ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、アメリカ出身の女性インフルエンサーがウクライナに赴き、自称「精神的サポートストリッパー」として兵士やボランティアの人々を支援している。「集団墓地でポルノを作りたいのか?」と非難されることもあるそうだが、彼女は戦火の中で見過ごされがちな「性」の問題に向き合っていると自負している。
米リベラル系ニュースサイト『The Daily Beast』などが報じたが、テックインサイトはこの女性を直撃、その思いを聞いた。

米テキサス州ヒューストン出身のアジア系アメリカ人、ファン・ペイ・クンさん(Fan-Pei Koung、33)は、ウクライナの兵士やボランティアを行っている人々のために、SNSサービス「OnlyFans」にて無料アカウントを立ち上げた。「OnlyFans」のプロフィールで、ファンさんは「世界中を飛び回るガールフレンドで、現在は(ウクライナの)ハルキウでボランティアをしている」と説明しており、空襲のサイレンが鳴り響く中で撮影したエロティックな動画や、露出度の高い衣装でロケット砲を持った写真などを公開している。多くの投稿で、ファンさんは迷彩服を着用しており、戦争を意識して撮影していることがうかがえる。


Instagramで約5.3万人のフォロワーを抱えるファンさんは、もともとランジェリーモデルの写真や日常生活の様子を投稿し、インフルエンサーとして活躍していた。戦争が始まって1年が経った2023年2月、ファンさんはウクライナに移り住み、ボランティア活動をしながら首都キーウで暮らし始めた。
それ以来、ファンさんはボランティアスタッフとしてドンバス東部地域に赴き、破壊された町に残る人々に水を届けたり、「英語を話す兵士の精神的サポーター」として活動するようになった。

これらのボランティア活動を通じて、ファンさんは出会った男性たちと恋愛関係も築くこととなり、現在はウクライナのドローン操縦士、発電所作業員、そして2人のIT作業員と交際しているそうだ。ドンバスで死傷者が出た際の慰問では、ウクライナに移る前にシリアで戦っていたイギリス出身の戦闘員と出会い、関係を持つことになった。

そんなファンさんを「集団墓地でポルノを作りたいのか?」と非難する声もあるが、ファンさんは「ウクライナで今、何が起こっているかを知り、私が知っているなかで最も誠実な(真心のこもった)方法で、つまり私の愛情で彼らをサポートしたいと思いました」とウクライナ行きを決めた最大の理由について明かした。「はじめは孤児たちがいるところで活動しました。でも、次第に前線の兵士たちに温もりを与えたり、同情(理解)したり、死に逝く兵士や負傷した兵士に安らぎを与えたいと思うようになったのです」と、その胸のうちを語る。



そして「これまでに病院の兵士を慰問し、前線から離れられる24~48時間のあいだ、彼らをサポートしてきました」と言うファンさんは最近、自分のアパートを手に入れたそうで、負傷兵やフリーの戦場ジャーナリストを無料で受け入れているという。イギリス出身の戦闘員との思い出について「ある時、彼を抱きしめて髪を撫でていたら、『子猫になったかのような気分だ。2年間、誰かに触られたことがない』と言われました」とファンさんは語る。また「ヘロイン中毒の元海兵隊員のリハビリには1か月以上かかりました。鬱の期間もずっと食事をさせ、散歩をして、常に彼と一緒でした。ある時、彼がトイレから出てきてこう言ったんです。
『ファン・ペイ、排泄ができた!』って。だから『おめでとう! 生者(生きている人間)の世界へようこそ』って言ってあげたんですよ」と振り返った。

そんなファンさんは「ウクライナが勝利を得るまでここに留まっていたいです。その時まで、私はウクライナ人を助けていきます。この国の人はみんな酷いPTSDを抱えていますから」と、引き続き同地での支援を希望している。


そして日本の読者に向けて「ウクライナをご支援いただきありがとうございます。
皆さんの隣で、そして遠くから仕事ができて光栄です。日本の学生がウクライナのためにヒマワリ油を作ってくれたこと、そしてハルキウで市民に食料を無償提供する日本人男性に感動しました」と感謝を述べた。

「人々は私をあざ笑うんです、だって私はウクライナにいる、単なるセクシー・アジアン・ガールでしかないですから。人々は私を『愚か』だとか、私では『戦争に勝てない』とか言い、私を『売女』と呼びます。でも、私は日本の皆さんはそうではないと思います。まだ自分の真の可能性を知らない、誰かの役に立ちたいだけの怖いもの知らずな理想主義の一人のアジアンガールの意思を、日本の皆さんは過小評価しないと知っています。
私の物語はここで始まったばかりで、皆さんが私の存在と活動を知ってくださったこと、そして支援に感謝します。いつか私の冒険が、皆さんのところへ私をいざなってくれることを願っています」とメッセージを送った。

画像は『modeltechie 2023年7月27日付Instagram「Dear #Ukraine, Please don’t be mad at me.」、2023年7月1日付Instagram「My trip to #Kramatork and #Kurakhove were wishes come true.」、2023年8月1日付Instagram「Dear #Ukraine, I have three announcements to make.」、2023年7月25日付Instagram「Dear #Russia, I don’t know who will read this, or if it will reach you.」、2023年8月10日付Instagram「[2/2] In my opinion, as an Emotional Support Stripper,」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 H.R.)