤罪事件を独自に追うテレビ局アナウンサー・浅川恵那を演じたが、「私自身も共感する部分も多かった。一緒に悩みながら演じたように思います」と役に寄り添ったそうで、アナウンサー役だったことから「先生から(原稿読みの)スパルタ特訓をしてもらいました。それがうまくいかないとこの作品が成立しないぐらい大切なところだったので」と明かした。



他にラジオ部門「DJパーソナリティ賞」は安住紳一郎TBSアナウンサー(49)が受賞、「(ラジオ出演では)本当にいいことはほとんどありませんでした」「心に塗る薬はありません」などとぼやいて、場内を爆笑させ続けた。


また『マイベストTV賞 第17回グランプリ』は毎日放送ドラマイズム『美しい彼』(シーズン2)が受賞、ダブル主演の萩原利久と八木勇征が、同シリーズの映画『劇場版 美しい彼~eternal~』の舞台挨拶から贈賞式に駆け付け、2人で喜びを分かち合った。
(TechinsightJapan編集部 取材・文:関原りあん)