ディミトロフ、2セットアップから負傷し棄権


「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン)男子シングルス4回戦が行われ、第19シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/世界ランク21位)が、大会初優勝を狙った第1シードのヤニック・シナー(イタリア/同1位)に6-3,7-5,2-2としたところで途中棄権。シナーが4年連続で準々決勝に進んだ。


【動画】ディミトロフ、エースを奪うもその場にうずくまる…途中棄権で涙浮かべる

34歳のディミトロフは、2011年の全豪オープンからグランドスラムに連続で出場中。58度目のグランドスラムとなった今大会は、15度目となり最高成績は2014年のベスト4となっている。

3年連続で進んだ4回戦では、4連敗中の王者シナーと対戦。2020年5月の「BNLイタリア国際」(イタリア・ローマ/ATPマスターズ1000)以来の勝利を狙った。

試合は序盤からディミトロフがボールをクリーンに捉えて積極的に攻撃。プレッシャーをかけ続けて、今大会1度も破られていなかったシナーのサービスゲームをブレークする。また、自身のサービスゲームでは好調で精度の高いサーブを活かし、要所を締めてシナーに流れを渡さず。6-3で第1セットを奪う。

続く第2セットも第1ゲームでミスが重なったシナーのサービスゲームを破ったディミトロフ。第5ゲーム終了後には右肘に痛みがあるのか、メディカル・タイムアウトを取ったシナーに一時はブレークバックを許すも、すぐさま再びリードを奪って7-5でセットを連取する。

勝利まであと1セット。ディミトロフにとって、世界1位からの勝利となれば約12年ぶり2度目となるところだった。
しかし、第4ゲームのゲームポイントでエースを放ったところでディミトロフが右胸を抑えてうずくまる。これに会場は騒然。対戦相手のシナーも心配そうに駆け寄った。

ディミトロフはベンチに戻り、一度コート外に出たものの、プレー続行はできず。棄権を余儀なくされ、シナーと抱擁、右腕を上げづらそうに主審と握手を交わすと、涙を流しながらコートを去った。

思いもよらぬ展開で準々決勝となったシナー。ディミトロフのバッグを担いで退場をサポートした後、オンコートインタビューに応じた。

「なんて言えばいいのかわからない。彼が本当に素晴らしい選手で、今日それを我々全員が目にしたと思う。信じられないほどの選手で、良き友人でもありコート外でも理解し合っている。今こういう状況を見るのは…。今は彼の早期回復を願っている」

「彼にとっては本当に不運なこと。
これを勝利だとまったく思わない。僕たちにとってとても残念な瞬間を目にしただけだ。彼は前のグランドスラムでも怪我に悩まされていたし、またこのような怪我をする姿を見るのはつらい。彼の反応からも、このスポーツに対する思いの強さが伝わってきた」

「彼はツアーで最も努力している選手の一人。本当に残念だ。これは僕たちが望んでいた終わり方ではない。彼と彼のチームに心から拍手を。彼のこれからに幸運を願っている」

4年連続で進んだ準々決勝では、第10シードのベン・シェルトン(アメリカ/同10位)と対戦する。
編集部おすすめ